ヒカルの碁
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駅に向かう道を並んで歩きながら、小さく息を吐く。
私たちがこうやって一緒にいられるのは、アキラくんが碁会所に寄るときだけ。
彼の行きつけの碁会所が私の職場のすぐ近くだから。
最寄りの駅で待ち合わせて、夕食を食べたり時にはカフェで話をするだけの時もある。
彼との付き合いもいつの間にか二桁になりそうだというのに、未だにこの距離感は変わらない。
アキラくんといえば1に碁、2に碁、3・4が無くて5が進藤。6くらいに私がいればいいという程度。
だからどうして私の一世一代の告白を彼がOKしてくれたのか未だによくわからない。
不思議な人だなとは思っていたけれど、謎は深まるばかり。
付き合っているはずなのに、手すら繋いだこともない。
ほんの少し、周りの女の子より近い距離に置いてもらってるだけ。
もしかして都合のいい女避けだと思われてる?
そんな疑いの方が妙に納得出来てしまう。
私も碁の勉強したらいいのかな。
そしたらもっと話せるようになる?
私のことも見てくれる?
届かない問いばかりが頭の中を駆け巡っている。
いや、きっときらきらした少女漫画の読みすぎだ。
何度目かのため息をつきながら改札を抜けて、がらがらになった電車に乗り込む。
さすがに帰宅ラッシュを過ぎれば、郊外へ向かう電車は人もまばらだ。
並んで座って、アキラくんはまた難しい本を読んでいる。
悔しいから私もと鞄から読みかけの本を取り出して開いてみたけれど、今日は珍しく仕事が忙しかったせいで早々に意識を手放してしまった。
心地よい電車の揺れも手伝って、夢も見ないほどぐっすり。
軽く肩を叩かれるまで1ミリも戻ってこなかった。
うっすらと目蓋を持ち上げると、アキラくんが降りる駅にまもなく到着するところだった。
隣で降り支度をしている気配がする。
せめて最後の挨拶くらいはちゃんとしたい。
ゆっくりと顔を持ち上げようとしたその瞬間。
「…好きだよ」
誰にも聞こえない声で、でも私にはちゃんと届く声で。
はっきりと彼はそう残して電車を降りていってしまった。
ゆっくりとドアが閉まっていくその先に、振り向きもしないで歩き出しているアキラくんが通り過ぎていく。
よかった、熟れた林檎よりも紅くなった顔を見られなくて。
さて、それはどちらの言葉なのだろう。
私たちがこうやって一緒にいられるのは、アキラくんが碁会所に寄るときだけ。
彼の行きつけの碁会所が私の職場のすぐ近くだから。
最寄りの駅で待ち合わせて、夕食を食べたり時にはカフェで話をするだけの時もある。
彼との付き合いもいつの間にか二桁になりそうだというのに、未だにこの距離感は変わらない。
アキラくんといえば1に碁、2に碁、3・4が無くて5が進藤。6くらいに私がいればいいという程度。
だからどうして私の一世一代の告白を彼がOKしてくれたのか未だによくわからない。
不思議な人だなとは思っていたけれど、謎は深まるばかり。
付き合っているはずなのに、手すら繋いだこともない。
ほんの少し、周りの女の子より近い距離に置いてもらってるだけ。
もしかして都合のいい女避けだと思われてる?
そんな疑いの方が妙に納得出来てしまう。
私も碁の勉強したらいいのかな。
そしたらもっと話せるようになる?
私のことも見てくれる?
届かない問いばかりが頭の中を駆け巡っている。
いや、きっときらきらした少女漫画の読みすぎだ。
何度目かのため息をつきながら改札を抜けて、がらがらになった電車に乗り込む。
さすがに帰宅ラッシュを過ぎれば、郊外へ向かう電車は人もまばらだ。
並んで座って、アキラくんはまた難しい本を読んでいる。
悔しいから私もと鞄から読みかけの本を取り出して開いてみたけれど、今日は珍しく仕事が忙しかったせいで早々に意識を手放してしまった。
心地よい電車の揺れも手伝って、夢も見ないほどぐっすり。
軽く肩を叩かれるまで1ミリも戻ってこなかった。
うっすらと目蓋を持ち上げると、アキラくんが降りる駅にまもなく到着するところだった。
隣で降り支度をしている気配がする。
せめて最後の挨拶くらいはちゃんとしたい。
ゆっくりと顔を持ち上げようとしたその瞬間。
「…好きだよ」
誰にも聞こえない声で、でも私にはちゃんと届く声で。
はっきりと彼はそう残して電車を降りていってしまった。
ゆっくりとドアが閉まっていくその先に、振り向きもしないで歩き出しているアキラくんが通り過ぎていく。
よかった、熟れた林檎よりも紅くなった顔を見られなくて。
さて、それはどちらの言葉なのだろう。