Blue Moon
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島の散策を終えて船に戻ろうとした時のことだった。
薄暗い路地の宿屋街が目に入り、シャチあたりはもう夜の街に繰り出しているだろうと考える。
そのうちの一軒に向かうふたつの人影があった。
背の高い方は女で娼婦らしい身なりをしていた。
もう一人、背の低い方を視界に居れた途端、おれの心臓は予想外の打ち方をする。
「ここでいいかしら」
「…別にどこでも」
そんなわけねェ。
「愛想無いのね。イツキちゃん」
「…」
紙袋をいくつも肩から提げて、娼婦に貢がされた馬鹿な男みたいに突っ立ってるのが、あいつな訳ない。
二人が宿へ入り、扉が閉まる。
思わずその建物に近づいた。
正面切って乗り込むのは騒ぎになると押し留まり、裏手に回って見聞色を展開する。
あいつらが通された部屋の窓を探し、その下に腰を下ろした。
「シャワー浴びていらっしゃい」
「え、なんで」
「そんなに汗まみれじゃ私もその気が起きないわ?」
「…わかった」
どう聞いても事に及ぶ男女の会話で、おれは内心頭を抱える。
そんなはずねェ。あいつは…
<言っとくけど、おれとあんただけの秘密な>
今からでもあいつを取り戻すか、と考える。
だが、可視化できない今の状況だと、あいつの位置を正確に把握することが出来ないかもしれない。
見聞色を研ぎ澄ませるものの限界があった。
もっと鍛えておくべきだったと、状況に似つかわしくないことを考える。
娼婦の足音が遠ざかり、扉が開いて閉まる音がした。
シャワーの音と二人分の話し声がおぼろげに聞こえる。
…おれは何をやっているんだ。
陸に上がった後のクルーの行動なんかいちいち気にかけて来なかった。
これがシャチやペンギンなら見かけた上で放っておくはずだ。
いやだが、あいつはまだ12歳のガキで、本来なら大人の保護が必要な年齢だろ。
ただ海賊船に乗ってるってだけで。
船長はおれだ。つまりあいつの保護者みてェなもんだ。
だからあいつに危害が加えられないか確認することは、至極当然のことだ。
「ほんと、烏の行水みたい」
「いつもこんなもんだから」
「まあいいわ、こっちに来て」
カチャリと金属音が耳に届く。
「ふふ、震えてる。初めてだものね」
「…っ、」
「あら、ごめんなさい、痛かったかしら」
Roomを展開したのは無意識だったが、それ以降の行動には迷いはなかった。
薄暗い路地の宿屋街が目に入り、シャチあたりはもう夜の街に繰り出しているだろうと考える。
そのうちの一軒に向かうふたつの人影があった。
背の高い方は女で娼婦らしい身なりをしていた。
もう一人、背の低い方を視界に居れた途端、おれの心臓は予想外の打ち方をする。
「ここでいいかしら」
「…別にどこでも」
そんなわけねェ。
「愛想無いのね。イツキちゃん」
「…」
紙袋をいくつも肩から提げて、娼婦に貢がされた馬鹿な男みたいに突っ立ってるのが、あいつな訳ない。
二人が宿へ入り、扉が閉まる。
思わずその建物に近づいた。
正面切って乗り込むのは騒ぎになると押し留まり、裏手に回って見聞色を展開する。
あいつらが通された部屋の窓を探し、その下に腰を下ろした。
「シャワー浴びていらっしゃい」
「え、なんで」
「そんなに汗まみれじゃ私もその気が起きないわ?」
「…わかった」
どう聞いても事に及ぶ男女の会話で、おれは内心頭を抱える。
そんなはずねェ。あいつは…
<言っとくけど、おれとあんただけの秘密な>
今からでもあいつを取り戻すか、と考える。
だが、可視化できない今の状況だと、あいつの位置を正確に把握することが出来ないかもしれない。
見聞色を研ぎ澄ませるものの限界があった。
もっと鍛えておくべきだったと、状況に似つかわしくないことを考える。
娼婦の足音が遠ざかり、扉が開いて閉まる音がした。
シャワーの音と二人分の話し声がおぼろげに聞こえる。
…おれは何をやっているんだ。
陸に上がった後のクルーの行動なんかいちいち気にかけて来なかった。
これがシャチやペンギンなら見かけた上で放っておくはずだ。
いやだが、あいつはまだ12歳のガキで、本来なら大人の保護が必要な年齢だろ。
ただ海賊船に乗ってるってだけで。
船長はおれだ。つまりあいつの保護者みてェなもんだ。
だからあいつに危害が加えられないか確認することは、至極当然のことだ。
「ほんと、烏の行水みたい」
「いつもこんなもんだから」
「まあいいわ、こっちに来て」
カチャリと金属音が耳に届く。
「ふふ、震えてる。初めてだものね」
「…っ、」
「あら、ごめんなさい、痛かったかしら」
Roomを展開したのは無意識だったが、それ以降の行動には迷いはなかった。