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その他

一世一代の告白をして、見事に玉砕した。
こんな結末が待っていることを、頭の片隅では予想していたけれどまさか現実になるとは思っていなかった。
体育館の裏でひっそりと膝を抱えて、大きなため息をつく。
春高が終わるまでは、バレーに集中したいから、って。
それとわたしのことは、妹みたいにしか思えないって。
主将の彼らしい答えだった。
言葉は相変わらず優しいけれど、今は鋭利な刺となって胸の奥の方に突き刺さっている。
「…きっつい、なぁ…」
必死に我慢していた涙が今になって堰を切ったようにぼろぼろとこぼれ落ちてきた。
本当は自分で思っていたよりも好きの気持ちは大きかったのかもしれない。
それが届かないとわかった今、どう処理したらいいのかわからない。
畳んだ膝に額をつけて、ただ嗚咽を漏らす。
どれくらいそうしていたかわからないけれど、しばらくしてようやく落ち着いた頃。
草を踏みつける音がして、はっと顔を上げた。
「あっ…」
こっちを見てしまったとバツの悪そうな表情の男の子。
隣のクラスの、影山くんだ。
「…ごめん。変なとこ、見せて…。
彼にしてみれば、体育館裏でうずくまっている人がいれば怪しいに近いない。
それに泣きすぎて目も真っ赤になっているのだから尚更だ。
慌てて涙の痕を拭っていると、戸惑いながら彼はそっとわたしの隣に腰を下ろした。
「…影山くんは、部活中?」
「いや、今日は自主練、っス。」
「そっか。」
妙に緊張しているのか、やけにそっけない。
まぁ、そもそも影山くんとはほとんど話したこともないのだけれど。
私が時々試合の応援に行っているから、一方的に知っているだけ。
「わたしもバレーやってれば良かったのかなぁ。」
「え?バレー、やるんスか?!」
ワードを出した途端、彼の瞳が輝く。
だから慌てて首を横に振ると、なんだ違うのかと舌打ちされそうな勢いでため息をつかれた。
「幼なじみがね、バレーやってるの。」
お隣に住んでるお兄ちゃん。
優しくて、かっこよくて、憧れだった。
それが恋に変わるなんて、そう難しいことではなかった。
むしろ当たり前だった。
「でもね、さっきフラれちゃったんだ。」
乾いた笑いをこぼすと、さっきまで話に耳を傾けてくれていた影山くんは途端に慌てた表情になる。
なんて声を掛けたらいいんだって、困ってる顔。
「妹みたいにしか…思えない、って。」
それが一番強く深く刺さっている言葉。
思い出したらまた涙が出てきてしまって、ぽろぽろと頬を伝っていく。
こんなぐちゃぐちゃな顔、もうこれ以上晒したくないのに。
でも感情は止まらない。
無意識のうちに彼の肩に顔を埋めて、子供みたいに泣きじゃくってしまった。


これで、泣くのは最後にしよう。
好きも未練も、全部洗い流して。
次に顔を上げたときには、ちゃんと笑えるように。
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