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FINAL FANTASY7

お仕事、忙しいのはわかってるよ。
なんだかいろいろ大変なんだって。
わたしの気持ち、わがままなのもわかってるよ。
でも、ほんのちょっとだけ。

「まだ……帰れそうにないの?」
『あー……そう、だなぁ……』

久しぶりに電話が来たから、そろそろかなって思ったのに。
やっぱり彼は忙しそう。
世界中を飛び回ってるんだもん。
ソルジャーって……大変。

「そう……。ちゃんとごはん、食べてる?」
『食べてるけど……あんま上手くない。』

そういえば、支給されるごはん、好きじゃないって言ってたね。
なんでも食べるけど……結構ザックス、好みはうるさいよね。

『早くそっち帰って、エアリスの作ったやつ食べたい。』
「え?うーん……なにがいい?」
『なんでもいいよ。エアリスが作ってくれれば。』

それは一番困る返事だなぁ。
せっかくだから、喜んでもらえるものがいいけれど……。

なんて考えていたら。
突然、教会の戸を叩く音。

「ごめんね、誰か来たみたい。ちょっとだけ、待ってて?」
『あーじゃぁ切るよ。こっちもそろそろ仕事戻らなきゃいけないし。』
「うん……じゃぁ、またね。」

通話を切るこの瞬間は、やっぱりいつも淋しい。
でも今はお客さんを待たせているから、余韻に浸っている場合じゃない。

……誰かな?
ツォンかな?それとも、スラムの誰かかな?

ゆっくり戸を開けて、確認する。
その来客に驚きすぎて、のどがひゅっと鳴って息が止まった。

「ざ、っくす……?」
「よっ、ただいま。」

今さっきまで電話の向こうにいたはずの彼がそこにいて。
どうして?なんで?
しばらく帰れないって言ってたのに……?

「我慢できなくて、帰ってきちゃった。」
「え……?」
「限界なので、充電させてください。」

そう言うと、彼はわたしの返事も待たずにぎゅっと抱きしめてきた。
ザックスの服、なんだかほこりっぽい。
本当に急いで来てくれたんだね。

「……おかえり。」

わたしもぎゅってお返しすると、彼の腕の力が少しだけ強くなった。

「いつも、待たせてごめんな。」
「ううん……帰ってきてくれるなら……それでいいの。」

帰ってきてくれれば、ちゃんと伝えられるから。

「ザックス、だいすきよ。」
「俺は……あいしてる。」



Fin.
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