その他
今はまだ、途方もない夢だけれど。
いつか本当に自由を手に入れる事ができたら。
そのときオレたちは……
なぜそんな話になったのかはわからない。
誰が言い出したのかも定かではない。
大方サシャかコニーあたりのような気がするが。
ー巨人のいない世界になったら、何をしたいか。
みんなはそれぞれに希望があるようだけれど。
オレは、いまいちよくわからなかった。
アルミンと一緒に外の世界を冒険する、というのも確かにあるのだけれど。
本心はどこか違うところにあるような気もして、上手く言葉に出来なかった。
「ミカサだったら、どうする?」
ふと、そう言えば彼女はその話の場にいなかったことを思い出した。
「どう、と言われても……」
「少しくらいはあるだろ?」
「エレンと一緒なら、それでいい。」
予想していなかったといえば嘘になるが、やはりこの反応だった。
もう少し欲というものを持ってもいいのだけれど。
「なんだよそれ」
「わたしにとっては、それが一番。」
微かに、生きているかわからないから、と聞こえたような気がした。
それはミカサ自身のことか、はたまたエレンのことか。
可能性としては後者だろう。
巨人を全て駆逐するということは、巨人化出来るエレンも含まれてしまうかもしれないのだから。
「……なぁ、ミカサ。」
「なに?」
「ひとつ……オレから頼んでもいいか?」
こくん、と即座に頷く彼女。
まず断るはずはないだろうが。
「髪、伸ばせよ。」
「え?」
「前に、オレが切れって言ったから切ったんだろ?」
あの時、アルミンにこってり絞られたのを思い出した。
あんなに綺麗だったのに、とか。
ミカサはエレンの言うことならほとんど聞いてしまうんだから、
迂闊なことを言うな、とか。
「別に……そういうつもりではなかった。」
「けど、同じようなもんだろ。」
「エレンは?」
「は?」
「エレンは、長い方が、好き?」
予想外の切り返しに、思わず言葉に詰まる。
おまけに、ミカサにしては珍しく、小動物のような目で小首を傾げてくるものだから。
エレンは自身の顔が赤くなっていることにすら、気づけなかった。
「い、いや……好みとか、じゃないけど……」
「なら、短くても変わらない。」
「そ、そうじゃないだろ!!」
素直に認めてしまえば楽なのに。
なぜかそれは負けた気分になるから、肯けない。
「もうこの話は終わりだ!」
「エレン、まだ終わっていない」
「終わるんだよ!!」
ようやく頬の熱を自覚したエレンは、ふいっと顔を背けた。
心臓がばくばくうるさい。
早く鎮まれ、早く。
そう思えば思うほど、言うことを聞かない。
彼が本当にこの気持ちに気づくまで、もう少し。
いつか本当に自由を手に入れる事ができたら。
そのときオレたちは……
なぜそんな話になったのかはわからない。
誰が言い出したのかも定かではない。
大方サシャかコニーあたりのような気がするが。
ー巨人のいない世界になったら、何をしたいか。
みんなはそれぞれに希望があるようだけれど。
オレは、いまいちよくわからなかった。
アルミンと一緒に外の世界を冒険する、というのも確かにあるのだけれど。
本心はどこか違うところにあるような気もして、上手く言葉に出来なかった。
「ミカサだったら、どうする?」
ふと、そう言えば彼女はその話の場にいなかったことを思い出した。
「どう、と言われても……」
「少しくらいはあるだろ?」
「エレンと一緒なら、それでいい。」
予想していなかったといえば嘘になるが、やはりこの反応だった。
もう少し欲というものを持ってもいいのだけれど。
「なんだよそれ」
「わたしにとっては、それが一番。」
微かに、生きているかわからないから、と聞こえたような気がした。
それはミカサ自身のことか、はたまたエレンのことか。
可能性としては後者だろう。
巨人を全て駆逐するということは、巨人化出来るエレンも含まれてしまうかもしれないのだから。
「……なぁ、ミカサ。」
「なに?」
「ひとつ……オレから頼んでもいいか?」
こくん、と即座に頷く彼女。
まず断るはずはないだろうが。
「髪、伸ばせよ。」
「え?」
「前に、オレが切れって言ったから切ったんだろ?」
あの時、アルミンにこってり絞られたのを思い出した。
あんなに綺麗だったのに、とか。
ミカサはエレンの言うことならほとんど聞いてしまうんだから、
迂闊なことを言うな、とか。
「別に……そういうつもりではなかった。」
「けど、同じようなもんだろ。」
「エレンは?」
「は?」
「エレンは、長い方が、好き?」
予想外の切り返しに、思わず言葉に詰まる。
おまけに、ミカサにしては珍しく、小動物のような目で小首を傾げてくるものだから。
エレンは自身の顔が赤くなっていることにすら、気づけなかった。
「い、いや……好みとか、じゃないけど……」
「なら、短くても変わらない。」
「そ、そうじゃないだろ!!」
素直に認めてしまえば楽なのに。
なぜかそれは負けた気分になるから、肯けない。
「もうこの話は終わりだ!」
「エレン、まだ終わっていない」
「終わるんだよ!!」
ようやく頬の熱を自覚したエレンは、ふいっと顔を背けた。
心臓がばくばくうるさい。
早く鎮まれ、早く。
そう思えば思うほど、言うことを聞かない。
彼が本当にこの気持ちに気づくまで、もう少し。