ヒカルの碁
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ふと窓の外に視線を向けると、いつの間にか曇天が広がっていて
強い雨粒が窓ガラスを叩いている。
ほんの数十分前までは青空だったのに。
「どうしよう、傘持ってきてない」
「通り雨だから、大丈夫だよ」
ちょうど見終わったDVDを止めて、慎一郎は立ち上がる。
空になったカップを見て、新しいカフェオレを入れてくれるらしい。
勝手知ったる仲なのをいいことに、カップだけ渡して寛いでいようと思ったその矢先。
思わず瞳を閉じずにはいられないほどの閃光が差し込み、
さらには間髪入れぬうちに世界が真っ二つに割れたかと錯覚するような轟音が響き渡った。
小さく悲鳴を上げて、反射的に彼の腕にしがみついた。
「これは・・・結構近くに落ちたかもなぁ」
対照的に慎一郎は大して気にも留めない様子で外を覗きに行こうとさえしている。
途端に心細くなって、涙が溢れそうになっているのも厭わず慌ててそれを引きとめた。
「雷、だめだっけ?」
何度も何度も首を縦に振る。
絶叫系の乗り物と雷だけはどうしても苦手なのだ。
そんなわたしの姿を見て、彼はしばし思案した後に何かを思いついたようにまた隣に腰を下ろす。
「気、紛らわせてやろうか?」
方法はなんでも良かった。
この得体の知れない恐怖を拭い去ってくれるのなら。
再びこくこく頷くと、少しだけ楽しそうに口角を上げながら慎一郎はわたしを膝に乗せて目を閉じるよう言ってきた。
なんの疑いもなくそれに従うと、次の瞬間に訪れたのは唇に触れた熱。
驚いてつい目を開けると、予想以上に近い距離に彼の顔があった。
「ちょっ・・・しん、いち・・・ろ・・・」
慌てて身を引こうとしても、いつの間にか腰に腕をしっかりと回されていて動くことができない。
背後ではまだ断続的な轟音が鳴り響いている。
その度に肩がぴくりと震えた。
「目、閉じて。外のことは気にしなくていいから。」
吐息混じりに囁かれながらもゆるゆると焦らして重なる唇は、次第に熱が上昇していき、
深みを増していけば自然と思考に靄が掛かったように曖昧になる。
シャツの裾からするりと侵入してくる大きな手に一瞬身を震わせたけれど、
それは決して恐怖ではなかった。
驚きと、ほんの少しの快楽。
小さく零れるはしたない声を聞くのも。
未だに誰も触れたことのない場所にたどり着くのも。
ぜんぶ、慎一郎ならいいと思った。
あんなに恐ろしかった雷の音も、いつの間にかどこか遠くで響くBGMになっている。
本当に過ぎ去ったのか、はたまたわたしの聴覚が認識するのをやめたのか。
理由なんて、どちらでもいい。
ゆるやかに与えられるこの甘くて心地の良い快楽に、もうしばらく揺蕩っていられるのならば。
強い雨粒が窓ガラスを叩いている。
ほんの数十分前までは青空だったのに。
「どうしよう、傘持ってきてない」
「通り雨だから、大丈夫だよ」
ちょうど見終わったDVDを止めて、慎一郎は立ち上がる。
空になったカップを見て、新しいカフェオレを入れてくれるらしい。
勝手知ったる仲なのをいいことに、カップだけ渡して寛いでいようと思ったその矢先。
思わず瞳を閉じずにはいられないほどの閃光が差し込み、
さらには間髪入れぬうちに世界が真っ二つに割れたかと錯覚するような轟音が響き渡った。
小さく悲鳴を上げて、反射的に彼の腕にしがみついた。
「これは・・・結構近くに落ちたかもなぁ」
対照的に慎一郎は大して気にも留めない様子で外を覗きに行こうとさえしている。
途端に心細くなって、涙が溢れそうになっているのも厭わず慌ててそれを引きとめた。
「雷、だめだっけ?」
何度も何度も首を縦に振る。
絶叫系の乗り物と雷だけはどうしても苦手なのだ。
そんなわたしの姿を見て、彼はしばし思案した後に何かを思いついたようにまた隣に腰を下ろす。
「気、紛らわせてやろうか?」
方法はなんでも良かった。
この得体の知れない恐怖を拭い去ってくれるのなら。
再びこくこく頷くと、少しだけ楽しそうに口角を上げながら慎一郎はわたしを膝に乗せて目を閉じるよう言ってきた。
なんの疑いもなくそれに従うと、次の瞬間に訪れたのは唇に触れた熱。
驚いてつい目を開けると、予想以上に近い距離に彼の顔があった。
「ちょっ・・・しん、いち・・・ろ・・・」
慌てて身を引こうとしても、いつの間にか腰に腕をしっかりと回されていて動くことができない。
背後ではまだ断続的な轟音が鳴り響いている。
その度に肩がぴくりと震えた。
「目、閉じて。外のことは気にしなくていいから。」
吐息混じりに囁かれながらもゆるゆると焦らして重なる唇は、次第に熱が上昇していき、
深みを増していけば自然と思考に靄が掛かったように曖昧になる。
シャツの裾からするりと侵入してくる大きな手に一瞬身を震わせたけれど、
それは決して恐怖ではなかった。
驚きと、ほんの少しの快楽。
小さく零れるはしたない声を聞くのも。
未だに誰も触れたことのない場所にたどり着くのも。
ぜんぶ、慎一郎ならいいと思った。
あんなに恐ろしかった雷の音も、いつの間にかどこか遠くで響くBGMになっている。
本当に過ぎ去ったのか、はたまたわたしの聴覚が認識するのをやめたのか。
理由なんて、どちらでもいい。
ゆるやかに与えられるこの甘くて心地の良い快楽に、もうしばらく揺蕩っていられるのならば。