物書きリハビリ中
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2021/11/08 00:00サンジ
「サンジは誰かの心の傷を癒したい時はどうする?」
「そうだなァ…レディならまず美しい涙を拭って、彼女のことを褒め称えた後、ゆっくり話を聞くかなァ。もちろん紅茶とスイーツは添えて」
「サンジらしいね」
カチャリと軽い音を立てて皿を洗いカゴに置く。
船での真水は貴重だから、前よりも節水した洗い方が身についた
「なんで急にそんなこと聞くんだい?」
「最近知った歌の歌詞でね、”剥き出しにして触れなくちゃ傷は癒せない”っていうのがあって」
「へー興味深ェな」
「剥き出しにされた時点で苦痛じゃないかと思ったわけ」
「確かに」
冬島が近いのか外気温が下がってきて、サンジはそれを理由に私が皿洗いを手伝うことを渋っていた。
「サンジが言ったみたいに大切にする方が、傷を直す力とか痛みを抑える力が湧いたりするのかなあって」
「なるほど。…でも状況と相手によるかもな。優しくされた方が痛い時もあるんじゃねェかとは思うぜ」
「あー確かに。いっそ批判してくれればいいのにってことあるよね」
仕込みの手を止めてサンジがこちらを向く。
「でも」
「うん?」
「リオちゃんにそんな風に癒してもらえる奴は幸せだな」
*
「リオちゃん…」
もう二度と会えないかもしれないと思った。
モノクロの静止画で見るこの人の苦悩が、この場所を諦めさせるんじゃないかと。
ロビンの時もそうだったな。
優しければ優しいほど、目の前の脅威から仲間を守りたくて自分の身を投げ出す方を選んでしまう。
他人事だから冷静に分析できていても、私もそっち側だったらそうするかもしれないけど。
「…サンジ」
大きいくせにスマートな体に緊張が走る。
こっちの方がつらいだろうな、ごめんね、と心の中で謝った。
「おかえり。帰ってきてくれて嬉しい。はやくサンジの作った美味しいご飯が食べたい。一緒に並んでお皿洗いしたい。サンジがいなくてすっごく寂しかった。それから」
「待って!」
「わっ」
がっしりと肩を掴まれて驚く。
「どうにかなっちまいそうだから、今度改めてひとつずつ言ってくれねェか?」
「わかった。でもこれだけは覚えておいて」
耳が真っ赤になっていて、これ以上追い討ちをかけたら死んでしまうかもなあと思った。
まあ、優秀な船医がいるからきっと大丈夫。
「私もみんなもサンジのことが大好きよ」
「そうだなァ…レディならまず美しい涙を拭って、彼女のことを褒め称えた後、ゆっくり話を聞くかなァ。もちろん紅茶とスイーツは添えて」
「サンジらしいね」
カチャリと軽い音を立てて皿を洗いカゴに置く。
船での真水は貴重だから、前よりも節水した洗い方が身についた
「なんで急にそんなこと聞くんだい?」
「最近知った歌の歌詞でね、”剥き出しにして触れなくちゃ傷は癒せない”っていうのがあって」
「へー興味深ェな」
「剥き出しにされた時点で苦痛じゃないかと思ったわけ」
「確かに」
冬島が近いのか外気温が下がってきて、サンジはそれを理由に私が皿洗いを手伝うことを渋っていた。
「サンジが言ったみたいに大切にする方が、傷を直す力とか痛みを抑える力が湧いたりするのかなあって」
「なるほど。…でも状況と相手によるかもな。優しくされた方が痛い時もあるんじゃねェかとは思うぜ」
「あー確かに。いっそ批判してくれればいいのにってことあるよね」
仕込みの手を止めてサンジがこちらを向く。
「でも」
「うん?」
「リオちゃんにそんな風に癒してもらえる奴は幸せだな」
*
「リオちゃん…」
もう二度と会えないかもしれないと思った。
モノクロの静止画で見るこの人の苦悩が、この場所を諦めさせるんじゃないかと。
ロビンの時もそうだったな。
優しければ優しいほど、目の前の脅威から仲間を守りたくて自分の身を投げ出す方を選んでしまう。
他人事だから冷静に分析できていても、私もそっち側だったらそうするかもしれないけど。
「…サンジ」
大きいくせにスマートな体に緊張が走る。
こっちの方がつらいだろうな、ごめんね、と心の中で謝った。
「おかえり。帰ってきてくれて嬉しい。はやくサンジの作った美味しいご飯が食べたい。一緒に並んでお皿洗いしたい。サンジがいなくてすっごく寂しかった。それから」
「待って!」
「わっ」
がっしりと肩を掴まれて驚く。
「どうにかなっちまいそうだから、今度改めてひとつずつ言ってくれねェか?」
「わかった。でもこれだけは覚えておいて」
耳が真っ赤になっていて、これ以上追い討ちをかけたら死んでしまうかもなあと思った。
まあ、優秀な船医がいるからきっと大丈夫。
「私もみんなもサンジのことが大好きよ」