本編
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ニナの視線がレストランへ戻るトラファルガーの背中を見送る。
「私達もひとまず戻ろう」
「…このまま帰るぞ」
「キッド、」
「あいつに弁解する義理ねえじゃねえかよ」
「そうだね、普通そうだと思う、だけど」
「だけどじゃねえよ。今お前と付き合ってるのはオレだ」
「キッド、ごめん、わかって」
面倒なニナになるときの顔だ。言い出したら聞かない。
「あの人は私にとって、幼なじみで家族なの」
大げさに響くように溜息を出した。
「…30分だけだ」
「え?」
「あいつと話すんならオレの目の届くところにしろ」
「…わかった。ありがとう」
近くのカフェにトラファルガーを呼び出して、ニナとあいつが揉めるのを遠目に眺める。
そろそろ30分で、引きはがしに行こうとしたらニナが振り返った。
両手の人差し指をくっつけて両側に離すハンドサイン。
…なんでテメェがキャバ嬢の「延長」を知ってんだよ。
浮かせた腰を椅子に収めたオレにニコ、と笑うと、またトラファルガーに向き直る。
高校生から一緒に住んでいたと聞いている。
何も起きない訳がねェ。
単なる元カレよりずっとタチがわりぃ。
それに「人生を変えた人」だかなんだか言っていたのも聞いた。
*
「試合の度に別の女連れてるような奴だぞ」
「それはローも同じでしょ」
「今は俺の話してんじゃねえんだよ」
「男を作れって言ったのはローだよ」
「そんなの本気にしてたのかよ」
「私達、幼なじみなんだよね?」
「…あァ」
「お互いに恋人ができたって不思議じゃないよね?」
「だがよりによって」
「ロー、」
この平行線に終止符を。
「ローは私にどうして欲しいの」
「…あ?」
「男作れって言ってみたり、実際作ってみたらそうやって怒るし」
「…」
「ローの言う通りにしてたら、わたし、」
人生がめちゃくちゃになりそうだよ。
のどまで出かけた言葉を飲み込んだ。
だけど、飲み込んだことで逆にクリアに伝わった気がした。
「…」
ローがまつ毛を伏せた。
傷、つけた。
「…お前は俺に振り回される運命なんだって言っただろ」
淡々と傍若無人なポーズをとることで、きっとローは自分が傷ついたことを誤魔化した。
「お前を傷つけていいのも、俺だけだ」
言葉が別の意味に聞こえる。
お金を置いて席を立つローの足元を見つめ続けることしか、私にできることはなかった。
「私達もひとまず戻ろう」
「…このまま帰るぞ」
「キッド、」
「あいつに弁解する義理ねえじゃねえかよ」
「そうだね、普通そうだと思う、だけど」
「だけどじゃねえよ。今お前と付き合ってるのはオレだ」
「キッド、ごめん、わかって」
面倒なニナになるときの顔だ。言い出したら聞かない。
「あの人は私にとって、幼なじみで家族なの」
大げさに響くように溜息を出した。
「…30分だけだ」
「え?」
「あいつと話すんならオレの目の届くところにしろ」
「…わかった。ありがとう」
近くのカフェにトラファルガーを呼び出して、ニナとあいつが揉めるのを遠目に眺める。
そろそろ30分で、引きはがしに行こうとしたらニナが振り返った。
両手の人差し指をくっつけて両側に離すハンドサイン。
…なんでテメェがキャバ嬢の「延長」を知ってんだよ。
浮かせた腰を椅子に収めたオレにニコ、と笑うと、またトラファルガーに向き直る。
高校生から一緒に住んでいたと聞いている。
何も起きない訳がねェ。
単なる元カレよりずっとタチがわりぃ。
それに「人生を変えた人」だかなんだか言っていたのも聞いた。
*
「試合の度に別の女連れてるような奴だぞ」
「それはローも同じでしょ」
「今は俺の話してんじゃねえんだよ」
「男を作れって言ったのはローだよ」
「そんなの本気にしてたのかよ」
「私達、幼なじみなんだよね?」
「…あァ」
「お互いに恋人ができたって不思議じゃないよね?」
「だがよりによって」
「ロー、」
この平行線に終止符を。
「ローは私にどうして欲しいの」
「…あ?」
「男作れって言ってみたり、実際作ってみたらそうやって怒るし」
「…」
「ローの言う通りにしてたら、わたし、」
人生がめちゃくちゃになりそうだよ。
のどまで出かけた言葉を飲み込んだ。
だけど、飲み込んだことで逆にクリアに伝わった気がした。
「…」
ローがまつ毛を伏せた。
傷、つけた。
「…お前は俺に振り回される運命なんだって言っただろ」
淡々と傍若無人なポーズをとることで、きっとローは自分が傷ついたことを誤魔化した。
「お前を傷つけていいのも、俺だけだ」
言葉が別の意味に聞こえる。
お金を置いて席を立つローの足元を見つめ続けることしか、私にできることはなかった。