IDOLiSH7
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一時は芸能界から干されたなどと噂された時期もあったTRIGGERも、最近は順調に仕事を取り戻してきていて。
むしろ天くんは前よりも忙しいのでは?と錯覚するほどに多忙を極めていた。
だから家に帰ってくる頻度も格段に下がった。
淋しくないといえば嘘になるけれど、あれこれ気を揉むのは彼も本望ではないだろうから、せめて帰ってきたときくらいは笑顔でいるよう努めている。
そんな生活もすっかり慣れてきてしまったとある日。
珍しく早く仕事が終わったからとソファで寛いでいた天くんが、夕食の洗い物をしていたわたしに唐突に言い放った。
「……ねぇ、たまにはなにか作ってよ」
意図がわからなくて首を傾げると、ここのところ撮影続きでケータリングの食事ばかりで味気ない。
だからわたしに弁当を作れ、というのだ。
思わず次の言葉を失った。
だって、あの天下のアイドルTRIGGERのセンター九条天に、手作りのお弁当なんて。
似合わないを通り越して有り得ないとさえ思ってしまう。
「わ、わたしなんかで……いいの?」
「キミ以外いないでしょ。」
きっぱり言い切られて、また絶句。
確かに八乙女さんは絶対に料理なんてしなさそうだし。
十さんは出来そうに見えて実は壊滅的なのをわたしは知っている。
とはいえ、だ。
プロ意識の高い彼に下手なものは作れない。
どうしたものかと思わずため息をつく。
すると、わざと捨てられた仔犬のようなファン向けの表情でこちらを見てくる。
そんなことされたら、NOとはもう絶対に言えない。
覚悟を決めて、わたしは仕方なく承諾した。
それから数日後。
いよいよその日がやってきてしまった。
いつも以上に気合いを入れて買い物をし、夕食後に再びキッチンに立つ。
お弁当箱はわたしが使っていたものしかないから、年頃の男の子にしては随分可愛らしいデザインだ。
でも天くんなら何を使っていてもすんなり似合ってしまいそう。
少し笑みが零れた。
夕食の残りといくつか新たに作ったおかずを詰めて、あとは玉子焼きを入れるだけ。
そんな折を見計らってか、ちょうどのタイミングで天くんがひょいと顔を覗かせてきた。
「……甘いのにしてよね。」
たったひと言、それだけ残して去ってしまう。
きょとんと棒立ちになってしまったけれど、言葉の意味を理解して、また笑みが溢れた。
本当はお子様味覚なのは、わたしだけが知っている秘密。
「……美味しく食べてもらえるといいなぁ。」
ボウルに割入れたたまごを、鼻歌と共にかき混ぜる。
奏でるのはもちろん、天くんの曲。
むしろ天くんは前よりも忙しいのでは?と錯覚するほどに多忙を極めていた。
だから家に帰ってくる頻度も格段に下がった。
淋しくないといえば嘘になるけれど、あれこれ気を揉むのは彼も本望ではないだろうから、せめて帰ってきたときくらいは笑顔でいるよう努めている。
そんな生活もすっかり慣れてきてしまったとある日。
珍しく早く仕事が終わったからとソファで寛いでいた天くんが、夕食の洗い物をしていたわたしに唐突に言い放った。
「……ねぇ、たまにはなにか作ってよ」
意図がわからなくて首を傾げると、ここのところ撮影続きでケータリングの食事ばかりで味気ない。
だからわたしに弁当を作れ、というのだ。
思わず次の言葉を失った。
だって、あの天下のアイドルTRIGGERのセンター九条天に、手作りのお弁当なんて。
似合わないを通り越して有り得ないとさえ思ってしまう。
「わ、わたしなんかで……いいの?」
「キミ以外いないでしょ。」
きっぱり言い切られて、また絶句。
確かに八乙女さんは絶対に料理なんてしなさそうだし。
十さんは出来そうに見えて実は壊滅的なのをわたしは知っている。
とはいえ、だ。
プロ意識の高い彼に下手なものは作れない。
どうしたものかと思わずため息をつく。
すると、わざと捨てられた仔犬のようなファン向けの表情でこちらを見てくる。
そんなことされたら、NOとはもう絶対に言えない。
覚悟を決めて、わたしは仕方なく承諾した。
それから数日後。
いよいよその日がやってきてしまった。
いつも以上に気合いを入れて買い物をし、夕食後に再びキッチンに立つ。
お弁当箱はわたしが使っていたものしかないから、年頃の男の子にしては随分可愛らしいデザインだ。
でも天くんなら何を使っていてもすんなり似合ってしまいそう。
少し笑みが零れた。
夕食の残りといくつか新たに作ったおかずを詰めて、あとは玉子焼きを入れるだけ。
そんな折を見計らってか、ちょうどのタイミングで天くんがひょいと顔を覗かせてきた。
「……甘いのにしてよね。」
たったひと言、それだけ残して去ってしまう。
きょとんと棒立ちになってしまったけれど、言葉の意味を理解して、また笑みが溢れた。
本当はお子様味覚なのは、わたしだけが知っている秘密。
「……美味しく食べてもらえるといいなぁ。」
ボウルに割入れたたまごを、鼻歌と共にかき混ぜる。
奏でるのはもちろん、天くんの曲。