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物書きリハビリ中

11/18

2021/11/18 14:00
ゾロ
「っていう夢を見たわけ」
「うっわなにそれ」
「本当に夢だったのかしら」
「ちょっとロビン怖いこと言わないで」

今朝見た夢には仲間が一人出てきた。
それだけならいいのだけど、夢の中でその異性の仲間と深い仲になっていて、私は朝食の席で一人激しく気まずさを感じていたのだ。

いや、確かにかっこいいなとは思ってたしタイプだったけどそれだけで、実際にどうなりたいとか考えたことなかったし、遠くから見てるだけで良かったって言うか、こうも具体的に映像化されちゃうとどうしていいかわからないって言うか。

目敏いロビンとナミが挙動不審な私に気づき、ラウンジに連行されて今に至っている。

「めちゃくちゃリアルだった。一瞬現実だと思ったもん」
「それは挙動不審にもなるわね」
「えっどうだった?夢の中でのあいつ」
「どうって言われてもなぁ」

夢の内容を詳しく話すことは私の無意識の妄想を曝け出すことになるのだと気づいて口をつぐんだ。

「二人はないの?そういう夢見ること」
「あたしあんまり覚えてないのよねー」
「ロビンは?」
「昔はよく、迷宮に迷い込む夢を見たけれど」
「…疲れそう」
「最近はあまり見ないかしら」
「ぐっすり眠れてるんならいいことね」
「ねぇ、夢って無意識の願望が現れるって言わない?」
「そうね」
「え、じゃあ私はいま欲求不満で、逞しい肉体に抱かれて何もかも忘れたいーとか思ってるってこと?」

そんなわけないじゃん、と続けようとした瞬間にラウンジのドアが開いた。

「呼んだか」

心臓が音を立てて跳ねる。

「いらっしゃい、ゾロ」
「アンタ、珍しくタイミングいいわね」
「…」

顔が赤くなるのを止められない自分を恨んだ。

「そいつどうしたんだよ」
「夢にアンタが出てきたんですって」
「ナミ、私たちそろそろ甲板へ行きましょう」
「そうね、じゃああとよろしくねー」
「あっ、待って、」

静止も虚しくラウンジを後にする二人に恨めしげな視線を送っていると、どっかりと隣に例の仲間が座り込んだ。

「なァ」

おそるおそる顔を向ける。
全身をこっちに向けているゾロが、獲物を前にした肉食動物みたいに、心の底から楽しそうなのが見なくても伝わった。
どうしよう、さっさと切り上げて逃げたいけど逃してくれなさそう。

「おれに抱かれる夢見たんだろ?」

や、まあそうなんだけどね、ほら夢って別の人のことなはずなのに登場人物だけ入れ替わったりするじゃない。だから別にゾロがどうって言う話じゃないんだと思うんだよね。
頭の中ではそんなセリフが流れていても、唇は張り付いたように動かない。
かろうじて「いや、えっと」とかの無意味なセリフが溢れたぐらいだった。

「奇遇だな、おれもお前を抱く夢は何度も見た」
「…へ?」

グッと距離を詰めたゾロが私の足の上を通り越して反対側の座面に手をつく。
顔が至近距離まで近づいてきて、あまりの緊張感にめまいがした。


「現実にしねぇか、その夢」

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