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物書きリハビリ中

6/15

2025/06/15 01:16
「ゾロは大丈夫よね」

…なにが。

「お前なら平気だな」「ロロノアは大丈夫だろ」「ゾロくんならなんとかなるよ」


「大変だけど気をしっかり持てば、あんたなら大丈夫よ」


なにが。どこが。だれが。

「私やるよ、おばさん」



「こういうのは年上の仕事だもの」


そう言って背筋を伸ばした喪服の後ろ姿が目に焼き付いている。


「うちに来る?広くはないけど、なんとか転校しないで通えると思うよ」

母の従妹がそんなことを言い出したのは、初七日だったか四十九日だったか。

なんでおれを引き取ったんだ、としばらく後に聞いた時、なんでだろ、寂しかったのかもね、と答えた顔に嘘はない様子だった。

「…なぁ」
「うん?」
「もう、寂しくねぇか」

一緒に歩く人がいないの、ゾロがエスコートしてくれたら嬉しい、そんなことを言い連ねて。

「うん。おかげさまで」

赤い絨毯。十字の木。何色も合わさった色ガラス。
左腕に添えられた腕を潰しちまわないように、逆に力んでいる自分に気がつく。

絨毯の途中に立つ、白い服の男と目が合う。
目の前で立ち止まり数秒無言の間ができた。

「…どうも」
「…はい」

なにか言うべきだと頭ではわかっていても、言葉にするのは簡単なことではない。

「…こいつは、」

絞り出した声は、自分でも驚くくらい掠れていた。

「こいつは、おれの親で、姉です」
「あぁ」
「ひとりだと、寂しく思うらしいので」
「…あぁ」
「ひとりにしないでやって下さい」
「約束しよう」

左腕を離させた。
今まで他人にしたことがないくらい、深く頭を下げる。

「こいつを、…よろしくお願いします」

おれの、親で、姉で、救世主で、それで。


「ゾロ」

聞き慣れすぎて今は聞きたくない、その声。

「私のなにが変わっても、ゾロは私の家族だから」
「…わかってる」

おれの、初恋を。

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