IDOLiSH7
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『助けてください』
そんな切実なラビチャが届いたのは、ちょうど日付が変わろうとしていた頃。
出掛ける支度をしながら慌てて陸くんに電話をすると、すでに彼は半分泣きそうになっていた。
「ど、どうしたの?」
『壮五さんが……壮五さんがぁ~』
壮五さんに何かが起きた、ということはわかった。
しかし慌てているせいでそれ以外はまったく容量を得ない。
出来れば一織くんあたりに代わってほしいところだけれど、操作ミスか何かで通話を切られてしまった。
掛け直すことも考えたけれど、これは実際に現場に行った方が速いと思い、簡単に財布とスマホと車のカギだけポケットに突っ込んで家を飛び出した。
* * *
「これは……また……。」
会場について、思わず息を飲んだ。
こじんまりとした居酒屋が、まさに修羅場と化していた。
あちらこちらに空になったビールジョッキがちらばり、三月さんと大和さんが机に突っ伏して寝ている。
肝心の壮五さんはといえば。
困り果てた顔の十さんを座椅子にして、オレンジ色のカクテルを片手にご満悦。
左手には半泣きの陸くんを、右手には絶叫する環くんを侍らせていた。
「あ、千颯だぁ~!」
ちょうど店に入ってきたわたしに、壮五さんは満面の笑みで手を振ってくる。
あぁできることなら他人のフリしたい。
酔っぱらった壮五さんほど相手するのが大変なひとはいない。
でもあの陸くんと環くんを見てしまったら、逃げるに逃げられない。
意を決して彼のそばにいくと、予想に反して強い力で腕を引っ張られて、気が付いたら壮五さんとキスをしていた。
「……ちょ、そ……ご、さん……!」
いくら抵抗しても離してない。
まわりではみんながこの状況を啞然とした状態で眺めている。
「なーんでそんなやなかおするのぉ~?」
「いや、とかじゃなくて!!場所を考えてください!」
「え~……?いつもはもっと……」
「黙って!!」
慌てて両手で彼の口を両手でふさぐけれど、時すでに遅し。
「え……?千颯さんと、壮五さんって……付き合って、るの……?」
きょとんとした陸くんの顔。
そうですよね、そりゃびっくりしますよね。
今まではただの仲のいい同業者でしかなかったんですから。
わたしはともかくとして、IDOLiSH7は今や一世を風靡するトップアイドル。
オンナの影がちらついたなんて噂にでもなれば大惨事に発展する。
それ故に、今までは仲間内にすら隠し通してきたのに。
とはいえ、ここまで来てあれこれ言い訳するのもおかしい気がして、素直に頷く。
「いや、えっと……その……はい。」
なんでこんな醜態をさらさないといけないんだわたしが……!
……仕方ない。
壮五さんには明日の朝、たっぷりお説教するとしよう。
もちろん、彼に記憶があればの話だけれど。
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