本編
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ドイツで仲良くなった同世代の女医がいて、いつしか恋の話をするようになった。
ドイツでは告白というものが存在しない。
知り合って、頻繁に会うようになって、キスや身体の相性を確かめて、周りに紹介されるようになって初めて恋人だと認識されるそうだ。
<私は好きなのに恋人と紹介されなくて悶々とすることもあるけど、それも恋の醍醐味なのよね>
その話を聞きながら、私はなぜかローを思い出していた。
知り合って、毎日一緒に過ごして、関係も持って、それでも幼なじみだというローにもやもやして。
それもまた恋の醍醐味?
そうか、と思った。
まだ恋だった。
ずっと恋だったんだ。
初めてそれを認めた気がした。
それを楽しんでいいんだと知った。
*
「…普通がどんなものかは知らないけど」
顔を上げた。終始こいつの声は穏やかだ、と思った。
「今までローとの間にあったことは、なかったことにはしない。傷ついたり、傷つけたり、楽しかったり嬉しかったりしたこと全部。」
いつの間にこんなに余裕のある女になったんだろうか。
「それでも私は、キレイな景色を見たらローはどんな顔するかなって考えるし、おいしいもの食べたらローも好きかなって思うし、秋になったら大丈夫かなって思い出してた」
「…」
ぼんやりと床に向けられていた瞳が俺を映す。
「ローもそうならいいなって思ってた」
曇りのない目だった。
告白なら何度も受けてきたが、そいつらはみんな不安そうだった。
なのに今のニナは全くそんな表情が読み取れない。
むしろ潔ささえ感じる。
…こいつ今、失恋しようとしてんのか?
玉砕覚悟というよりむしろ玉砕したくてこの話をしてんじゃねェのか?
一度収まりかけた怒りが再燃する。
なに勝手に吹っ切って先に進もうとしてんだよ。
お前は俺に振り回されてろって言っただろ。
「…あァ。いいぜ」
「ん?」
「恋人。なりてぇんだろ」
「え、…うん」
「今からお前は俺の恋人だ」
初めてニナの目に困惑の色が浮かんだ。
そうだ、お前はそうやって俺に心乱されてればいい。
ドイツでは告白というものが存在しない。
知り合って、頻繁に会うようになって、キスや身体の相性を確かめて、周りに紹介されるようになって初めて恋人だと認識されるそうだ。
<私は好きなのに恋人と紹介されなくて悶々とすることもあるけど、それも恋の醍醐味なのよね>
その話を聞きながら、私はなぜかローを思い出していた。
知り合って、毎日一緒に過ごして、関係も持って、それでも幼なじみだというローにもやもやして。
それもまた恋の醍醐味?
そうか、と思った。
まだ恋だった。
ずっと恋だったんだ。
初めてそれを認めた気がした。
それを楽しんでいいんだと知った。
*
「…普通がどんなものかは知らないけど」
顔を上げた。終始こいつの声は穏やかだ、と思った。
「今までローとの間にあったことは、なかったことにはしない。傷ついたり、傷つけたり、楽しかったり嬉しかったりしたこと全部。」
いつの間にこんなに余裕のある女になったんだろうか。
「それでも私は、キレイな景色を見たらローはどんな顔するかなって考えるし、おいしいもの食べたらローも好きかなって思うし、秋になったら大丈夫かなって思い出してた」
「…」
ぼんやりと床に向けられていた瞳が俺を映す。
「ローもそうならいいなって思ってた」
曇りのない目だった。
告白なら何度も受けてきたが、そいつらはみんな不安そうだった。
なのに今のニナは全くそんな表情が読み取れない。
むしろ潔ささえ感じる。
…こいつ今、失恋しようとしてんのか?
玉砕覚悟というよりむしろ玉砕したくてこの話をしてんじゃねェのか?
一度収まりかけた怒りが再燃する。
なに勝手に吹っ切って先に進もうとしてんだよ。
お前は俺に振り回されてろって言っただろ。
「…あァ。いいぜ」
「ん?」
「恋人。なりてぇんだろ」
「え、…うん」
「今からお前は俺の恋人だ」
初めてニナの目に困惑の色が浮かんだ。
そうだ、お前はそうやって俺に心乱されてればいい。