IDOLiSH7
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今日のTRIGGERも最高だった……。
ステージの幕が降り、会場の客電にも灯りがついて一気に見晴らしが良くなる。
急いで帰り支度をしている人。
隣の席の友人と感想を語り合っている人。
そんな人たちを忙しなく会場から出そうとするスタッフ。
ほんの数分前まで一体になっていた客席は、いまはがやがやとした騒音で包まれている。
わたしはと言えば、特別に用意してもらった関係者席だから、そう慌てて出る必要もないかと悠長に構えていた。
詳しく並べ始めたら3日はかかってしまいそうな感想をぐっと凝縮して心に刻みながらスマホの電源を入れる。
すると、メッセージがひとつ。
『これ見たら、楽屋に来て』
わたしにこの席を用意してくれた、天くんからだった。
彼が楽屋に招集をかけてくるなんて珍しい。
何かあったのだろうか。
身支度の手を少し早めて、専用のパスを握りしめたまま指定の場所へと歩を進めた。
「いらっしゃい」
控えめにノックしてからドアを開くと、天くんはまだアンコールで着ていたライブTシャツのままにっこり笑顔で迎え入れてくれた。
八乙女さんや十さんはもう半分くらいは私服に戻っているのに。
「随分早かったね。」
「うん、メッセージ見た時まだ客席にいたから。」
ライブの余韻で動けなかった、と素直に言えばまた満足そうな顔が返ってくる。
ファンのことを1番に想ってくれている彼らしい反応だ。
わたしも嬉しくなって笑顔で返すと、突然天くんが先程のステージで見せていた、悪戯っ子のような小悪魔的な笑顔に変わった。
「今日のライブ、楽しんでくれた?」
「え?!う、うん……?」
「来てくれて、ありがとう」
そう言って、自分の左耳についていたイヤリングを外してわたしに握らせる。
状況が理解できなくて、ぽかんと口を開けたままになってしまった。
「前のライブの時、こういうの羨ましいって言ってたでしょ?」
にやりと含みのある表情。
それで全てを思い出した。
アンコールの最後に八乙女さんや十さんがタオルを客席に投げ込むのを見て、天くんから貰えたら宝物にするのにと言ったのだった。
「いや、でも、これ……は……!」
「いらない?」
「そういうんじゃなくて!」
これは、ライブのタオルとは価値が違いすぎる。
そう訴えたいのに、こてんと小首を傾げて捨てられた仔犬みたいな眼差しを向けられては何も言えなくなってしまう。
「キミは特別だから……ね。」
極めつけに、額へ落とされた触れるだけのキス。
身体の熱が一気に沸騰してしまったかのように熱くなって、もうその場に固まるしか出来なかった。
天くんってば、はしゃぎすぎ。
出来ればそのくらいの返しはしておきたかったのに。
嬉しさと恥ずかしさとが入り交じってただただ俯くわたしを、天くんは満足そうに見つめた。
「よっぽど今日のライブが楽しかったんだね、天。」
「やるなら楽屋じゃなくて家でやれよ……」
後ろで十さんが微笑ましく、八乙女さんが呆れたようにため息をついていたなんて、知る由もなかった。
ステージの幕が降り、会場の客電にも灯りがついて一気に見晴らしが良くなる。
急いで帰り支度をしている人。
隣の席の友人と感想を語り合っている人。
そんな人たちを忙しなく会場から出そうとするスタッフ。
ほんの数分前まで一体になっていた客席は、いまはがやがやとした騒音で包まれている。
わたしはと言えば、特別に用意してもらった関係者席だから、そう慌てて出る必要もないかと悠長に構えていた。
詳しく並べ始めたら3日はかかってしまいそうな感想をぐっと凝縮して心に刻みながらスマホの電源を入れる。
すると、メッセージがひとつ。
『これ見たら、楽屋に来て』
わたしにこの席を用意してくれた、天くんからだった。
彼が楽屋に招集をかけてくるなんて珍しい。
何かあったのだろうか。
身支度の手を少し早めて、専用のパスを握りしめたまま指定の場所へと歩を進めた。
「いらっしゃい」
控えめにノックしてからドアを開くと、天くんはまだアンコールで着ていたライブTシャツのままにっこり笑顔で迎え入れてくれた。
八乙女さんや十さんはもう半分くらいは私服に戻っているのに。
「随分早かったね。」
「うん、メッセージ見た時まだ客席にいたから。」
ライブの余韻で動けなかった、と素直に言えばまた満足そうな顔が返ってくる。
ファンのことを1番に想ってくれている彼らしい反応だ。
わたしも嬉しくなって笑顔で返すと、突然天くんが先程のステージで見せていた、悪戯っ子のような小悪魔的な笑顔に変わった。
「今日のライブ、楽しんでくれた?」
「え?!う、うん……?」
「来てくれて、ありがとう」
そう言って、自分の左耳についていたイヤリングを外してわたしに握らせる。
状況が理解できなくて、ぽかんと口を開けたままになってしまった。
「前のライブの時、こういうの羨ましいって言ってたでしょ?」
にやりと含みのある表情。
それで全てを思い出した。
アンコールの最後に八乙女さんや十さんがタオルを客席に投げ込むのを見て、天くんから貰えたら宝物にするのにと言ったのだった。
「いや、でも、これ……は……!」
「いらない?」
「そういうんじゃなくて!」
これは、ライブのタオルとは価値が違いすぎる。
そう訴えたいのに、こてんと小首を傾げて捨てられた仔犬みたいな眼差しを向けられては何も言えなくなってしまう。
「キミは特別だから……ね。」
極めつけに、額へ落とされた触れるだけのキス。
身体の熱が一気に沸騰してしまったかのように熱くなって、もうその場に固まるしか出来なかった。
天くんってば、はしゃぎすぎ。
出来ればそのくらいの返しはしておきたかったのに。
嬉しさと恥ずかしさとが入り交じってただただ俯くわたしを、天くんは満足そうに見つめた。
「よっぽど今日のライブが楽しかったんだね、天。」
「やるなら楽屋じゃなくて家でやれよ……」
後ろで十さんが微笑ましく、八乙女さんが呆れたようにため息をついていたなんて、知る由もなかった。