X'mas2020
今年のクリスマスは例年に比べて暖かくなりそうですね。
先週あたりに天気予報でそんな風に伝えられていた通り、スタジオを出ても凍えることはなかった。
とはいえ、さすがに季節は冬。
マフラーは必須で、つい顔を埋めてしまう。
白い息を吐きながらスマホをポケットから取り出して、ラビチャを起動させる。
『今終わったよ。』
メッセージを送ると、数十秒も待たずに既読がついて、嬉しそうなスタンプと共にお疲れ様です!と返事が返ってきた。
彼女はもう、待ち合わせ場所についているらしい。
ならば待たせるわけにもいかない、というのは建前で。
早く会いたい本音が、自然と歩調を速めた。
タクシーに飛び乗り、約束した場所を目指す。
目印は、雑誌でも取り上げられるほどに美しく飾られたクリスマスツリー。
「あ!こっちだよ」
ボクを見つけると、彼女は満面の笑みで手を振っている。
可愛い。つい表情が緩んでしまう。
それをマスクで慌てて隠して、平静を装って彼女の元へと歩み寄った。
「遅くなってごめん。」
「ううん、わたしもさっき来たところだから大丈夫!」
ふわふわのファーがついた真っ白なコートは、まだ新しい。
今日のために新調してくれたのだろうか。
そこでふと気が付く
彼女の鼻の頭が真っ赤になっているということに。
「ウソ、見え見えなんだけど。」
自分のマフラーを解いて、そっと彼女に掛ける。
まったく、さっき来たばっかりなんて。
本当はどれくらい待っていてくれたんだろう。
申し訳ない気持ちと、ありがとうが混ざり合って、人目があるのも構わずにそのまま彼女を抱きしめた。
「て……天、くん?」
困惑して固まっている彼女に、そっと一言耳打ち。
すると今度は、頬がぱっと朱に染まった。
「じゃ、行こうか。」
繋いだ手はボクのポケットに入れて。
どこにでもいる恋人同士みたいに寄り添って歩く。
Marry Christmas!
先週あたりに天気予報でそんな風に伝えられていた通り、スタジオを出ても凍えることはなかった。
とはいえ、さすがに季節は冬。
マフラーは必須で、つい顔を埋めてしまう。
白い息を吐きながらスマホをポケットから取り出して、ラビチャを起動させる。
『今終わったよ。』
メッセージを送ると、数十秒も待たずに既読がついて、嬉しそうなスタンプと共にお疲れ様です!と返事が返ってきた。
彼女はもう、待ち合わせ場所についているらしい。
ならば待たせるわけにもいかない、というのは建前で。
早く会いたい本音が、自然と歩調を速めた。
タクシーに飛び乗り、約束した場所を目指す。
目印は、雑誌でも取り上げられるほどに美しく飾られたクリスマスツリー。
「あ!こっちだよ」
ボクを見つけると、彼女は満面の笑みで手を振っている。
可愛い。つい表情が緩んでしまう。
それをマスクで慌てて隠して、平静を装って彼女の元へと歩み寄った。
「遅くなってごめん。」
「ううん、わたしもさっき来たところだから大丈夫!」
ふわふわのファーがついた真っ白なコートは、まだ新しい。
今日のために新調してくれたのだろうか。
そこでふと気が付く
彼女の鼻の頭が真っ赤になっているということに。
「ウソ、見え見えなんだけど。」
自分のマフラーを解いて、そっと彼女に掛ける。
まったく、さっき来たばっかりなんて。
本当はどれくらい待っていてくれたんだろう。
申し訳ない気持ちと、ありがとうが混ざり合って、人目があるのも構わずにそのまま彼女を抱きしめた。
「て……天、くん?」
困惑して固まっている彼女に、そっと一言耳打ち。
すると今度は、頬がぱっと朱に染まった。
「じゃ、行こうか。」
繋いだ手はボクのポケットに入れて。
どこにでもいる恋人同士みたいに寄り添って歩く。
Marry Christmas!
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