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X'mas2020

付き合ってから初めてのクリスマス。
なんて言うとそわそわしてしまうのは、学生のうちだけだと思っていた。
二十歳もすっかり超えてしまったわたしには、もう縁遠い言葉になってしまったのだと。

「メリー……クリスマス」

シャンパンの入ったグラスを傾けると、からんと乾いた音が響く。
夜景の綺麗なレストランでもなく、何の変哲もないわたしの部屋だけれど。
テーブルに並んだチキンやシャンパンだって、近所のスーパーで買った安物だけれど。
有名ホテルのレストランにだって負けないくらい美味しく感じた。
隣にいてくれるのが、潔くんだから。

「あ、あの……良かった、んですか?」
「ん?なにが?」
「おれなんかのために……時間……」

言いかけたその言葉を、人差し指を唇に当てて制する。
そんなものが聞きたかったわけじゃない。

「わたしはね、潔くんと一緒に過ごせる時間、すっごく幸せだよ」

大好きな人と一緒にいられることがこんなに幸せだなんて。
貴方が教えてくれたことなんだから。

「だから、これはわたしからのお願い」

来年も再来年も、その先もずっと。
わたしと一緒にいてくれますか?
彼は驚いたように目を丸くして、今度は伏せて、それから幸せそうに微笑んでくれた。

「あなたのこと……おれが一生大事にします」

約束の印にとくれたキスは、今までで一番幸せを運んできた。



Marry Christmas!
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