ヒカルの碁
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宴席をそっと抜け出して、旅館の半纏を借りてから自慢の庭へと降りる。
頬を掠める夜風は少し冷たいけれど、お酒に酔った身体を冷ますには丁度いい。
仄かな光にライトアップされた池のほとりに置かれたベンチにそっと腰掛けると、ほどなくして隣に人影が出来た。
「隣、いい?」
「・・・うん」
問答無用で座ればいいのに、わざわざ声をかけてくるあたり彼の真面目さが顕著に出ていて面白い。
ただ、それを笑いで返せずむしろ緊張気味に頷いてスペースを作るわたしも大概だ。
日常から切り離されたような、幻想的な空気がそうさせているのだろうか。
「ちゃんと、楽しんでるか?」
「つまんなそうに見える?」
「質問で返すなよ。まぁ、つまらなさそう・・・ではないか。」
行きの新幹線では奈瀬ちゃんとガイドブック片手にどこのスイーツを回ろうかと計画を練りに練ったし、進藤くんとはお菓子の取り合いもしたし、今回の幹事である和谷くんには寝てるところにいたずらもしてちょっとだけ怒られた。
これを楽しんでいると言わずしてなんと言おう。
「温泉なんて久しぶりだから、テンションは上がりすぎてるかも。」
普段はほとんど飲まないお酒も、今日だけは多めに飲んでしまった。
その結果、こうして酔い醒ましに来ている訳だが。
「1人で抜け出すとこ見えたから、どうしたのかと思って。」
「あれ、心配してくれたの?」
「当たり前だろ。」
間髪入れずに答えが返ってくるのが、なんだか擽ったい。
「・・・それに、昼間は全然話せなかった、から。」
独り言のように伊角さんはそう呟いて、ゆっくりとわたしの肩を抱き寄せた。
彼の肩に頭を預ける形になって、妙にどきどきする。
心臓の音がダイレクトに伝わってしまいそう。
お願いだからそれはアルコールのせいってことにしておいてほしい。
だってわたしたちは恋人同士でも何でもない、ただの友だちなのだから。
「・・・千颯」
吐息混じりに名前を呼ばれて、すっかり周りの空気に飲まれてしまった。
お互いに視線を交えて、まるで時間が止まったのかと錯覚するほどの緩やかさで、けれども確かにどちらからともなく距離を縮めていく。
さすれば唇同士が重なるのは必然のこと。
ただ触れては離れてを繰り返していくうちに、段々と甘さと深さは増していく。
熱のこもった息が漏れる頃には、すっかり快楽から抜け出せなくなっていた。
月明かりだけが知っている、わたしたちの秘め事。
頬を掠める夜風は少し冷たいけれど、お酒に酔った身体を冷ますには丁度いい。
仄かな光にライトアップされた池のほとりに置かれたベンチにそっと腰掛けると、ほどなくして隣に人影が出来た。
「隣、いい?」
「・・・うん」
問答無用で座ればいいのに、わざわざ声をかけてくるあたり彼の真面目さが顕著に出ていて面白い。
ただ、それを笑いで返せずむしろ緊張気味に頷いてスペースを作るわたしも大概だ。
日常から切り離されたような、幻想的な空気がそうさせているのだろうか。
「ちゃんと、楽しんでるか?」
「つまんなそうに見える?」
「質問で返すなよ。まぁ、つまらなさそう・・・ではないか。」
行きの新幹線では奈瀬ちゃんとガイドブック片手にどこのスイーツを回ろうかと計画を練りに練ったし、進藤くんとはお菓子の取り合いもしたし、今回の幹事である和谷くんには寝てるところにいたずらもしてちょっとだけ怒られた。
これを楽しんでいると言わずしてなんと言おう。
「温泉なんて久しぶりだから、テンションは上がりすぎてるかも。」
普段はほとんど飲まないお酒も、今日だけは多めに飲んでしまった。
その結果、こうして酔い醒ましに来ている訳だが。
「1人で抜け出すとこ見えたから、どうしたのかと思って。」
「あれ、心配してくれたの?」
「当たり前だろ。」
間髪入れずに答えが返ってくるのが、なんだか擽ったい。
「・・・それに、昼間は全然話せなかった、から。」
独り言のように伊角さんはそう呟いて、ゆっくりとわたしの肩を抱き寄せた。
彼の肩に頭を預ける形になって、妙にどきどきする。
心臓の音がダイレクトに伝わってしまいそう。
お願いだからそれはアルコールのせいってことにしておいてほしい。
だってわたしたちは恋人同士でも何でもない、ただの友だちなのだから。
「・・・千颯」
吐息混じりに名前を呼ばれて、すっかり周りの空気に飲まれてしまった。
お互いに視線を交えて、まるで時間が止まったのかと錯覚するほどの緩やかさで、けれども確かにどちらからともなく距離を縮めていく。
さすれば唇同士が重なるのは必然のこと。
ただ触れては離れてを繰り返していくうちに、段々と甘さと深さは増していく。
熱のこもった息が漏れる頃には、すっかり快楽から抜け出せなくなっていた。
月明かりだけが知っている、わたしたちの秘め事。