本編
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ソファに転がるニナがオレの髪の毛をもてあそび始めた。
髪の上を指先が移動する。
不意に、クラスの女子に髪の毛を触られた記憶が蘇った。
あの時は、触れたと思った瞬間に鳥肌が立った。
衝動に任せて手を払いのけて「触るな」と言ったら、
気が強いはずのその女子は目に涙を溜めて教室を走り出て行った。
最近、ああいうタイプのやつらがよく寄ってくる。
気が強くて、ケバくて、自信過剰な女ども。
思い浮かべた途端、触れられたときと同じ鳥肌がゾッと立って、身をすくめた。
「あ、ごめん、やだった?」
「…いや、そうじゃない」
「…そっか」
ニナの手がまた髪の毛に触れる。
こいつに触れられるのは嫌ではない、むしろ。
「そろそろ秋だね」
「…そうだな」
ニナの親が離婚してもうすぐ3年になる。
今月の初め、ニナの母親の海外赴任が決まった。
<お母さんは着いてきてほしいけど、ニナが自分で決めなさいって言われた>
<私自身の夢とかやりたいことに近づくのに、一緒に来た方がいいなら来なさいって>
途方に暮れたような表情を思い出す。
あれから10日。
「夕飯どうしよっか」
「あるもんで何とかなんねえのか」
「うーん、キムチ鍋とかならできるかな」
まだ、ニナに聞けていない。
もしも母親に着いていくと言ったら、俺は。
いつだったかの色と動きのない世界。
「いいんじゃねえのそれで」
「よし、じゃあそろそろ作り始めますか」
「おう頑張れ」
「えー手伝ってくれないのー」
「オレは今疲れている」
「…あんまりわがままさんだと、たまに実家に帰りたくなるなー」
「…」
離れると、守れないかもしれない。
だから、離れることは許さねえ。
「お前はオレの幼馴染だろ」
「…うん」
「幼馴染はオレのわがままに振り回される運命なんだよ」
「えー、それって」
「せいぜい聞き逃さないように気を付けることだな」
「…横暴だあ」
だから、ずっと、ここにいろ。
髪の上を指先が移動する。
不意に、クラスの女子に髪の毛を触られた記憶が蘇った。
あの時は、触れたと思った瞬間に鳥肌が立った。
衝動に任せて手を払いのけて「触るな」と言ったら、
気が強いはずのその女子は目に涙を溜めて教室を走り出て行った。
最近、ああいうタイプのやつらがよく寄ってくる。
気が強くて、ケバくて、自信過剰な女ども。
思い浮かべた途端、触れられたときと同じ鳥肌がゾッと立って、身をすくめた。
「あ、ごめん、やだった?」
「…いや、そうじゃない」
「…そっか」
ニナの手がまた髪の毛に触れる。
こいつに触れられるのは嫌ではない、むしろ。
「そろそろ秋だね」
「…そうだな」
ニナの親が離婚してもうすぐ3年になる。
今月の初め、ニナの母親の海外赴任が決まった。
<お母さんは着いてきてほしいけど、ニナが自分で決めなさいって言われた>
<私自身の夢とかやりたいことに近づくのに、一緒に来た方がいいなら来なさいって>
途方に暮れたような表情を思い出す。
あれから10日。
「夕飯どうしよっか」
「あるもんで何とかなんねえのか」
「うーん、キムチ鍋とかならできるかな」
まだ、ニナに聞けていない。
もしも母親に着いていくと言ったら、俺は。
いつだったかの色と動きのない世界。
「いいんじゃねえのそれで」
「よし、じゃあそろそろ作り始めますか」
「おう頑張れ」
「えー手伝ってくれないのー」
「オレは今疲れている」
「…あんまりわがままさんだと、たまに実家に帰りたくなるなー」
「…」
離れると、守れないかもしれない。
だから、離れることは許さねえ。
「お前はオレの幼馴染だろ」
「…うん」
「幼馴染はオレのわがままに振り回される運命なんだよ」
「えー、それって」
「せいぜい聞き逃さないように気を付けることだな」
「…横暴だあ」
だから、ずっと、ここにいろ。