物書きリハビリ中
11/20
2021/11/20 12:00ゾロ
警察官になって3年。
外に出てる時間より内勤で書類を作ってる時間の方が長いとは聞いてなかった。
「中学英語で5W1Hって習わなかった?」
「覚えてねェ」
「そっか」
おれの隣からパソコンを覗き込んでいるのは、警察学校時代の同期だ。
本来同期が同じ部署に配属されることは珍しい。
性別が違うこと、何よりこいつの昇進スピードが異常に早いことで、この「珍しい事態」は発生したらしい。
「調書作るときは、いつどこで誰が誰にどんな風になにをしたかを、その順に書くの。もう取り調べ済ならなぜそんなことをしたのかも」
「おう」
「例えばこれなら、11/4の21時ごろ、霜月駅付近の路上で、帰宅途中の女性の背後から自転車に乗った男が近づきハンドバッグを奪って逃走。数十メートル先で通行人に取り押さえられ身柄を拘束。調べに対し男は遊ぶ金欲しさに犯行に及んだと供述。ね?」
「…なるほど」
聞くと納得するが自分でやるとそうはいかねぇ。
「調書に起こすときは先に頭のなかで整理する。まずは時間。いつの話か、具体的に不明なら発見された日とか」
「おう」
いつからかはわかんねェけど、発見したのは先月。
「次は場所。どこで?」
それは…この雑然とした仕事場のことを言うのか、おれの内側って言やあいいのか。
「で、誰が誰に」
おれがこいつに。この、勉強が出来るくせに人を見下さねェ、体力はないが意外にタフな、女の同期に。
「どんな風に何をして」
勤務にあたる中で意識して…だと言い得てはいねェな。もっとこう、具体的な。
「で、最後になぜ」
なぜ。理由なんてあんのか。男が女に惚れるのに。
沈黙が支配したことに気付いて目を上げると、今整理しようとしていた話の張本人がおれの顔を覗き込んでいた。
「どう?整理できた?」
「…いや、まったく」
「っもー!じゃあもう一回最初から言うよ?」
怒りつつも見放さないこいつに、今のを伝えたらどうなるだろうと考えながら、また始まった説明を聞くふりをした。
外に出てる時間より内勤で書類を作ってる時間の方が長いとは聞いてなかった。
「中学英語で5W1Hって習わなかった?」
「覚えてねェ」
「そっか」
おれの隣からパソコンを覗き込んでいるのは、警察学校時代の同期だ。
本来同期が同じ部署に配属されることは珍しい。
性別が違うこと、何よりこいつの昇進スピードが異常に早いことで、この「珍しい事態」は発生したらしい。
「調書作るときは、いつどこで誰が誰にどんな風になにをしたかを、その順に書くの。もう取り調べ済ならなぜそんなことをしたのかも」
「おう」
「例えばこれなら、11/4の21時ごろ、霜月駅付近の路上で、帰宅途中の女性の背後から自転車に乗った男が近づきハンドバッグを奪って逃走。数十メートル先で通行人に取り押さえられ身柄を拘束。調べに対し男は遊ぶ金欲しさに犯行に及んだと供述。ね?」
「…なるほど」
聞くと納得するが自分でやるとそうはいかねぇ。
「調書に起こすときは先に頭のなかで整理する。まずは時間。いつの話か、具体的に不明なら発見された日とか」
「おう」
いつからかはわかんねェけど、発見したのは先月。
「次は場所。どこで?」
それは…この雑然とした仕事場のことを言うのか、おれの内側って言やあいいのか。
「で、誰が誰に」
おれがこいつに。この、勉強が出来るくせに人を見下さねェ、体力はないが意外にタフな、女の同期に。
「どんな風に何をして」
勤務にあたる中で意識して…だと言い得てはいねェな。もっとこう、具体的な。
「で、最後になぜ」
なぜ。理由なんてあんのか。男が女に惚れるのに。
沈黙が支配したことに気付いて目を上げると、今整理しようとしていた話の張本人がおれの顔を覗き込んでいた。
「どう?整理できた?」
「…いや、まったく」
「っもー!じゃあもう一回最初から言うよ?」
怒りつつも見放さないこいつに、今のを伝えたらどうなるだろうと考えながら、また始まった説明を聞くふりをした。