ヒカルの碁
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あぁでもない、こうでもない。
タブレットと睨み合うこと、数時間。
久しぶりに家でゆっくりできると思えば、彼女は自分のことなどそっちのけでタブレットを握りしめている。
ちらりと覗き込めば、この前教えたネット碁で対戦中のようだ。
とはいえ、彼女の棋力はまだまだ発展途上。
相手がどの程度の者かは知らないが、遅かれ早かれ泣きついてくるに違いない。
と、高を括っていたのだが。
「あ、なるほど……そういう手があったかぁ……」
時折そんな感心するセリフまで漏らす。
確かに相手の一手に感服することもないわけではないのだが、なんだか納得がいかず、ついに声をかけてみた。
「……あのさ、お前何やってんの?」
「え?指導碁打ってもらってんの。」
「は?指導碁?誰に?」
「伊角さん。」
あまりによく知る人物の名前が飛び出してきて、反応する言葉がどこかに引っ込んでしまった。
そういえば、時を同じくしてネットに疎い伊角さんにもネット碁ができると教えたのは紛れもない自分だった。
しかし、それがいつの間にか自分の知らないところで彼女とつながっていて、よりにもよって自分そっちのけで対局しているだなんて。
知ってしまった以上、傍観し続けることなんて出来なかった。
「千颯、ちょっと交代!」
「あ、ばか義高!なにして……!」
半ばぶんどるようにしてタブレットを取り上げると、すかさず投了のボタンを押す。
本当に投了しますか?画面上に出てきた愚問にも、そんなの当たり前に決まってる!と強めにはいのボタンを押した。
「あー!もうちょっとでいいとこだったのに!」
大人気ないのはわかっているけれど、声を荒げずにはいられない。
どうして今ここに自分がいるのに、ましてや自分だって指導碁くらいいくらでも打ってやれるのに。
なんで他のやつと打ってるんだ。
一息にそこまで言ってふと、完全な八つ当たりだと我に返る。
目の前では鳩に豆鉄砲食らったような表情の彼女が、ぽかんと口を開けていた。
「……ごめん。ちょっと頭冷やしてくる。」
「まって……!」
ようやくすべてを理解したらしい彼女が、いきなり後ろから袖を引く。
咄嗟のことで対応が遅れてしまったせいで、うっかり押し倒すような体勢になってしまった。
「もしかして……やきもち?」
「……そうだよ!」
ここまで来て否定する気にもなれなくて、素直にそれは認める。
すると、困ったように眉を歪ませてごめんねと彼女が口にした。
けれどすぐ後に、満面の笑みに変わってぎゅっと抱きしめてきた。
「そっかぁ……やきもちかぁ」
「あのなぁ、オレ結構怒ってんだけど」
そうは言いつつも、きっと内心筒抜けなんだろう。
思いっきりため息をついてみせた。
この仕返しはどうしてやろうか、考えを巡らせる。
浮かぶのは2択。
夜が明けるまでとことん対局漬けにしてやるか、それとも。
確実に言えるのは、今夜は絶対に千颯を寝かせてなどやらないということ。
タブレットと睨み合うこと、数時間。
久しぶりに家でゆっくりできると思えば、彼女は自分のことなどそっちのけでタブレットを握りしめている。
ちらりと覗き込めば、この前教えたネット碁で対戦中のようだ。
とはいえ、彼女の棋力はまだまだ発展途上。
相手がどの程度の者かは知らないが、遅かれ早かれ泣きついてくるに違いない。
と、高を括っていたのだが。
「あ、なるほど……そういう手があったかぁ……」
時折そんな感心するセリフまで漏らす。
確かに相手の一手に感服することもないわけではないのだが、なんだか納得がいかず、ついに声をかけてみた。
「……あのさ、お前何やってんの?」
「え?指導碁打ってもらってんの。」
「は?指導碁?誰に?」
「伊角さん。」
あまりによく知る人物の名前が飛び出してきて、反応する言葉がどこかに引っ込んでしまった。
そういえば、時を同じくしてネットに疎い伊角さんにもネット碁ができると教えたのは紛れもない自分だった。
しかし、それがいつの間にか自分の知らないところで彼女とつながっていて、よりにもよって自分そっちのけで対局しているだなんて。
知ってしまった以上、傍観し続けることなんて出来なかった。
「千颯、ちょっと交代!」
「あ、ばか義高!なにして……!」
半ばぶんどるようにしてタブレットを取り上げると、すかさず投了のボタンを押す。
本当に投了しますか?画面上に出てきた愚問にも、そんなの当たり前に決まってる!と強めにはいのボタンを押した。
「あー!もうちょっとでいいとこだったのに!」
大人気ないのはわかっているけれど、声を荒げずにはいられない。
どうして今ここに自分がいるのに、ましてや自分だって指導碁くらいいくらでも打ってやれるのに。
なんで他のやつと打ってるんだ。
一息にそこまで言ってふと、完全な八つ当たりだと我に返る。
目の前では鳩に豆鉄砲食らったような表情の彼女が、ぽかんと口を開けていた。
「……ごめん。ちょっと頭冷やしてくる。」
「まって……!」
ようやくすべてを理解したらしい彼女が、いきなり後ろから袖を引く。
咄嗟のことで対応が遅れてしまったせいで、うっかり押し倒すような体勢になってしまった。
「もしかして……やきもち?」
「……そうだよ!」
ここまで来て否定する気にもなれなくて、素直にそれは認める。
すると、困ったように眉を歪ませてごめんねと彼女が口にした。
けれどすぐ後に、満面の笑みに変わってぎゅっと抱きしめてきた。
「そっかぁ……やきもちかぁ」
「あのなぁ、オレ結構怒ってんだけど」
そうは言いつつも、きっと内心筒抜けなんだろう。
思いっきりため息をついてみせた。
この仕返しはどうしてやろうか、考えを巡らせる。
浮かぶのは2択。
夜が明けるまでとことん対局漬けにしてやるか、それとも。
確実に言えるのは、今夜は絶対に千颯を寝かせてなどやらないということ。