「慎一郎さんっ！あのね！それでね・・・！」

同じベッドに寝転がり、あとは眠るだけのはずだったのだが。
話し足りなかったように千颯は次から次へといろんな話題を出してくる。
今日食べたお昼ご飯。
職場で聞いた面白い話。
ちょっと変わった友だちのこと。
よくまぁこんなにぽんぽん出てくるものだなぁと感心する一方で、
そろそろ寝なくていいのかと少し心配になる。
時計の針はとっくにてっぺんを越えているし、彼女は明日も朝早くから仕事のはずだ。

「それから、えっと・・・」

一気に話さなくても、オレは逃げたりしないよ。
そんな気持ちを込めてぎゅっと抱き寄せると、
千颯はまるで猫のようにオレの胸元に頬を摺り寄せてきた。
そして、さすがに睡魔もすぐ近くまで来ているようで、
先ほどまで饒舌だったその口も、次第にむにゃむにゃと曖昧になっていく。

「続きは明日、な？」
「・・・さいご、に・・・も、いっこ・・・」

そう言いつつも、くぁぁと大きな欠伸をひとつ。
なんだ、やっぱり眠いんじゃないか。

「おやすみ」
「・・・ぅん・・・」

軽く触れるだけのキスを千颯の額に落としてから、
ベッドサイドの灯りを消した。
願わくば夢の中でも一緒にいられればいいのだが、それは欲張り過ぎだろうか。
なんて考えてしまうくらい、いつの間にか彼女のことが好きになっていたんだなと
無意識のうちに苦笑した。