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その他

また、戦いが始まる。
今度の壁外調査は、何人が帰って来られるだろうか。
その中に、私はいるだろうか。
ぐるりと考えて、それは愚問だと思った。
なにがあっても、エレンを守る。
エレンが生きているなら、私も必ず生きている。
それだけだった。

「ミカサ、そろそろ出発だぞ。」

いつまでも傍を離れられない私に、エレンが少し呆れたようなため息をついた。
またかよ、と。

「またオレが死んだらどうする、とか考えてるのか?」
「そう、ではないけど……」
「眉間にしわ、寄りすぎ。」

兵長みたいだぞなんて言われてしまって、なんだか少し気に入らない。
あのチビとは一緒にしてほしくない。
そう言ったら、またエレンは困ったように眉を下げた。

「エレン、もしあのチビになにかされたら、すぐに言って。」
「なんでそんな目の敵にするんだよ」

そんなの、決まってる。
あの審議所でのこと、忘れたとは言わせない。

「大丈夫だって。それよりミカサ、マフラー曲がってるぞ。」

いつもはそんなこと気にしてくれないのに。
突然エレンの腕が首元に回されて、動けなくなってしまった。
ほんのわずかな時間でしかなかったけれど、心臓がばくばく、うるさい。
「ほら、終わったぞ。」
「あ、ありが、とう……」

まともにエレンの顔が見られない。
どうして、だろう。

「そろそろ行くぞ。」
「う、うん……」

強引につながれた手のぬくもりもまた優しくて。
鼓動が一層速くなる。
このままではエレンにも伝わってしまいそうで、せめて表情だけは平静を装った。

この気持ちの名前はまだ、わからない。
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