終わりと始まりの夏
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<終わりと始まりの夏・番外編>
「おまたせ!」
「おう」
『あけましておめでとうございます』
ぺこりと頭を下げて顔を見合わせた。
エースがくしゃりと人好きのする笑顔を浮かべる。
「結局あいつらみんなどっか行ってんだもんなー」
「そうだねー、やっぱ地方事業所とか一般職系はお正月休み長いもの」
「…やる気あんのかあいつら」
「そう言わない。ライフワークバランスだよ、今流行りの」
今日は1月1日。元旦だ。
エースが同期全員に当てて初詣のお誘いをしたのは2週間くらい前だったと思う。
「仕事運が最強になる神社に初詣行くんだけど誰か行かねェ?」
誘いが直前過ぎたのか、みんな既に予定が入っていて、私しか誘いに乗れなかったのだ。
「ま、おれらだけ仕事運最強になってあいつらに差ァつけんのも悪くねェか」
「そうだね」
長い行列の後ろに並ぶ。
カイロを貼って来たし持って来たけど、なんか温かいものが飲みたい。
「なんか飲んだりする?」
「まずたこ焼きとお好み焼き系のやつ食うだろ、あともつ煮系も要るし、チョコバナナも外せねぇよな。で、シメはラーメンな」
「…さすがエース」
行列は先が見えないくらい長いから、いったんエースに買い出しに行ってもらった。
「お前ホントにそれだけでいいのかよ」
「うん、この時間にあんまりたくさん食べられないし」
「せめてたこ焼き食うか?」
「あ、うん、じゃあもらう」
甘酒を持ち換えてたこ焼きを頬張る。
「正直ここまで混むとは思ってなかったぜ」
「みんな仕事に悩んでるのかもねぇ」
買って来た大量の食べ物は一瞬でエースの口に消えて、長い行列はまだ続く。
「…腹減った」
「え、今あれだけ食べたのに?」
「あんなのおやつにもなんねぇって。…なァ」
「うん?」
「それ一口くれよ」
エースが指したのは甘酒だった。
「あ、うん、いいけど」
「おう、サンキュ」
紙コップが手から離れた。
エースの口がグロスの跡に重なる。
「んー。甘酒だ」
「そうだね」
なんてことない顔で紙コップを手渡される。
…あれ、いま、私口付けたところだったよね?
「…あんま腹に溜まらねぇな」
「そりゃあ飲み物だからね」
「だよな」
そうだ。
エースってそういう奴だ。
飲み会でも他の人の飲み物飲みたがったり、女子が食べてるパフェを一口ねだったりよくしてる。
きっとそういうの、無意識にやっちゃうんだろう。
「はぁ…」
「疲れたか」
「うん、まあ、そうね」
無駄に上がった心拍数に苦笑する。
火照った顔に冬の夜風が心地よかった。
「おまたせ!」
「おう」
『あけましておめでとうございます』
ぺこりと頭を下げて顔を見合わせた。
エースがくしゃりと人好きのする笑顔を浮かべる。
「結局あいつらみんなどっか行ってんだもんなー」
「そうだねー、やっぱ地方事業所とか一般職系はお正月休み長いもの」
「…やる気あんのかあいつら」
「そう言わない。ライフワークバランスだよ、今流行りの」
今日は1月1日。元旦だ。
エースが同期全員に当てて初詣のお誘いをしたのは2週間くらい前だったと思う。
「仕事運が最強になる神社に初詣行くんだけど誰か行かねェ?」
誘いが直前過ぎたのか、みんな既に予定が入っていて、私しか誘いに乗れなかったのだ。
「ま、おれらだけ仕事運最強になってあいつらに差ァつけんのも悪くねェか」
「そうだね」
長い行列の後ろに並ぶ。
カイロを貼って来たし持って来たけど、なんか温かいものが飲みたい。
「なんか飲んだりする?」
「まずたこ焼きとお好み焼き系のやつ食うだろ、あともつ煮系も要るし、チョコバナナも外せねぇよな。で、シメはラーメンな」
「…さすがエース」
行列は先が見えないくらい長いから、いったんエースに買い出しに行ってもらった。
「お前ホントにそれだけでいいのかよ」
「うん、この時間にあんまりたくさん食べられないし」
「せめてたこ焼き食うか?」
「あ、うん、じゃあもらう」
甘酒を持ち換えてたこ焼きを頬張る。
「正直ここまで混むとは思ってなかったぜ」
「みんな仕事に悩んでるのかもねぇ」
買って来た大量の食べ物は一瞬でエースの口に消えて、長い行列はまだ続く。
「…腹減った」
「え、今あれだけ食べたのに?」
「あんなのおやつにもなんねぇって。…なァ」
「うん?」
「それ一口くれよ」
エースが指したのは甘酒だった。
「あ、うん、いいけど」
「おう、サンキュ」
紙コップが手から離れた。
エースの口がグロスの跡に重なる。
「んー。甘酒だ」
「そうだね」
なんてことない顔で紙コップを手渡される。
…あれ、いま、私口付けたところだったよね?
「…あんま腹に溜まらねぇな」
「そりゃあ飲み物だからね」
「だよな」
そうだ。
エースってそういう奴だ。
飲み会でも他の人の飲み物飲みたがったり、女子が食べてるパフェを一口ねだったりよくしてる。
きっとそういうの、無意識にやっちゃうんだろう。
「はぁ…」
「疲れたか」
「うん、まあ、そうね」
無駄に上がった心拍数に苦笑する。
火照った顔に冬の夜風が心地よかった。