ヒカルの碁
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どす黒いもやもやしたものが、腹の底に溜まってぐるぐる渦巻いている。
吐き出したいのに、吐き出せない。
真綿で首を締められているような感覚だ。
「・・・・・・慎一郎さん?」
ふと顔を上げると、不安そうな顔をした千颯がこちらをじっと見ている。
その手には、一緒に暮らし始めた時に揃いで買ったマグカップ。
「大丈夫、ですか?」
「あ、あぁ・・・・・・ごめん・・・・・・」
そんな表情をさせたいわけじゃない。
いつでも彼女には笑っていてもらいたい。
「熱いので、気をつけてくださいね」
手渡されるのは、いつもと同じ食後のコーヒー。
ぎこちなく受け取って、一口すする。
ごくんと飲み込んで、思わず目を見開いてひよりを見た。
「これ、って・・・・・・」
「慎一郎さん、本当はこっちの方が好きですよね」
コーヒーだと思って飲み込んだそれは、本当は牛乳たっぷりのカフェオレだった。
砂糖も入って、程よく甘い。
まだコーヒーが飲めなかった頃に、よく隠れて飲んでいたものだ。
「・・・・・・もしかして、気づいてたのか?」
「慎一郎さんのことなら、だいたいわかります」
得意げに笑う千颯に、ひどく安心を覚えた。
「わたしに出来るのはこれくらいしかないですけど」
いつもそんなふうに彼女は謙遜するが、オレにとっては何よりの救いだった。
そばにいてくれるだけで、こんなにも安心できる。
「・・・・・・ありがとう」
もう一度、改めてカフェオレをすする。
千颯みたいだなと思った。
あったかくて、あまくて、安心する。
じんわりと心の奥に染み込んできて、あのどす黒いなにかをゆっくりと消していく。
彼女がいて、ようやくまともに息が吸えるようになる。
こぼれそうになる涙をそっと隠すように、隣に座る千颯を強く抱きしめた。
吐き出したいのに、吐き出せない。
真綿で首を締められているような感覚だ。
「・・・・・・慎一郎さん?」
ふと顔を上げると、不安そうな顔をした千颯がこちらをじっと見ている。
その手には、一緒に暮らし始めた時に揃いで買ったマグカップ。
「大丈夫、ですか?」
「あ、あぁ・・・・・・ごめん・・・・・・」
そんな表情をさせたいわけじゃない。
いつでも彼女には笑っていてもらいたい。
「熱いので、気をつけてくださいね」
手渡されるのは、いつもと同じ食後のコーヒー。
ぎこちなく受け取って、一口すする。
ごくんと飲み込んで、思わず目を見開いてひよりを見た。
「これ、って・・・・・・」
「慎一郎さん、本当はこっちの方が好きですよね」
コーヒーだと思って飲み込んだそれは、本当は牛乳たっぷりのカフェオレだった。
砂糖も入って、程よく甘い。
まだコーヒーが飲めなかった頃に、よく隠れて飲んでいたものだ。
「・・・・・・もしかして、気づいてたのか?」
「慎一郎さんのことなら、だいたいわかります」
得意げに笑う千颯に、ひどく安心を覚えた。
「わたしに出来るのはこれくらいしかないですけど」
いつもそんなふうに彼女は謙遜するが、オレにとっては何よりの救いだった。
そばにいてくれるだけで、こんなにも安心できる。
「・・・・・・ありがとう」
もう一度、改めてカフェオレをすする。
千颯みたいだなと思った。
あったかくて、あまくて、安心する。
じんわりと心の奥に染み込んできて、あのどす黒いなにかをゆっくりと消していく。
彼女がいて、ようやくまともに息が吸えるようになる。
こぼれそうになる涙をそっと隠すように、隣に座る千颯を強く抱きしめた。