スタンドマイヒーローズ
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「こんにちは。」
久しぶりに瀬尾研究所を訪ねると、夏休みということもあってかしんと静まり返っていた。
そんな中で相変わらず難しそうな本を黙々と読んでいる潔くんにそっと声をかける。
ふわりと視線を上げ、わたしを捉た次の瞬間には思いっきり驚いて大慌てで席を立った。
「あっ……あの……すみません……」
「いいのいいの。むしろ邪魔しちゃってごめんね。」
「邪魔だなんて、そんな……」
彼との会話はこうして謝り合戦からいつも始まる。
今でこそ慣れてしまったから長いラリーをすることはなくなったけれど、会ったばかりの頃は早乙女さんに、お前らいつまでコントやってるんだと苦い顔をされることもしばしばあった。
「あっ、すみません……今日、瀬尾先生は……」
「ううん、今日は潔くんに会いに来たの。」
「え……?オレ、に……ですか?」
いつもは伏し目がちな瞳が大きく見開いてこちらを見る。
最近はよく目を合わせてくれるようになったなぁなんて思いながら、右手に持っていた紙袋を差し出した。
「はい、これ。お誕生日おめでとう。」
この大学の近くで一美味しいという評判のお店で買ってきたケーキだ。
可愛くんのおすすめだから、きっと間違いはないはず。
「そ、そんな……すみません……オレ、なんかに……。」
「ちゃーんとホールケーキだよ。シフォンだから、見た目のわりに食べられると思う。」
「わ、わぁ……もったいない……」
困惑しながら、まるで小動物のような動きでおずおずとケーキの箱をあける潔くん。
わたしが仕掛けたちょっとしたサプライズに気づいて、あっと小さく声を上げた。
「どう?可愛いでしょ?」
“おたんじょうびおめでとう いさぎくん”
そう書かれたチョコレートのプレートを支えるように、両脇にはマジパンで出来たネコが笑っている。
さすがに二十歳を超えた男の子にこれはどうかとも思ったけれど、動物好きの彼なら笑って許してくれるような気がした。
「……ふふっ。この子、貴女にそっくりですね……かわいい。」
愛おしそうに目を細めてケーキをスマホのカメラに収める合間にこぼれた言葉は、間違いなく無意識で、つまり彼の本音。
わたしに似てかわいい、なんて。
思わずえっと顔を上げると、その声に驚いた潔くんも同時に顔を上げる。
ばっちり視線がぶつかってしまった。
お互い気まずくて、苦笑い。
「ケ、ケーキ……食べよっか……?」
なんとも形容し難いむずがゆい空気を漂わせながら、ひとまず椅子に腰を降ろした。
適当な大きさに切り分けて、一口分をフォークで刺して彼の前に差し出す。
「え、えっと……?」
「ほら、口開けて?あーん。」
すっかり困り果てて、潔くんは眉で八の字を作る。
わかっててわざとやってるわたしもちょっとずるいけれど、こうやって年相応の表情がみられるのだからやめられない。
そんな意図を知ってか知らずか、はたまた観念したのか。
潔くんはフォークの先のケーキをぱくりと頬張って、にこりともにやりとも取れる笑顔を向けてきた。
「すごく……おいしいです。」
「そ、それは良かった…です…?」
「貴女の誕生日は、オレにお祝いさせてください。」
不敵なほほ笑みはわたしへの仕返しだといわんばかり。
どきどきさせようと思ったのに、蓋を開けてみればわたしの方がどきどきさせられてしまった。
どこでそんな顔覚えたの!と思わずツッコミたくなる。
してやられた感じは否めいない。
でも潔くんが楽しそうにしているから、まぁいいかと思うことにした。
Happy Birthday to Isagi Hosyo!
久しぶりに瀬尾研究所を訪ねると、夏休みということもあってかしんと静まり返っていた。
そんな中で相変わらず難しそうな本を黙々と読んでいる潔くんにそっと声をかける。
ふわりと視線を上げ、わたしを捉た次の瞬間には思いっきり驚いて大慌てで席を立った。
「あっ……あの……すみません……」
「いいのいいの。むしろ邪魔しちゃってごめんね。」
「邪魔だなんて、そんな……」
彼との会話はこうして謝り合戦からいつも始まる。
今でこそ慣れてしまったから長いラリーをすることはなくなったけれど、会ったばかりの頃は早乙女さんに、お前らいつまでコントやってるんだと苦い顔をされることもしばしばあった。
「あっ、すみません……今日、瀬尾先生は……」
「ううん、今日は潔くんに会いに来たの。」
「え……?オレ、に……ですか?」
いつもは伏し目がちな瞳が大きく見開いてこちらを見る。
最近はよく目を合わせてくれるようになったなぁなんて思いながら、右手に持っていた紙袋を差し出した。
「はい、これ。お誕生日おめでとう。」
この大学の近くで一美味しいという評判のお店で買ってきたケーキだ。
可愛くんのおすすめだから、きっと間違いはないはず。
「そ、そんな……すみません……オレ、なんかに……。」
「ちゃーんとホールケーキだよ。シフォンだから、見た目のわりに食べられると思う。」
「わ、わぁ……もったいない……」
困惑しながら、まるで小動物のような動きでおずおずとケーキの箱をあける潔くん。
わたしが仕掛けたちょっとしたサプライズに気づいて、あっと小さく声を上げた。
「どう?可愛いでしょ?」
“おたんじょうびおめでとう いさぎくん”
そう書かれたチョコレートのプレートを支えるように、両脇にはマジパンで出来たネコが笑っている。
さすがに二十歳を超えた男の子にこれはどうかとも思ったけれど、動物好きの彼なら笑って許してくれるような気がした。
「……ふふっ。この子、貴女にそっくりですね……かわいい。」
愛おしそうに目を細めてケーキをスマホのカメラに収める合間にこぼれた言葉は、間違いなく無意識で、つまり彼の本音。
わたしに似てかわいい、なんて。
思わずえっと顔を上げると、その声に驚いた潔くんも同時に顔を上げる。
ばっちり視線がぶつかってしまった。
お互い気まずくて、苦笑い。
「ケ、ケーキ……食べよっか……?」
なんとも形容し難いむずがゆい空気を漂わせながら、ひとまず椅子に腰を降ろした。
適当な大きさに切り分けて、一口分をフォークで刺して彼の前に差し出す。
「え、えっと……?」
「ほら、口開けて?あーん。」
すっかり困り果てて、潔くんは眉で八の字を作る。
わかっててわざとやってるわたしもちょっとずるいけれど、こうやって年相応の表情がみられるのだからやめられない。
そんな意図を知ってか知らずか、はたまた観念したのか。
潔くんはフォークの先のケーキをぱくりと頬張って、にこりともにやりとも取れる笑顔を向けてきた。
「すごく……おいしいです。」
「そ、それは良かった…です…?」
「貴女の誕生日は、オレにお祝いさせてください。」
不敵なほほ笑みはわたしへの仕返しだといわんばかり。
どきどきさせようと思ったのに、蓋を開けてみればわたしの方がどきどきさせられてしまった。
どこでそんな顔覚えたの!と思わずツッコミたくなる。
してやられた感じは否めいない。
でも潔くんが楽しそうにしているから、まぁいいかと思うことにした。
Happy Birthday to Isagi Hosyo!