FINAL FANTASY7
「じゃぁ、デート1回!」
いつだったか、そんな約束をした。
何かと忙しい彼が、こんな小さな約束を覚えているはずもないと思っていたのに。
「お、お待たせ……」
私はいま、生活圏内のスラム街を抜けだして。
ミッドガルという大都市の中にいる。
行き交う人もたくさんで、
あちこちから活気のある声が溢れていて目が回りそう。
「怖い?」
「……ううん、だいじょぶ。」
本当は、少し怖い。
私、普通じゃないみたいだし。
でも、ザックスがいてくれるから、
今日はきっと大丈夫。
「エアリス、ほら。」
笑顔の彼が示す先は……
「わぁっ……!」
限りなく広がる、青。
これが本当の、空。
ザックスの瞳と、同じ色。
「な?きれいだろ?」
「すごい……すいこまれそう……」
境界線のないそれは、どこまでもどこまでも続いている。
この空はどこが最後なの?とザックスに聞いてみたけれど。
そんな難しいことはわからない、と眉をひそめられてしまった。
ザックスでも知らないこと、あるんだね。
「そんなことより、早く行こう!」
不意に手を握られて、歩き出す。
どきどき、する。
わくわく、してる。
ザックスと一緒だから、かな?
* * *
それから、私たちはくたくたになるまで街の中でめいっぱい遊んだ。
お芝居を見たり、
キラキラした小物がたくさん並んでるお店を見たり、
カフェでお茶したり。
本当に、普通の女の子みたい。
そして、見るたびにその色を変えていく空にも驚いた。
あんなに澄んだ青だったのに、
気がつけばオレンジ、朱に染まって。
今はもうすっかり濃い藍色になっている。
「最後に、エアリスにはこれを見せたかったんだ。」
そう彼が言うや否や。
ひゅーっと空を裂く音がする。
それに気を取られていたせいで、
身体の芯まで震わすどぉんっという重低音には本当に驚いた。
でも、それ以上に。
「わぁっ……!」
夜空一面に広がる大輪の花。
「ザックス!あれ!あれなぁに?!」
「花火だよ。」
「はな、び?」
あれこれ仕組みを説明されたけど、
難しくてよくわからなかった。
ザックス、説明上手くないんだもん。
「あ、エアリスいま俺のことばかにしただろ。」
「してないよー」
「うそだ!絶対した!」
むーと頬を膨らませる彼は、本当に仔犬みたい。
「そんなこと思ってないよ。」
「いーや、絶対おもっ……?!」
ザックスの目が急にまんまるになった。
少し顔も赤いのは……気のせいかな?
「ありがと、ザックス。」
頬にキスなんて、こんな大胆なこと普段の私なら絶対にできない。
けど、今日だけは、普通の女の子でいたいから。
ありがとうと、だいすきをこめて。
fin,
いつだったか、そんな約束をした。
何かと忙しい彼が、こんな小さな約束を覚えているはずもないと思っていたのに。
「お、お待たせ……」
私はいま、生活圏内のスラム街を抜けだして。
ミッドガルという大都市の中にいる。
行き交う人もたくさんで、
あちこちから活気のある声が溢れていて目が回りそう。
「怖い?」
「……ううん、だいじょぶ。」
本当は、少し怖い。
私、普通じゃないみたいだし。
でも、ザックスがいてくれるから、
今日はきっと大丈夫。
「エアリス、ほら。」
笑顔の彼が示す先は……
「わぁっ……!」
限りなく広がる、青。
これが本当の、空。
ザックスの瞳と、同じ色。
「な?きれいだろ?」
「すごい……すいこまれそう……」
境界線のないそれは、どこまでもどこまでも続いている。
この空はどこが最後なの?とザックスに聞いてみたけれど。
そんな難しいことはわからない、と眉をひそめられてしまった。
ザックスでも知らないこと、あるんだね。
「そんなことより、早く行こう!」
不意に手を握られて、歩き出す。
どきどき、する。
わくわく、してる。
ザックスと一緒だから、かな?
* * *
それから、私たちはくたくたになるまで街の中でめいっぱい遊んだ。
お芝居を見たり、
キラキラした小物がたくさん並んでるお店を見たり、
カフェでお茶したり。
本当に、普通の女の子みたい。
そして、見るたびにその色を変えていく空にも驚いた。
あんなに澄んだ青だったのに、
気がつけばオレンジ、朱に染まって。
今はもうすっかり濃い藍色になっている。
「最後に、エアリスにはこれを見せたかったんだ。」
そう彼が言うや否や。
ひゅーっと空を裂く音がする。
それに気を取られていたせいで、
身体の芯まで震わすどぉんっという重低音には本当に驚いた。
でも、それ以上に。
「わぁっ……!」
夜空一面に広がる大輪の花。
「ザックス!あれ!あれなぁに?!」
「花火だよ。」
「はな、び?」
あれこれ仕組みを説明されたけど、
難しくてよくわからなかった。
ザックス、説明上手くないんだもん。
「あ、エアリスいま俺のことばかにしただろ。」
「してないよー」
「うそだ!絶対した!」
むーと頬を膨らませる彼は、本当に仔犬みたい。
「そんなこと思ってないよ。」
「いーや、絶対おもっ……?!」
ザックスの目が急にまんまるになった。
少し顔も赤いのは……気のせいかな?
「ありがと、ザックス。」
頬にキスなんて、こんな大胆なこと普段の私なら絶対にできない。
けど、今日だけは、普通の女の子でいたいから。
ありがとうと、だいすきをこめて。
fin,