本編
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「ねぇ、あの子でしょー?」
「そうそう、トラファルガー君にイジメられてる女子!」
「うわマジ地味」
「イジメでもトラファルガー君と関われてラッキーとか思ってんじゃないの?」
うるさい。親にアイロンかけてもらったハンカチ持ってるくせに。
だけど。
納得するところもある。
*
今年、ローは急に背が伸びた。
進学校に入ってもトップの成績で、今は体育見学組だけど本当は運動神経だっていい。
目つきは悪いけど、もともと端正な顔立ちだから、
それすら「トラファルガー君ってクールでカッコいいよね!」とプラスの評価。
時々、自分が惨めに感じる時がある。
丸顔で、一重で、特に整ってもいない顔。
クラスにあるヒエラルキーみたいなものは、できるだけ意識しないようにしてるけど、
下位にいることは自分が一番よくわかってる。
本当はローの隣にいるはずなのは、こんな地味な幼馴染じゃなく、
キラキラしたグループの美人さんたちの方が、
「おい」
「あ、う、え?」
急に声をかけられて変な声が出てしまった。
目の前の数式に改めて目を落とす。
「なに考えてやがる?」
「…なにも、ボーっとしてた」
「俺を欺けると思ってるのか」
「…や、ちょっと、将来の不安?」
「医者になるのが不安か」
「…うーん、それも含めて、私どうなるんだろうと思って」
学校祭で乱立したカップルの一覧に、いつかローと誰かの名前も加わるんだろうか。
ローに彼女が出来たら、こうやって一緒に勉強することもなくなるのかな。
「先のことは」
ローの言葉がタイミングよく思考を遮る。
「なってみねえとわかんねえよ」
不敵な笑みを浮かべたローと目が合う。
この表情をみると、どうにも安心してしまう自分が腹立たしい。
また今日もまんまと安心して、にっこりと笑顔を返してしまった。
*
やたらと纏わりついてくる女子の上靴がボロボロになったと先週教師が騒いでいた。
週末、そいつが呼び出しを受けているのを屋上から見かけた。
今週のはじめ、呼び出し組の先頭を切っていた女子が同じように擦り寄ってきた。
今日、ニナに話しかけようとしたら避けられた。
「おいテメェ、今日なんで無視しやがった」
「ロー、あのさ」
「言いてぇことがあるなら言え」
「…あんまり学校で話しかけて欲しくない」
「なに…?」
「あ、話聞いてから怒って!」
「…」
「ローに話しかけられた後、机の中のものが無くなったり、机が汚されてたりするの」
「…あ?」
「ローと仲良くしてた女子が顔に絆創膏貼って登校してきたことあったでしょ」
…記憶にない。
「とにかく、ローは目立つから、そのローと関わる人は標的になりやすいっていうか」
「…お前に危害加えるやつもいるのか」
「ケガとかはしてない。なんか私ローにイジメられてる女子として認識されてるみたい」
「…」
「その認識に便乗して細かいことしてくる人はいるけど」
「…どこのどいつだ」
「わかんないからこういう対策しかできないんだってば」
もし本当にそうだとしたら、近づくこと自体が危険に晒すことになる…?
「ね、話は家でしよう?」
困った顔でそう言うニナに、何も言うことができなかった。
「そうそう、トラファルガー君にイジメられてる女子!」
「うわマジ地味」
「イジメでもトラファルガー君と関われてラッキーとか思ってんじゃないの?」
うるさい。親にアイロンかけてもらったハンカチ持ってるくせに。
だけど。
納得するところもある。
*
今年、ローは急に背が伸びた。
進学校に入ってもトップの成績で、今は体育見学組だけど本当は運動神経だっていい。
目つきは悪いけど、もともと端正な顔立ちだから、
それすら「トラファルガー君ってクールでカッコいいよね!」とプラスの評価。
時々、自分が惨めに感じる時がある。
丸顔で、一重で、特に整ってもいない顔。
クラスにあるヒエラルキーみたいなものは、できるだけ意識しないようにしてるけど、
下位にいることは自分が一番よくわかってる。
本当はローの隣にいるはずなのは、こんな地味な幼馴染じゃなく、
キラキラしたグループの美人さんたちの方が、
「おい」
「あ、う、え?」
急に声をかけられて変な声が出てしまった。
目の前の数式に改めて目を落とす。
「なに考えてやがる?」
「…なにも、ボーっとしてた」
「俺を欺けると思ってるのか」
「…や、ちょっと、将来の不安?」
「医者になるのが不安か」
「…うーん、それも含めて、私どうなるんだろうと思って」
学校祭で乱立したカップルの一覧に、いつかローと誰かの名前も加わるんだろうか。
ローに彼女が出来たら、こうやって一緒に勉強することもなくなるのかな。
「先のことは」
ローの言葉がタイミングよく思考を遮る。
「なってみねえとわかんねえよ」
不敵な笑みを浮かべたローと目が合う。
この表情をみると、どうにも安心してしまう自分が腹立たしい。
また今日もまんまと安心して、にっこりと笑顔を返してしまった。
*
やたらと纏わりついてくる女子の上靴がボロボロになったと先週教師が騒いでいた。
週末、そいつが呼び出しを受けているのを屋上から見かけた。
今週のはじめ、呼び出し組の先頭を切っていた女子が同じように擦り寄ってきた。
今日、ニナに話しかけようとしたら避けられた。
「おいテメェ、今日なんで無視しやがった」
「ロー、あのさ」
「言いてぇことがあるなら言え」
「…あんまり学校で話しかけて欲しくない」
「なに…?」
「あ、話聞いてから怒って!」
「…」
「ローに話しかけられた後、机の中のものが無くなったり、机が汚されてたりするの」
「…あ?」
「ローと仲良くしてた女子が顔に絆創膏貼って登校してきたことあったでしょ」
…記憶にない。
「とにかく、ローは目立つから、そのローと関わる人は標的になりやすいっていうか」
「…お前に危害加えるやつもいるのか」
「ケガとかはしてない。なんか私ローにイジメられてる女子として認識されてるみたい」
「…」
「その認識に便乗して細かいことしてくる人はいるけど」
「…どこのどいつだ」
「わかんないからこういう対策しかできないんだってば」
もし本当にそうだとしたら、近づくこと自体が危険に晒すことになる…?
「ね、話は家でしよう?」
困った顔でそう言うニナに、何も言うことができなかった。