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魂の帰還〜動き出す運命の歯車〜

鈴花「・・・ここはどこなのでしょう・・?」


気付くと鈴花は一人、真っ暗闇の空間に立っていた。


鈴花「お母さん、悟飯お兄ちゃん、悟天、どこです?」

鈴花はまわりをきょろきょろと見ながら暗闇の空間歩く。
するとあたりが急に明るくなる。
鈴花はまぶしさのあまり目をつぶった。
そして鈴花は目を開ける。
するとそこは先ほどまでの暗闇の世界とは一変し、明るく、きれいなお花畑にいた。

鈴花「ここは・・・きれい・・・。」

鈴花がきれいな場所に見とれていると自分の後ろから美しい女性の声が聞こえてきた。


?『鈴花・・・。』

鈴花は後ろを振り返る。
するとそこには10代後半~20代前半くらいのとても美しい女性がいた。
女性はどこか雰囲気が自分と似ていた。
鈴花は不思議そうに女性を見る。


鈴花「あなたは誰ですか?」

鈴花はそう女性に聞くと女性は優しくほほ笑む。

?『今はまだ言えません。あなたの覚悟が決まり、力が完全に目覚めたとき私のことがわかるでしょう。・・・ですが、それもあなた次第です。』

そう、ほほ笑みながら鈴花に言うと女性は光り、消えた。









鈴花「ま、待ってください。」

鈴花はベッドから起き上がり、手を伸ばしていた。
気付くとそこは自分の部屋だった。
そう、さっきまでのことは夢だったのだ。

鈴花「・・夢でしたか。」


鈴花が下を向きながらそう呟いていると部屋の扉が開いた。


チチ「起きただか。鈴花ちゃん。」


声の主は鈴花の母のチチだった。


鈴花「はい。・・・おはようございます。お母さん。」


チチは鈴花のすぐ側に行き、おでこを触る。


チチ「もう熱は下がっただな。」


鈴花「熱・・・?」



チチ「んだ。鈴花ちゃん、高熱出してまる2日間も寝てただよ。」


鈴花「・・そうでしたか。すみません・・・お母さん。」



チチ「鈴花ちゃんが謝ることはねぇだ。誰も好きで病気にはならねぇべ。とにかく熱が下がってよかっただ。」


そう言っている母を鈴花はぼうっと見ていた。


チチ「鈴花ちゃんにすんげぇビッグニュースがあるだよ!!」


チチは花が咲いたように表情が一気に明るくなり、そう言った。


鈴花「・・ビッグニュース?」


チチ「お父に1日だけ会えるだよ!!」


母のそのセリフを聞いたとき、鈴花は少し驚いたような顔をした。


鈴花「・・会えるってどういうことですか?・・・お父さんは私と悟天が生まれる前に闘いで亡くなったのでしょう?」


チチ「今から1ヶ月後に天下一武道会が開催されるだ。その大会に出るためにお父は1日だけ帰ってきてくれるだよ。お父は確かに死んでるけれど不思議な力があってその力で1日だけ帰って来れるだ。」


そう言っている母はとても嬉しそうだった。
こんなに嬉しそうな母を見るのは鈴花は初めてだった。
そんな母を見ているといつもの無表情な表情は変わらないが鈴花はどこか嬉しい気持ちになった。


鈴花「そうなのですか。会えるのですね。お父さんに・・・。」


チチ「よかっただな!鈴花ちゃん!!」


鈴花「お母さんが嬉しそうで私も嬉しいです。前からお父さんに何度も会いたいと思ってました。私も嬉しいです。・・・ですが、いざ会えるとなるとどういう風に接したらいいのか分かりません。」


チチ「その事だったら心配ねぇだ!悟空さはとっても優しいべ!!」


チチは優しい顔で鈴花のベッドのところにある悟空の写真を見ながら言った。

鈴花は母につられ父の写真を見る。
写真の父は優しそうに笑っていた。


鈴花「そう言えばお母さん、お兄ちゃん達はどこです?さっきから声がしませんが・・・?」


チチ「悟飯と悟天なら天下一武道会に向けて朝早く修行に行っただよ。」


鈴花「悟天も?」

まさか自分の双子の兄までも大人に混じって大会に出るとは思わなかった。


チチ「なんでも、友達のトランクスくんが出るからって悟天は張り切ってただよ。お父さんにも強い僕の姿を見せるんだ。って言ってただよ。」


鈴花(私もお兄ちゃん達のように少しでも闘いの才能があったら大会に出られたのでしょうか・・・。)

そう、鈴花は生まれつき闘いの才能がなかった。
兄達が言う、気というものも分からなかった。
一応サイヤ人のハーフだが何故か力、運動能力も普通の子供よりも低かった。
表情こそは表に出さないが鈴花はそのことを特に気にしていた。
なぜ、兄達は自分と違い、生まれつき才があったのか。
家族に内緒でピッコロに自分に稽古をつけてほしいと頼んだこともあった。
ピッコロも快く修行を付けてくれたが才能に花が咲かなかった。

鈴花は一人のときも必死に努力をした。
だが、それでも上手くいかなかった・・・。


鈴花(なぜ、私はお兄ちゃん達と同じお父さんの血が流れているのに何もできないのでしょう・・・?)


鈴花は考え込んでいた。
そんな考え込んでいる娘に母は尋ねる。


チチ「どうしただか?鈴花ちゃん?」


鈴花「ちょっと天下一武道会のことで考えてました。」


チチ「そうだ!鈴花ちゃん、今度オラと鈴花ちゃんとブルマさの3人で天下一武道会に着ていく服を見に行くだか?実は昨日ブルマさから電話があっただよ。」


鈴花は母の言葉にうなずいた。


チチ「それじゃあ、さっそくオラはブルマさに連絡するだ。鈴花ちゃんは病み上がりだから寝てるだよ。」

と言うとチチは鈴花の部屋から出て行った。



母が出て行ったのを見た鈴花は自分のベッドのところにある父の写真を両手で持つ。
写真の中の自分の父は本当に優しそうだった。

そして写真を見ながら悟飯が言ったことを思い出す。









悟飯「お父さんは宇宙で一番強かったんだ。」









と、いう兄の言葉を思い出した鈴花は不安になる。

鈴花(お父さんは宇宙で一番強いとお兄ちゃんは言ってました。それなのになぜ、私には何の力もないのでしょう。)

鈴花は父に会えるのは嬉しかったがそれと同時に不安もあった。
宇宙一強い父が自分に会ったらどういう反応をするだろう。
きっと何も力がない娘の姿を見たら幻滅されるに違いない。
自分の子供と認めてくれないだろう。


それからも鈴花は父の写真を見ながら考えていた。









数時間後・・・



チチ「ほんっとに悟飯ちゃんをデートに誘いに来たわけじゃねぇっつうだな!?」


ビーデル「違うって言ってるでしょ!」




鈴花「この声はお母さんと・・もう一人は誰でしょう・・・?」


さっきまで眠っていた鈴花だったが突然聞こえた母の声で目を覚ました。
鈴花はベッドから起き上がり、自分の綺麗な長い髪をとかす。
髪をとかしている最中も外から母達の言い争いの騒がしい声が聞こえていた。
そして、髪をとかし自分の私服のワンピースに着替えた鈴花は部屋を出て母達のいるところへ行く。



鈴花「お母さん、どうしたのですか?」


という少女の声でさっきまでの母達の言い争いはぴたりと止まった。
そこにはチチと悟飯のクラスメイトのビーデル、そして修行に行っているはずの悟飯と悟天までいた。


さっきまでチチと言い争いをしていたビーデルは家の中から聞こえた鈴花の声に気付き、鈴花を見た。

鈴花を見たビーデルは彼女のあまりの美しさに息をのむ。

ビーデル(こ、この子すっごくきれい・・・・こんなにきれいな子見たことがないわ。ここにいるってことはこの子は悟飯くんの妹ね。悟飯くん、こんなにきれいな妹がいたんだ・・・。)

そう、鈴花は美少女だ。
それも並の美少女ではなく、誰もが振り返るほどの。
まるで人間ではなく、一人の女神が舞い降りたようだった。
ビーデル自身もファンクラブができる程の美少女だったが人間離れした鈴花の姿をみて相当驚いていた。

ビーデルが思わず鈴花に見とれていると鈴花がビーデルに声を掛ける。


鈴花「あなたがビーデルさんですか?」


ビーデル「え、ええ。」


鈴花「あなたのことは兄から話で聞いたことがあったのですぐわかりました。私は妹の鈴花です。学校で兄がいつもお世話になっております。これからも兄をよろしくお願いします。」



ビーデル「よ、よろしく。」(ちょ・・ちょっとこの子しっかりしすぎよ。この子まだ小学校の低学年くらいよね?こんなこという小さい子今まで会ったことがないわ。でもこの子笑顔がないわ・・・。)

ビーデルも鈴花の礼儀正しさととても7歳の子供とは思えない挨拶にびっくりしながらも鈴花に挨拶を返した。

鈴花は物心ついたころからずっとこの言葉使いと冷静さだった。
知り合いや家族、年の近い友達のトランクスに対してもだ。自分の双子の兄に対しても鈴花は今までずっと敬語で話してきた。
鈴花の家族は誰も教えた訳ではないのに鈴花の言葉使い等には不思議に思っていた。そこに関してはブルマ達もだ。

それと鈴花は生まれてきて一度も自分の感情を周りに見せることがなかった。
鈴花は生まれてきて一度も泣いたことがないし、笑ったこともない。怒ったこともない。
ベジータからはふと機嫌が悪いときに人形と言われたこともあった。。ブルマはベジータの言ったことにキレていた。
不思議と彼女自身も泣き方や笑い方、怒り方がわからなかった。

家族も鈴花の無感情を心配し、病院や神様の神殿に彼女を連れて行ったことがあったが特に異常はみられなかった。



悟飯「鈴花、もう熱はいいのか?」

悟天「鈴花大丈夫?」


鈴花「はい、大丈夫です。今朝、36.2度でしたから。」


ビーデル(この子、兄弟に対してもこの喋り方なの!?す、凄すぎるわ・・・。)


と、鈴花と悟飯達のやり取りを聞いていたビーデルがこのとき驚いていたことは誰も知らなかった。































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