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その他

眠れないとキッチンでカフェオレを淹れていたら、突然背後に人気を感じた。
びっくりして振り返ると、そこにいたのは。

「あれ、まだ起きてたんすか?」

目の下にくっきりと隈を刻んだ綴くんが、憔悴しきった顔で立っていた。
そういえば、脚本の締切まであと2日ばかり。
今回はなかなかの傑作だと言っていたから、その没頭ぶりもいつも以上なのだろう。
お疲れさまと労いながら、彼にもカフェオレの入ったマグカップを手渡す。

「脚本、間に合いそう?」
「んー……なんとか。今日も徹夜っす。」

そう綴くんは苦笑しながらカップを啜る。
確かに表情には疲れがはっきりと浮かんでいるけれど、その反面おもちゃをもらった子どものような感情も読み取れた。

「あんまり無理しちゃだめだよ。」
「わかってるよ。」

だから、ちょっとだけ充電させて。
わたしの答えを聞く前に、ぎゅっと強く抱きしめられる。
最初こそ驚いたものの、ほんの数秒遅れてわたしも彼の背中に腕を回した。
それから、どちらからともなく唇を重ねる。
触れては離れて、また触れてを繰り返す。
もちろん綴くんのことは誰よりも応援しているけれど。
劇団の仕事が始まってしまうと、こうして触れ合える時間はどうしても減ってしまうから。
密かに抱えた不安が、ようやくじわりじわりと埋まっていく。

「……綴くん。」
「ん?なに?」
「……だいすき。」

自然と零れたその言葉に、今度は彼の方が驚いて動きを止めた。
でもすぐに表情を綻ばせて、オレもと笑ってくれた。
とびっきり甘いキスを添えて。
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