ヒカルの碁
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いつもと変わり映えのしない食卓。
せめてハンバーグとか洋食にでもすれば良かったけれど、義高が、今日は焼き魚食いてぇなどと言い張るので、結局アジの干物定食みたいなメニューがテーブルには並んでいる。
唯一違うのは、冷蔵庫には小さめのホールケーキが隠れていることだけ。
そもそも今日は彼の誕生日なのだから、ちょっと奮発したレストランにでもと考えていたのに。
どうしてもいつも通り家で食べたいとか言うものだから。
「……ねぇ、ほんとによかったの?」
「なにが?」
「今日。せっかくの誕生日じゃん。」
「いーんだよ、これで。」
これも何度目かのやりとり。
いい加減にしろとでも言いたげな表情をされてしまったので、もうこれ以上は何を言ってもムダだろう。
釈然としないまま、わたしは箸でつついた魚の身を口へ運ぶ。
「いい歳して誕生日も何もないだろ。」
「そんなことないよ!いくつになったって、お祝いしたいもん!」
彼女なんだからそんなの当たり前!
というセリフはさすがに恥ずかしくて言葉にはしなかった。
「それにプレゼントだって!何もいらないとか言うし……」
「いらねーもンはいらねーもん。」
「それじゃぁ……困る……」
彼女のくせにお祝いひとつもしないみたいで、自己満足かもしれないけれど納得はできない。
ふくれっ面を作ると、義高はなぜか笑みを零した。
「……オレはさ、別に特別な事はしなくていいんだよ。」
この家にお前がいて。
お前の作る飯を食えて。
お前が笑ってれば。
それはなんて勿体ない言葉なのだろうと、思わず涙が出そうになるのを必死に堪える。
「強いてひとつ欲しいものがあるとすれば……」
きちんとお箸を置いて、義高はまっすぐわたしを見据えた。
「お前との未来が、欲しい。」
耐えていた涙腺が一瞬で崩壊して、洪水の様にぽたぽたと涙が頬を流れて落ちていく。
驚きすぎて、目は見開いたまま。
今日は義高の誕生日なのだから、こういう反応をするのは彼の方であるはずなのに。
どうしてわたしばっかり嬉しい気持ちをもらっているんだろう。
「…… 千颯。オレと、結婚してください。」
ムードもへったくれもない、何の変哲もない我が家のリビングだけど。
今だけは、ここが世界で1番幸せな空間だと思った。
せめてハンバーグとか洋食にでもすれば良かったけれど、義高が、今日は焼き魚食いてぇなどと言い張るので、結局アジの干物定食みたいなメニューがテーブルには並んでいる。
唯一違うのは、冷蔵庫には小さめのホールケーキが隠れていることだけ。
そもそも今日は彼の誕生日なのだから、ちょっと奮発したレストランにでもと考えていたのに。
どうしてもいつも通り家で食べたいとか言うものだから。
「……ねぇ、ほんとによかったの?」
「なにが?」
「今日。せっかくの誕生日じゃん。」
「いーんだよ、これで。」
これも何度目かのやりとり。
いい加減にしろとでも言いたげな表情をされてしまったので、もうこれ以上は何を言ってもムダだろう。
釈然としないまま、わたしは箸でつついた魚の身を口へ運ぶ。
「いい歳して誕生日も何もないだろ。」
「そんなことないよ!いくつになったって、お祝いしたいもん!」
彼女なんだからそんなの当たり前!
というセリフはさすがに恥ずかしくて言葉にはしなかった。
「それにプレゼントだって!何もいらないとか言うし……」
「いらねーもンはいらねーもん。」
「それじゃぁ……困る……」
彼女のくせにお祝いひとつもしないみたいで、自己満足かもしれないけれど納得はできない。
ふくれっ面を作ると、義高はなぜか笑みを零した。
「……オレはさ、別に特別な事はしなくていいんだよ。」
この家にお前がいて。
お前の作る飯を食えて。
お前が笑ってれば。
それはなんて勿体ない言葉なのだろうと、思わず涙が出そうになるのを必死に堪える。
「強いてひとつ欲しいものがあるとすれば……」
きちんとお箸を置いて、義高はまっすぐわたしを見据えた。
「お前との未来が、欲しい。」
耐えていた涙腺が一瞬で崩壊して、洪水の様にぽたぽたと涙が頬を流れて落ちていく。
驚きすぎて、目は見開いたまま。
今日は義高の誕生日なのだから、こういう反応をするのは彼の方であるはずなのに。
どうしてわたしばっかり嬉しい気持ちをもらっているんだろう。
「…… 千颯。オレと、結婚してください。」
ムードもへったくれもない、何の変哲もない我が家のリビングだけど。
今だけは、ここが世界で1番幸せな空間だと思った。