ヒカルの碁
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今日は義高の誕生日。
一緒にお祝いするようになって、もうどれくらいになるだろう。
本当は少し奮発して豪華なレストランで食事でも、と考えていたのだけれど、どうしても義高がNOというのでそれは却下されてしまった。
結局いつもと変わらない、彼の家でわたしが慣れない手つきで夕飯を作ることになった。
見栄えだってそんなに良くないし、レパートリーだって全然ないのに。
もちろん、どれも気持ちだけはちゃんと込もってるけど、どうしてもプロの腕前と比べれば当選見劣りしてしまう。
だからせめてこれくらいは、とシャンパンだけはいつもより高いものを買ってきた。
とはいえ、お酒のことに関してはよくわからないわたしだから、伊角さんに見繕ってもらった。
ゆっくりとグラスに注げば、ライトゴールドの海の中で小さな気泡がぽこぽこと浮かんで輝いている。
「それじゃ、乾杯しよっか。」
「なんでそんなかしこまってんの?」
「え、いや、なんとなく……?」
部屋の灯りを落として少しでも雰囲気作りを、なんてガラでもないことをしたせいだろうか。
それとも、小さな光に照らされた彼がずいぶんとオトナな顔をしていたからだろうか。
「誕生日、おめでとう……ございます」
「ん、どーも。」
からんと触れたグラスが澄んだ音を立てる。
そして、シャンパンを一口含んだだけで、これ伊角さんのオススメだろ、と義高は笑った。
「なんでわかったの?」
「なんとなく、そんな気がしただけだけど……図星かよ。」
二人が並んでシャンパンを飲んでいる姿を思い浮かべて、なんとなく想像出来るような、出来ないような。
なぜ?という疑問は拭い切れない。
そんな様子を察したらしく、変な想像するなと笑いながら彼は事の真相を話してくれる。
「前に伊角さんと一緒に出た、棋院主催の立食パーティでこれが出たんだよ。そんで、千颯が好きそうな味だなと思ったから、一緒に飲むならこれだなって話をしたんだ。」
ディズプレイを兼ねて近くにボトルが置いてあったので、そこで銘柄を確認していたらしい。
そんな小さな情報を覚えている伊角さんにも驚いたけれど、何よりこの記念日にこっそり花を添えるように仕込んでくれた事の方がもっと驚きだ。
「で?お味はどうですか?」
「美味しいし、好きだけど……」
今日はわたしじゃなくて義高の誕生日なのに。
もごもごと歯切れ悪く、どういう顔をしたらいいかわらかないでいると、彼はとても柔らかな笑顔を向けた。
「千颯がこうやって、一緒に祝ってくれるだけで十分だよ。」
「で、でも……!」
それじゃぁせっかくの誕生日の意味がない、と反論しようとしたけれど、義高が本当に嬉しそうにしているからこれ以上は何も言えなくなってしまった。
今日は義高に笑ってもらうのが一番だから。
「あ、でもお前がどうしてもって言うなら……」
この部屋にはわたしたち二人しかしないのだから、別に内緒話をする必要なんてないのに。
わざといたずらっ子みたいな不敵な笑みを浮かべながら、義高は声を潜めて耳元で囁いた。
その言葉にわたしが顔を真っ赤に染めたのは、決してお酒が回っていたからじゃない。
一緒にお祝いするようになって、もうどれくらいになるだろう。
本当は少し奮発して豪華なレストランで食事でも、と考えていたのだけれど、どうしても義高がNOというのでそれは却下されてしまった。
結局いつもと変わらない、彼の家でわたしが慣れない手つきで夕飯を作ることになった。
見栄えだってそんなに良くないし、レパートリーだって全然ないのに。
もちろん、どれも気持ちだけはちゃんと込もってるけど、どうしてもプロの腕前と比べれば当選見劣りしてしまう。
だからせめてこれくらいは、とシャンパンだけはいつもより高いものを買ってきた。
とはいえ、お酒のことに関してはよくわからないわたしだから、伊角さんに見繕ってもらった。
ゆっくりとグラスに注げば、ライトゴールドの海の中で小さな気泡がぽこぽこと浮かんで輝いている。
「それじゃ、乾杯しよっか。」
「なんでそんなかしこまってんの?」
「え、いや、なんとなく……?」
部屋の灯りを落として少しでも雰囲気作りを、なんてガラでもないことをしたせいだろうか。
それとも、小さな光に照らされた彼がずいぶんとオトナな顔をしていたからだろうか。
「誕生日、おめでとう……ございます」
「ん、どーも。」
からんと触れたグラスが澄んだ音を立てる。
そして、シャンパンを一口含んだだけで、これ伊角さんのオススメだろ、と義高は笑った。
「なんでわかったの?」
「なんとなく、そんな気がしただけだけど……図星かよ。」
二人が並んでシャンパンを飲んでいる姿を思い浮かべて、なんとなく想像出来るような、出来ないような。
なぜ?という疑問は拭い切れない。
そんな様子を察したらしく、変な想像するなと笑いながら彼は事の真相を話してくれる。
「前に伊角さんと一緒に出た、棋院主催の立食パーティでこれが出たんだよ。そんで、千颯が好きそうな味だなと思ったから、一緒に飲むならこれだなって話をしたんだ。」
ディズプレイを兼ねて近くにボトルが置いてあったので、そこで銘柄を確認していたらしい。
そんな小さな情報を覚えている伊角さんにも驚いたけれど、何よりこの記念日にこっそり花を添えるように仕込んでくれた事の方がもっと驚きだ。
「で?お味はどうですか?」
「美味しいし、好きだけど……」
今日はわたしじゃなくて義高の誕生日なのに。
もごもごと歯切れ悪く、どういう顔をしたらいいかわらかないでいると、彼はとても柔らかな笑顔を向けた。
「千颯がこうやって、一緒に祝ってくれるだけで十分だよ。」
「で、でも……!」
それじゃぁせっかくの誕生日の意味がない、と反論しようとしたけれど、義高が本当に嬉しそうにしているからこれ以上は何も言えなくなってしまった。
今日は義高に笑ってもらうのが一番だから。
「あ、でもお前がどうしてもって言うなら……」
この部屋にはわたしたち二人しかしないのだから、別に内緒話をする必要なんてないのに。
わざといたずらっ子みたいな不敵な笑みを浮かべながら、義高は声を潜めて耳元で囁いた。
その言葉にわたしが顔を真っ赤に染めたのは、決してお酒が回っていたからじゃない。