スタマイ編
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―関さん、ご報告があります。
突然彼女からそう告げられて、事件でもあったのだろうかと首を傾げる。
だが、デスクの前に並んで立つのは千颯と今大路。
この二人に何か案件を頼んでいた覚えはない。
居ずまいを正して、向き合った。
「個人的はことで申し訳ないんですが……」
「僕たち、結婚することになりました」
気恥ずかしそうに俯き気味の彼女と、対照的にいつもと変わらない笑顔を湛えた今大路。
見えないようにしているつもりなのかもしれないが、二人が後ろで手を繋いでいるのがちらりと見えた。
「そうか、それはおめでとう!」
最初にバディを組ませた頃はどうなることかと思っていたけれど、紆余曲折を経て
二人が付き合っていることは知っていたし、大事な部下が幸せになるならばそれに越したことはない。
心からの祝福を贈った。
その気持ちに嘘偽りは、ない。
それは確かなのだが、なんだか心にぽっかり穴が開いたようだ。
(娘を嫁に出す気持ちって、こういうことなのか……?)
厚生局の喫煙所で、最近はあまり吸わなくなった煙草を久しぶりにくゆらせて、大きく息を吐く。
ここはベランダのように屋外になっているから、頭の中を整理するのにはちょうどいい。
煮詰まった時などはよく利用している。
(結婚……か)
千颯たちの言葉が頭の中を何度も行き来する。
周りからは娘を見ているようだと言われていたけれど、自分にとって千颯はもっと大事な存在だと思っていたから、余計に刺さるのだろう。
端的に言えば、彼女のことを好きだったのだ。
もちろん、異性として。
だが、千颯は彼女自身の幸せを掴んだのだ。
自分が幸せに出来たらと願っていたけれど、今となってはもう自分の出る幕ではない。
(……幸せに、なってくれ)
もう一度煙を大きく吐き出して、吸い殻をポケットから取り出した携帯灰皿に押し付けた。
儚い願いは天へ上る煙に乗せて、くるりと踵を返した。
振り返らないと固く誓って。
突然彼女からそう告げられて、事件でもあったのだろうかと首を傾げる。
だが、デスクの前に並んで立つのは千颯と今大路。
この二人に何か案件を頼んでいた覚えはない。
居ずまいを正して、向き合った。
「個人的はことで申し訳ないんですが……」
「僕たち、結婚することになりました」
気恥ずかしそうに俯き気味の彼女と、対照的にいつもと変わらない笑顔を湛えた今大路。
見えないようにしているつもりなのかもしれないが、二人が後ろで手を繋いでいるのがちらりと見えた。
「そうか、それはおめでとう!」
最初にバディを組ませた頃はどうなることかと思っていたけれど、紆余曲折を経て
二人が付き合っていることは知っていたし、大事な部下が幸せになるならばそれに越したことはない。
心からの祝福を贈った。
その気持ちに嘘偽りは、ない。
それは確かなのだが、なんだか心にぽっかり穴が開いたようだ。
(娘を嫁に出す気持ちって、こういうことなのか……?)
厚生局の喫煙所で、最近はあまり吸わなくなった煙草を久しぶりにくゆらせて、大きく息を吐く。
ここはベランダのように屋外になっているから、頭の中を整理するのにはちょうどいい。
煮詰まった時などはよく利用している。
(結婚……か)
千颯たちの言葉が頭の中を何度も行き来する。
周りからは娘を見ているようだと言われていたけれど、自分にとって千颯はもっと大事な存在だと思っていたから、余計に刺さるのだろう。
端的に言えば、彼女のことを好きだったのだ。
もちろん、異性として。
だが、千颯は彼女自身の幸せを掴んだのだ。
自分が幸せに出来たらと願っていたけれど、今となってはもう自分の出る幕ではない。
(……幸せに、なってくれ)
もう一度煙を大きく吐き出して、吸い殻をポケットから取り出した携帯灰皿に押し付けた。
儚い願いは天へ上る煙に乗せて、くるりと踵を返した。
振り返らないと固く誓って。