短いお話をあなたに
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模試の結果用紙を返す教室はいつもより少しざわついている。
ねえ、どうだった?
やっば私厳しいかも。
えーおれ自信あったんだけどな。
つってお前いっつも上位じゃん。
前の席の大きな背中につられて私も立ち上がる。
眠たい風を装う。
できるだけ凝視しない様に、時間割に目を向けた。
「トラファルガー、さすがだな」
わー…
あいつ医学部志望だろ?
え、あれもうA判定じゃん?
クラス中がザワザワする。
広い背中からほんの少しだけ距離を取った。
この人は注目の的。
私は背景。
「…」
私に対しては先生は無言。
こっちも無言で受け取って席に戻る。
新学期は出席番号順になるのがちょっとうざったい。
トラファルガーくんの背が高すぎて黒板が見にくいし。
まあ一番後ろの席だからそもそもそんなに見えないんだけど。
「お前」
低い声で顔を上げる。
「そんなんで看護学部行けんのかよ」
なに勝手に見てるのよ。
「…判定は悪くないし」
あなたに比べればたいていの人はバカですよ。
右斜め前から誰かの視線が突き刺さるのが分かった。
トラファルガーくんが何か言おうとしたタイミングで、机に突っ伏して会話を終わらせる。
春に私の模試を覗き見て医療系を目指していると知ってから、この人はたまに話しかけてくるようになった。
でもそれはあんまり居心地のいいものじゃない。
こんなに目立つ人、私と話すこと自体異常なんだ。
ヒエラルキーの下の方と、ヒエラルキー上位、もしくはその外の人。
それに、この人モテる。
よく色んな女子が告白してはフラれて泣いてるのを聞くし。
関わらないほうがいい。
憧れが、膨らんでしまうから。
解説が始まっても私は机に突っ伏したままだった。
カサ、と至近距離で音がして目を上げると、ノートの切れ端が机の上に落ちていた。
”ちゃんと聞け。落ちるぞ”
カチンと来た私はその紙の裏に殴り書きする。
”お節介にどうも。目指すところが違うので”
くしゃくしゃにして前の机に投げつけると、1分も経たないうちにまた紙が返ってきた。
”お前の志望通りなら来年も同じ学校だ”
思わず顔をあげる。
この席から見える横顔がほんの少し笑ったのがわかった。
ダメだ。
膨らむな、憧れ。
いくら抑えようと頑張っても、ふわふわと沸き立つ気持ちが止められなかった。
ねえ、どうだった?
やっば私厳しいかも。
えーおれ自信あったんだけどな。
つってお前いっつも上位じゃん。
前の席の大きな背中につられて私も立ち上がる。
眠たい風を装う。
できるだけ凝視しない様に、時間割に目を向けた。
「トラファルガー、さすがだな」
わー…
あいつ医学部志望だろ?
え、あれもうA判定じゃん?
クラス中がザワザワする。
広い背中からほんの少しだけ距離を取った。
この人は注目の的。
私は背景。
「…」
私に対しては先生は無言。
こっちも無言で受け取って席に戻る。
新学期は出席番号順になるのがちょっとうざったい。
トラファルガーくんの背が高すぎて黒板が見にくいし。
まあ一番後ろの席だからそもそもそんなに見えないんだけど。
「お前」
低い声で顔を上げる。
「そんなんで看護学部行けんのかよ」
なに勝手に見てるのよ。
「…判定は悪くないし」
あなたに比べればたいていの人はバカですよ。
右斜め前から誰かの視線が突き刺さるのが分かった。
トラファルガーくんが何か言おうとしたタイミングで、机に突っ伏して会話を終わらせる。
春に私の模試を覗き見て医療系を目指していると知ってから、この人はたまに話しかけてくるようになった。
でもそれはあんまり居心地のいいものじゃない。
こんなに目立つ人、私と話すこと自体異常なんだ。
ヒエラルキーの下の方と、ヒエラルキー上位、もしくはその外の人。
それに、この人モテる。
よく色んな女子が告白してはフラれて泣いてるのを聞くし。
関わらないほうがいい。
憧れが、膨らんでしまうから。
解説が始まっても私は机に突っ伏したままだった。
カサ、と至近距離で音がして目を上げると、ノートの切れ端が机の上に落ちていた。
”ちゃんと聞け。落ちるぞ”
カチンと来た私はその紙の裏に殴り書きする。
”お節介にどうも。目指すところが違うので”
くしゃくしゃにして前の机に投げつけると、1分も経たないうちにまた紙が返ってきた。
”お前の志望通りなら来年も同じ学校だ”
思わず顔をあげる。
この席から見える横顔がほんの少し笑ったのがわかった。
ダメだ。
膨らむな、憧れ。
いくら抑えようと頑張っても、ふわふわと沸き立つ気持ちが止められなかった。
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