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星に願いを 心に華を

その日は、十四松と公園で野球をした。
私の知っている野球とはだいぶ毛色の違ったものではあった。
まさかバットに一松を縛り付けて素振りするなんて。

「マッスルマッスル〜!ありが盗塁王〜!!」

日が暮れるまでそうして遊び、みんなで夕食を囲んだあと十四松と屋根の上で夕涼みをしていた。
別に何を話すでもなく、ただ星空とその下に広がる街並みを眺めている。
彼とは最初に拾ってもらった時から、なにか不思議なものを感じていた。
六つ子の他の面々とは違う、何かを。
でもそれが明確になんなのかはわからなくて、ずっと考えている。

「あの……ね、十四松……」
「あい?」
「……ううん、ごめん。なんでもない」

喉まで出かけた言葉は飲み込んでおく。
だってこんな幸せな時間が長く続くはずはないから。
私たちはきっとどこかでさよならしないといけない日が必ずやってくる。
その時に少しでもつらくないように。
私よりも、十四松が傷つかないように。

「……ありがとう。たのしかったよ」

そっと彼の方に頭を預ける。
驚いてびくっと跳ねたけれど、それは気づかなかったことにして。
こっそり腕に自分のそれも回してみる。
十四松、すごくどきどきしてるのがこっちまで伝わってくる。
おかげで私のどきどきが紛れてくれそう。
ゆっくり目を閉じて、夜空に瞬く星々に願った。

この時間がほんの少しでも長く続きますように。
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