物書きリハビリ中
12/19
2021/12/19 22:00チョッパー
※主人公が取り返しのつかない重傷を負います。直接的な表現は避けましたが苦手な方は避けてください。
目が覚めた瞬間に耳がキャッチしたのは、ガタンと立ち上がる音。
どっちが天井かも分からないような揺れる視界に写る、見慣れた水色の帽子。
「チョッパー…?」
と、声に出したつもりだったけど喉は鳴らず、ささやき声が少し漏れただけだった。
「っ、ごめんな…‼︎」
急に謝られてなにが、と心の中だけで問いかける。
チョッパーに害されたことなんて一度もない。いつも助けられて、治してもらってばっかりだ。
えぐえぐと泣く声だけが部屋に響く間に、ここが私たちの船の医務室であることを確認して、軽いめまいにまた少し目を瞑る。
…なにがあったんだっけ。
不意に右脚の膝から下に焼けつくような痛みを感じた。同時に凍てつくような冷たさも。
ほんの少し左脚を動かして両脚をくっつける。
急にゾッと鳥肌がたった。
…あぁ、そうだった。
敵が投げた斧が飛んできて。
両手に当たると飛べなくなる。
たしか瞬間的にそう思ったんだっけ。
「ごめんな…っ、おれが不甲斐ないせいで!」
チョッパー、ちがうよ、と声を出したいのにやっぱり掠れた息が喉を通るだけ。
「おれがもっと、もっとすごい医者だったら、」
チョッパー、
「おれがもっと、外科に詳しかったら、」
チョッパー、
「おれじゃなくてトラ男がここにいたら!」
「チョッパー、」
やった。やっと声になった。
項垂れていたチョッパーが顔を上げる。
「チョッパーが、助けようって、してくれたから、帰って来られたよ」
口に出した瞬間、それは私の中での真実になった。
どこかに向かって歩く私にチョッパーの声が聞こえて振り返るイメージ。
「リオ、でもっ!」
「飛ぶことは、できるよね?」
「…あぁ。それは、大丈夫だと思う」
「なら、それでいいよ」
なんとか首を回してチョッパーを視界に入れる。
見たことがないくらい憔悴してる。
ほおがこけて毛並みもボロボロ。
後ろの机には、手付かずのパンとスープ。
「チョッパー、ちゃんと、…食べて寝てた?」
「…う、」
「…医者の不養生」
笑うには空気が足りなくて口の端が上がっただけだった。
「ひとまず…寝よう?」
少し右腕を広げて促せば、チョッパーがおずおずとベッドの端に突っ伏した。
「…飛べるなら、たいていの場所は、行ける」
「…うん」
「もし、難しい場所があったら、」
チョッパーと目を合わせて微笑んだ。
「私をおぶって行ってね」
涙を溜めながら何度もうなづく優しい船医に、責任を感じさせたことを反省し始めながら、ゆるゆると目を閉じる。
まずは寝よう、私もチョッパーも。
自分の弱さを反省するのも、みんなに心配かけたことを謝るのも、代替手段を考えるのも、全部後回し。
ぐっすり寝て起きて、サンジの美味しいご飯をお腹いっぱい食べて、話は全部それからだ。
目が覚めた瞬間に耳がキャッチしたのは、ガタンと立ち上がる音。
どっちが天井かも分からないような揺れる視界に写る、見慣れた水色の帽子。
「チョッパー…?」
と、声に出したつもりだったけど喉は鳴らず、ささやき声が少し漏れただけだった。
「っ、ごめんな…‼︎」
急に謝られてなにが、と心の中だけで問いかける。
チョッパーに害されたことなんて一度もない。いつも助けられて、治してもらってばっかりだ。
えぐえぐと泣く声だけが部屋に響く間に、ここが私たちの船の医務室であることを確認して、軽いめまいにまた少し目を瞑る。
…なにがあったんだっけ。
不意に右脚の膝から下に焼けつくような痛みを感じた。同時に凍てつくような冷たさも。
ほんの少し左脚を動かして両脚をくっつける。
急にゾッと鳥肌がたった。
…あぁ、そうだった。
敵が投げた斧が飛んできて。
両手に当たると飛べなくなる。
たしか瞬間的にそう思ったんだっけ。
「ごめんな…っ、おれが不甲斐ないせいで!」
チョッパー、ちがうよ、と声を出したいのにやっぱり掠れた息が喉を通るだけ。
「おれがもっと、もっとすごい医者だったら、」
チョッパー、
「おれがもっと、外科に詳しかったら、」
チョッパー、
「おれじゃなくてトラ男がここにいたら!」
「チョッパー、」
やった。やっと声になった。
項垂れていたチョッパーが顔を上げる。
「チョッパーが、助けようって、してくれたから、帰って来られたよ」
口に出した瞬間、それは私の中での真実になった。
どこかに向かって歩く私にチョッパーの声が聞こえて振り返るイメージ。
「リオ、でもっ!」
「飛ぶことは、できるよね?」
「…あぁ。それは、大丈夫だと思う」
「なら、それでいいよ」
なんとか首を回してチョッパーを視界に入れる。
見たことがないくらい憔悴してる。
ほおがこけて毛並みもボロボロ。
後ろの机には、手付かずのパンとスープ。
「チョッパー、ちゃんと、…食べて寝てた?」
「…う、」
「…医者の不養生」
笑うには空気が足りなくて口の端が上がっただけだった。
「ひとまず…寝よう?」
少し右腕を広げて促せば、チョッパーがおずおずとベッドの端に突っ伏した。
「…飛べるなら、たいていの場所は、行ける」
「…うん」
「もし、難しい場所があったら、」
チョッパーと目を合わせて微笑んだ。
「私をおぶって行ってね」
涙を溜めながら何度もうなづく優しい船医に、責任を感じさせたことを反省し始めながら、ゆるゆると目を閉じる。
まずは寝よう、私もチョッパーも。
自分の弱さを反省するのも、みんなに心配かけたことを謝るのも、代替手段を考えるのも、全部後回し。
ぐっすり寝て起きて、サンジの美味しいご飯をお腹いっぱい食べて、話は全部それからだ。