ヒカルの碁
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「本当に、駅まで行かなくていいの?」
その問いに、彼は首を縦に降った。
少しだけ淋しさを漂わせながら、これ以上一緒にいると帰りたくなくなるから、と笑って。
二泊三日。
義高と共に過ごせた時間はそれしかなかった。
本音を言えば。駅に向かうあとわずかな時間だけでも一緒にいたかった。
「じゃぁ……お邪魔しました。」
ボストンバッグを肩にかけてから律儀に一礼すると、義高は困ったように笑った。
「そんな顔すんなよ。」
「……っ……だって……!」
ちゃんと笑ってお見送りしたいのに、意図せずして涙はぽろぽろと溢れて頬を伝う。
それをそっと拭って、彼はぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫だよ。またすぐ会いに来るって。」
「うん……わたしも、いく……」
「ん、いつでも待ってる。」
付き合い始めた頃より少し低くなった優しい声がふわりと耳朶を掠めていく。
淋しさや不安がゼロになるわけではないけれど、温もりに包まれたおかげでようやく涙は止まった。
「じゃ、またな。」
名残惜しそうに離れてゆき、がちゃりとドアノブを捻る。次
はいつ会えるんだろう。
また少し淋しくなる。
「あ、忘れモノ。」
くるりとこちらに振り向いた義高は、軽く軽くわたしの腕を引く。
不意打ちでぐらりと身体が傾いて、再び彼の腕の中へ飛び込む。
急なことに頭がついていかず、ぼかんとしていると、イタズラを思いついた子どもみたいな顔した義高がそっと唇を重ねてきた。
触れるだけのそれを交わすと、満足そうな笑顔を向けて、今度こそ本当に彼はわたしの家を後にした。
それから数分も立たないうちに、スマホがメールの着信を知らせる。
『ポケット、気づいた?』
義高からだった。
なんのことか全くわからず、羽織っていたカーディガンのポケットを漁ってみる。
すると、そこにはさっきまで入っていなかったものがころりと出てきた。
「えっ……?なん、で?いつ……?」
頭には疑問符ばかりが浮かぶわたし。
真意を問おうとスマホを握ってみても、上手く言葉が出てこない。
ただただ、その場にへたりと座り込んだ。
義高がこっそり仕込んでいったもの。
その正体がペアリングであることに気づくまで、あと少し。
その問いに、彼は首を縦に降った。
少しだけ淋しさを漂わせながら、これ以上一緒にいると帰りたくなくなるから、と笑って。
二泊三日。
義高と共に過ごせた時間はそれしかなかった。
本音を言えば。駅に向かうあとわずかな時間だけでも一緒にいたかった。
「じゃぁ……お邪魔しました。」
ボストンバッグを肩にかけてから律儀に一礼すると、義高は困ったように笑った。
「そんな顔すんなよ。」
「……っ……だって……!」
ちゃんと笑ってお見送りしたいのに、意図せずして涙はぽろぽろと溢れて頬を伝う。
それをそっと拭って、彼はぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫だよ。またすぐ会いに来るって。」
「うん……わたしも、いく……」
「ん、いつでも待ってる。」
付き合い始めた頃より少し低くなった優しい声がふわりと耳朶を掠めていく。
淋しさや不安がゼロになるわけではないけれど、温もりに包まれたおかげでようやく涙は止まった。
「じゃ、またな。」
名残惜しそうに離れてゆき、がちゃりとドアノブを捻る。次
はいつ会えるんだろう。
また少し淋しくなる。
「あ、忘れモノ。」
くるりとこちらに振り向いた義高は、軽く軽くわたしの腕を引く。
不意打ちでぐらりと身体が傾いて、再び彼の腕の中へ飛び込む。
急なことに頭がついていかず、ぼかんとしていると、イタズラを思いついた子どもみたいな顔した義高がそっと唇を重ねてきた。
触れるだけのそれを交わすと、満足そうな笑顔を向けて、今度こそ本当に彼はわたしの家を後にした。
それから数分も立たないうちに、スマホがメールの着信を知らせる。
『ポケット、気づいた?』
義高からだった。
なんのことか全くわからず、羽織っていたカーディガンのポケットを漁ってみる。
すると、そこにはさっきまで入っていなかったものがころりと出てきた。
「えっ……?なん、で?いつ……?」
頭には疑問符ばかりが浮かぶわたし。
真意を問おうとスマホを握ってみても、上手く言葉が出てこない。
ただただ、その場にへたりと座り込んだ。
義高がこっそり仕込んでいったもの。
その正体がペアリングであることに気づくまで、あと少し。