スタマイ編
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ベランダに花を飾りたいから見繕って欲しいと千颯さんから連絡があった。
僕にできることならと二つ返事で承諾して、約束の日を決めたものの、彼女の仕事の都合で何度か流れてしまって、結局実現したのは数か月経った頃だった。
遅めのランチを摂ってから行きつけの花屋に行き、彼女の好みに合わせた色の花を選んだ。
それから千颯さんの家に行き、のんびりと話をしながら花を飾った。
「これはなるべく陽に当たるように置いてあげたいんですが……」
「それなら、ここが一番陽当りいいです!」
「こっちの子はこまめに水をあげてくださいね」
丁寧に世話の仕方を教えながら、鉢植えの置き場を決めていく。
何もなく殺風景だったベランダが急におしゃれになったと、彼女は満面の笑みを浮かべた。
まさかここまで喜んでもらえるとは思っていなかったので、自然とこちらも表情が緩む。
いつも九条家の庭でやっていることだから、大それたことをしたわけでもないのに、千颯さんは何度も感謝の言葉を繰り返した。
「なんだかワンランク上の家に住んでるみたいです」
片付けも終わり、彼女の淹れてくれた紅茶を飲みながらふと完成したベランダに目を向けると、千颯さんは満足そうに呟いた。
「あの花たちの花言葉、ご存じですか?」
「知らないです……っていうか、それも含めて選んでくださったんですか?」
「ええ、もちろん」
『幸せになって』『笑顔が絶えない』『夢が叶う』
彼女に送るメッセージのつもりで選んだのだ。
明るい言葉で埋め尽くして、少しでも彼女の生活が良いものになればと。
「わぁ……素敵な花言葉ばっかりですね」
「千颯さんのために選びましたから」
さらりと告げると、彼女は頬を少し赤らめる。
本当に、いつも可愛い反応を見せてくれる人だ。
もっとずっと、隣で見ていられたら良かったのだけれど。
「では、そろそろ僕はお暇しますね」
一人暮らしの女性の部屋にあまり長居するのもいけない。
もっともらしい理由をつけて、足早に彼女の元を後にした。
この足で俺は、仲間との待ち合わせ場所に向かう。
そしてそのまま日本を発つのだ。
「さようなら、千颯さん」
あの時伝えておけばよかった。
なんて思っても、もう遅い。
俺は悪い人間だから。
次に会う時はきっと、敵同士になると思う。
彼女がそれに気づくのはいつだろう。
あの薄紫の花に隠した『噓つき』の花言葉。
この手を掴むのは、願わくば貴女であればいい。
僕にできることならと二つ返事で承諾して、約束の日を決めたものの、彼女の仕事の都合で何度か流れてしまって、結局実現したのは数か月経った頃だった。
遅めのランチを摂ってから行きつけの花屋に行き、彼女の好みに合わせた色の花を選んだ。
それから千颯さんの家に行き、のんびりと話をしながら花を飾った。
「これはなるべく陽に当たるように置いてあげたいんですが……」
「それなら、ここが一番陽当りいいです!」
「こっちの子はこまめに水をあげてくださいね」
丁寧に世話の仕方を教えながら、鉢植えの置き場を決めていく。
何もなく殺風景だったベランダが急におしゃれになったと、彼女は満面の笑みを浮かべた。
まさかここまで喜んでもらえるとは思っていなかったので、自然とこちらも表情が緩む。
いつも九条家の庭でやっていることだから、大それたことをしたわけでもないのに、千颯さんは何度も感謝の言葉を繰り返した。
「なんだかワンランク上の家に住んでるみたいです」
片付けも終わり、彼女の淹れてくれた紅茶を飲みながらふと完成したベランダに目を向けると、千颯さんは満足そうに呟いた。
「あの花たちの花言葉、ご存じですか?」
「知らないです……っていうか、それも含めて選んでくださったんですか?」
「ええ、もちろん」
『幸せになって』『笑顔が絶えない』『夢が叶う』
彼女に送るメッセージのつもりで選んだのだ。
明るい言葉で埋め尽くして、少しでも彼女の生活が良いものになればと。
「わぁ……素敵な花言葉ばっかりですね」
「千颯さんのために選びましたから」
さらりと告げると、彼女は頬を少し赤らめる。
本当に、いつも可愛い反応を見せてくれる人だ。
もっとずっと、隣で見ていられたら良かったのだけれど。
「では、そろそろ僕はお暇しますね」
一人暮らしの女性の部屋にあまり長居するのもいけない。
もっともらしい理由をつけて、足早に彼女の元を後にした。
この足で俺は、仲間との待ち合わせ場所に向かう。
そしてそのまま日本を発つのだ。
「さようなら、千颯さん」
あの時伝えておけばよかった。
なんて思っても、もう遅い。
俺は悪い人間だから。
次に会う時はきっと、敵同士になると思う。
彼女がそれに気づくのはいつだろう。
あの薄紫の花に隠した『噓つき』の花言葉。
この手を掴むのは、願わくば貴女であればいい。
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