このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

物書きリハビリ中

11/30

2021/11/30 22:19
ブルック
「差し出がましいことを言って恐縮ですが…闘い方、変えたほうがいいんじゃありませんか?」
「どういうこと?」
「ルフィさん達は接近戦が得意な方が多いでしょう。リオさんがあえて接近戦を磨く必要はないんじゃないかと思いまして」
「…うーん」
「リオさんには飛行というアドバンテージがあるんですから、そちらを生かした方が、」
「…それは、私が女だから?」

悔しいわけではなかったんだけど、つい口をついて出た。

「…もしかしたら、そうなのかもしれませんねェ」

ブルックの穏やかな語り口は、私に反抗心を抱かせることなく静かに染み込んでくる。

「私ねェ、女性の皆様がとても好きなんですよ。全員にパンツを見せて戴きたいくらい」
「…台無し」
「できれば世の女性たちには、痛い思いをせずに平和に暮らしていただきたい」
「うん」
「仲間ならなおのこと、そう思います」
「それは男女関係ないでしょ?」
「少しあるんです、関係。」

ブルックは空洞の目を困ったように歪めた。

「リオさんはきっとお気づきでないと思います。
私達から見て、あなたの笑顔がどれほど可愛らしく映るかを。
あなたのケガが、自分が傷ついた方がマシだと思うほど痛々しく映ることを」

そのまま絶句した私に、ブルックは穏やかに紅茶を勧めた。

「もちろん”弱いままではいけない”という気持ちはわかります。その通りですから。
だけどね、リオさん。自分を削るやり方は、最終的に仲間にもダメージを残してしまう。
…それって、きっとあなたも気が付いているはずです」

全部、お見通しってことか。
黙ってひとくち紅茶をすすった。
じんわりと胃のあたりがあったかくなって、力んでいた体…いや、心が緩んでいくのがわかった。

「年の功には勝てないなぁ」
「ヨホホホ、恐れ入ります」

淹れたての紅茶から薄く湯気が上がっている。

コメント

コメントを受け付けていません。