Blue Moon
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”おれにはあんたが恵まれてるように見える”
”恵まれてるって?”
”そういうカッコしても怖い目に合わないんだろ、この島では”
そう言った唇にチェリーピンクを載せながら、鏡越しに後ろに座る船長さんに目を向けた。
相変わらずイツキちゃんに見惚れちゃって、そんな顔するならもっと女の子らしくさせてあげればいいのに。
この子が育った島の話は聞かなかったけれど、ここより治安が悪いのは明らか。
きっと子供の頃から男として振る舞うように、そうやって身を守るように教えられてきたのね。
オシャレに目覚めてもいい年頃なのに、今も男らしく過ごしちゃって、お仲間さん達だってこの子を男だと思ってたのにはびっくりしちゃった。
”そうね、この島では女らしくしてるほうがたくさんのものが手に入るわ”
”ふーん”
”…そうね、やってみましょうか”
”え?”
”さ、こっちよ、ついてきて”
”あっ、ちょっと”
瞼には明るいブラウン。
瞳の色を際立たせるために派手な色味は使わない方がいいわね。
素材がいいってことなのか、ちょっと手を加えただけですぐキレイになると思ったから、つい色々買っちゃったのよね。
こういうの老婆心って言うのかしら。
「さ、出来たわ。目を開けて」
目を開けたイツキちゃんがぱちぱちと瞬きした。
それから私を見上げて、チェリーピンクの唇を開く。
「なんか、ふつーの女子みたい」
それを聞いた瞬間、心の中でガッツポーズしたのは秘密。
「そうよ、あなた、普通の女の子なんだから」
メイク道具を紙袋にしまいながら、鏡を食い入るように見つめる華奢な肩に声をかける。
「さ、町に出て見せつけてやりましょ」
「それはダメだ」
ずーっと黙っていた船長さんが急に声を出す。
「…なんで?」
イツキちゃんの怪訝そうな顔が振り返る。
表情はさっきと変わらないのに化粧をしただけで妖艶に見えるわね、って自画自賛したりして。
「オペ以外は自由にして良いんじゃなかったっけ」
「…チッ」
「そうよねぇ、イツキちゃんは私とデートする予定だもの」
正直この子をこんなに可愛く出来た時点で満足だけど、いい男のくせにハッキリしない船長さんをからかいたくなっちゃったのよね。
「でもそうね、あなたがイツキちゃんを口説き落としたとしたら、その時は仕方がないわね」
*
隣を歩くこいつをどうしたもんかと内心頭を抱えていた。
この状態で船に帰すと碌なことにならないのは直感だったがおそらく真実だろう。
だからと言って着替えさせる上手い口実も見つからなかった。
「あれー?お嬢さんひとりー?」
後方から聞こえた声に振り返るとあいつが男どもに絡まれていた。
手短かに追い払い「なに絡まれてんだ」と叱責するとあいつは自分の右足に視線を止める。
「だってこういう靴だし、キャプテンもともと歩くの早いだろ」
かかとの高い女物の靴に擦れてところどころが赤くなっていた。
そういやこいつは小走りにおれを追いかけることが常だった。
無意識に舌打ちをする。
あの女にこいつの着替えやら化粧道具やらが入った紙袋を持たされてるだけでも荷物だってのに。
ふと思いついてその紙袋を差し出す。
「持て」
「うん…うわっ、」
想定外にずしりと肩に重みが加わる。
こいつを担ぎ上げるのは2年ぶりだった。
「…重くなったな」
「うるせーな!なら下ろせよ!!」
「黙って担がれてろ」
身長が10cm以上伸びているから、まあそれなりに重くなって当然か。
ちょうど脇道の奥に連れ込み宿を見つけて方向を変える。
「え、ここって、」
「黙ってろと言っただろう」
”恵まれてるって?”
”そういうカッコしても怖い目に合わないんだろ、この島では”
そう言った唇にチェリーピンクを載せながら、鏡越しに後ろに座る船長さんに目を向けた。
相変わらずイツキちゃんに見惚れちゃって、そんな顔するならもっと女の子らしくさせてあげればいいのに。
この子が育った島の話は聞かなかったけれど、ここより治安が悪いのは明らか。
きっと子供の頃から男として振る舞うように、そうやって身を守るように教えられてきたのね。
オシャレに目覚めてもいい年頃なのに、今も男らしく過ごしちゃって、お仲間さん達だってこの子を男だと思ってたのにはびっくりしちゃった。
”そうね、この島では女らしくしてるほうがたくさんのものが手に入るわ”
”ふーん”
”…そうね、やってみましょうか”
”え?”
”さ、こっちよ、ついてきて”
”あっ、ちょっと”
瞼には明るいブラウン。
瞳の色を際立たせるために派手な色味は使わない方がいいわね。
素材がいいってことなのか、ちょっと手を加えただけですぐキレイになると思ったから、つい色々買っちゃったのよね。
こういうの老婆心って言うのかしら。
「さ、出来たわ。目を開けて」
目を開けたイツキちゃんがぱちぱちと瞬きした。
それから私を見上げて、チェリーピンクの唇を開く。
「なんか、ふつーの女子みたい」
それを聞いた瞬間、心の中でガッツポーズしたのは秘密。
「そうよ、あなた、普通の女の子なんだから」
メイク道具を紙袋にしまいながら、鏡を食い入るように見つめる華奢な肩に声をかける。
「さ、町に出て見せつけてやりましょ」
「それはダメだ」
ずーっと黙っていた船長さんが急に声を出す。
「…なんで?」
イツキちゃんの怪訝そうな顔が振り返る。
表情はさっきと変わらないのに化粧をしただけで妖艶に見えるわね、って自画自賛したりして。
「オペ以外は自由にして良いんじゃなかったっけ」
「…チッ」
「そうよねぇ、イツキちゃんは私とデートする予定だもの」
正直この子をこんなに可愛く出来た時点で満足だけど、いい男のくせにハッキリしない船長さんをからかいたくなっちゃったのよね。
「でもそうね、あなたがイツキちゃんを口説き落としたとしたら、その時は仕方がないわね」
*
隣を歩くこいつをどうしたもんかと内心頭を抱えていた。
この状態で船に帰すと碌なことにならないのは直感だったがおそらく真実だろう。
だからと言って着替えさせる上手い口実も見つからなかった。
「あれー?お嬢さんひとりー?」
後方から聞こえた声に振り返るとあいつが男どもに絡まれていた。
手短かに追い払い「なに絡まれてんだ」と叱責するとあいつは自分の右足に視線を止める。
「だってこういう靴だし、キャプテンもともと歩くの早いだろ」
かかとの高い女物の靴に擦れてところどころが赤くなっていた。
そういやこいつは小走りにおれを追いかけることが常だった。
無意識に舌打ちをする。
あの女にこいつの着替えやら化粧道具やらが入った紙袋を持たされてるだけでも荷物だってのに。
ふと思いついてその紙袋を差し出す。
「持て」
「うん…うわっ、」
想定外にずしりと肩に重みが加わる。
こいつを担ぎ上げるのは2年ぶりだった。
「…重くなったな」
「うるせーな!なら下ろせよ!!」
「黙って担がれてろ」
身長が10cm以上伸びているから、まあそれなりに重くなって当然か。
ちょうど脇道の奥に連れ込み宿を見つけて方向を変える。
「え、ここって、」
「黙ってろと言っただろう」