本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…」
「…」
こんなに沈黙が続く飲み会も久しぶりだ。
ちら、と視線を上げてローを盗み見る。
帽子の形が変わったんだな。顔つきがちょっと男っぽくなったかもしれない。
この3年で何症例ぐらい重ねたんだろう。
負けないつもりでいるけど、実際のところはどうか分からない。
視線を外す。
話題なら、症例数の進捗とか、仕事関係はたくさんあるけど、
本当にしたい話はそんな話じゃないんだよなと思って口をつぐんだ。
「…先月」
ローが不意に話し出して視線を移す。
「コラさんに会った」
「…え!うそ!!」
「無事のようだ」
「…よか、ったぁ…」
「…今、ドンキホーテ・ドフラミンゴの元にいるそうだ」
「そうなんだ…」
「…」
「…」
それきりおたがい黙る。
結局沈黙に負けて便利な話題を振った。
「…ロー、いつからあの病院に?」
「3年前だ。術後管理が集中治療部の責任下で、オンコールがほぼないからな」
「…そうだね」
プライベートを確保したいローにはぴったり。
この病院のシステムを聞いた時にすぐに浮かんだ感想だ。
「集中治療部に補充されるエリート帰国子女ってお前だったのか」
「そんな触れ込みなの?」
「あァ、部長が言うにはな」
「…見た目から裏切っていく感じになるかしら」
ケンカ別れしたはずなのに。
前と同じ温度で話が出来ているのを不思議に感じる。
「明日、お休み?」
「あァ」
「そんな貴重な金曜の夜を私と一緒でいいの?」
言ってからしまったと思った。
良くないと言われたらこの時間は終わる。
「…まァ、お前他に飲んでくれる奴いねぇだろ」
「…否定できないのが悔しい」
「仕方ねぇから、付き合ってやる」
きっとそれなりの女の人はいるだろうけど。
「…ありがとう」