IDOLiSH7
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「では、壮五さん。あとよろしくお願いしますね。」
「うん、いってらっしゃい。」
笑顔で彼女を送り出して、ドアがぱたんと閉まった瞬間大きなため息をつく。
下ろしたてのパーティードレスに身を包み、いつもよりヒールの高いパンプスを軽やかに鳴らしながら、嬉しそうに千颯は出掛けて行った。
今日は久しぶりの同窓会なのだとか。
いつもは僕らのマネージャーとして多忙な彼女だけれど、たまたま休みが取れたとずいぶん前から楽しみにしていたのを知っている。
もっとも、この休みは社長と万里さんが千颯のために用意したものなのだが、それは僕らだけの秘密。
…同窓会。
ふと、また何度目かのため息がこぼれる。
めかし込んで出かけて行った彼女の行く先には、おそらく自分の知らない男たちもたくさんいるのだろう。
あれだけ可愛らしくしていたのだから、ちやほやしたがる人たちもきっと少なくない。
かといって、彼女の交友関係に口を挟む権利など自分にはないのだから、本当は行ってほしくないとも言えなくて。
ぐるぐるとどす黒い感情だけが心の中で渦巻いている。
「……いや、考えるのはよそう。」
何度か頭を振って雑念を払い、自室に戻ってヘッドホンをつけた。
新曲もそろそろ準備しなくては。
そんな考えもよぎるけれど、こんな気持ちのままでは良い曲など書けるはずがない。
オーディオコンポの電源を入れると、ヘッドホンからゆったりとした英語の曲が流れてくる。
ささくれ立った心を凪いでくれるような旋律は、いつかの誕生日に千颯から贈られたCDに入っていたもののひとつ。
知らないアーティストだったものの、彼女からのプレゼントということも相まって、いつの間にか精神安定剤のようなものになっていた。
ざわざわした心がようやく落ち着きを取り戻した頃。
すっかり放置していたスマホからメッセージを送った。
『帰る時間がわかったら、連絡ください。
迎えにいきます。』
つまらない男の嫉妬。
それでも送らずにはいられなかった。
いつからこんなに心が狭くなったのだろうと思わず苦笑する。
そして、仰いだ天井にそっと千颯の笑顔を思い浮かべた。