本編
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オレを引き取った遠いしんせきのコラソンの家には、いつもとなりの家のヤツが来る。
うるさくてすぐに泣く女。
きのうも「うるせえぞこのムシンケイ女」って言ったら泣きやがった。
それをいちいちコラソンがなだめるのもうっとおしい。
学校でも同じクラスで、家に帰ってからも会うのはめざわりだ。
「うわっコイツ、キモチ悪い本見てるぞ!」
ある日、教室でかいぼうの本を読んでいたらクラスのヤツらに言われた。
「べつに気持ち悪くはないだろ」
「うわっ近づくな!バイキン!」
「へえ!人間のないぞうが気持ち悪いんだ!?」
急にこえがしてオレもクラスのヤツもそっちを向いた。
となりの女がにおうだちしていた。
「そのないぞう、アンタの中にもあるけど、それも気持ち悪いってこと?」
「なんだよニナ!」
「じぶんのなかみが気持ち悪いんなら、そのまま一人でかってにジコケンオしてれば!?」
「うるせえな!」
クラスのヤツが手を上げた。
あ、と思った時には右手はあいつの顔にちょくげきしていた。
バシン、と大きな音がして、いっしゅん教室がしずかになる。
「っわあああああぁぁん!」
「あー!!タイチがなかしたー!!」
「いけないんだー!女の子たたいちゃ!」
「先生よんでこよ!」
*
むすっとした顔のまま、あいつは今日も家に来た。
顔のひだりがわはすこし赤い。
「ニナ、その顔どうした!?」
「クラスの男子にたたかれた」
あいつがチラっとこっちを見る。
「あー、痛かったろ」
「いたくない」
「…ないてたくせに」
「あー!なんでいうの!」
*
クラスのヤツらとちがって、こいつは何時間も本をよんでいる。
コラソンが書くような大人が読む本も読む。
きゅうに下からガタンと音がして、オレもこいつもびくっとした。
「…コラさん、転んだかな」
ひとりごとみたいに言う。
「あの人、何もないところでころぶのか」
「うん。いつも」
「…ドジだな」
「…そうだね」
はは、っとそいつが笑った。
笑ったところ、はじめて見た。
「…なァ、オマエ」
「オマエじゃなくてニナ」
「なんで今日あいつに言いかえしたんだよ」
「…本よんでただけじゃん」
「え?」
「ロー、本よんでただけなのに、キモチわるいって言われるの、おかしいもん」
ゆかをにらむように見たあと、ふう、といきをはいて、また本をよみだした。
なまえ、はじめてよばれたな、と思った。
*
ローが来て一カ月、ようやくローとニナは同じ部屋で過ごすようになった。
と言っても二人で遊ぶわけじゃない。二人とも別の本を読みながら、同じ空間にいるだけ。
でも時々、ぽつぽつと会話しているのも聞こえてくるようになってきた。
そのうち、大親友みたいになるかもしれない。
締切前はオレも二人を構ってやれなくなるから、早くそんな距離になってほしいものだ。
今日も、本の部屋にお菓子を持っていくと、二人の会話が聞こえた。
「ローはいつもかいぼうの本とかよんでるけど、なんで?」
「オレは医者になるからな」
「へー!すごいね!おいしゃさん」
「オマエは?」
「わたしはしょうせつかになるの!」
「なれんのかオマエに」
「なるもん!」
「…まあ、あのコラソンになれたんだしな」
「ロー、どういう意味だ?」
うるさくてすぐに泣く女。
きのうも「うるせえぞこのムシンケイ女」って言ったら泣きやがった。
それをいちいちコラソンがなだめるのもうっとおしい。
学校でも同じクラスで、家に帰ってからも会うのはめざわりだ。
「うわっコイツ、キモチ悪い本見てるぞ!」
ある日、教室でかいぼうの本を読んでいたらクラスのヤツらに言われた。
「べつに気持ち悪くはないだろ」
「うわっ近づくな!バイキン!」
「へえ!人間のないぞうが気持ち悪いんだ!?」
急にこえがしてオレもクラスのヤツもそっちを向いた。
となりの女がにおうだちしていた。
「そのないぞう、アンタの中にもあるけど、それも気持ち悪いってこと?」
「なんだよニナ!」
「じぶんのなかみが気持ち悪いんなら、そのまま一人でかってにジコケンオしてれば!?」
「うるせえな!」
クラスのヤツが手を上げた。
あ、と思った時には右手はあいつの顔にちょくげきしていた。
バシン、と大きな音がして、いっしゅん教室がしずかになる。
「っわあああああぁぁん!」
「あー!!タイチがなかしたー!!」
「いけないんだー!女の子たたいちゃ!」
「先生よんでこよ!」
*
むすっとした顔のまま、あいつは今日も家に来た。
顔のひだりがわはすこし赤い。
「ニナ、その顔どうした!?」
「クラスの男子にたたかれた」
あいつがチラっとこっちを見る。
「あー、痛かったろ」
「いたくない」
「…ないてたくせに」
「あー!なんでいうの!」
*
クラスのヤツらとちがって、こいつは何時間も本をよんでいる。
コラソンが書くような大人が読む本も読む。
きゅうに下からガタンと音がして、オレもこいつもびくっとした。
「…コラさん、転んだかな」
ひとりごとみたいに言う。
「あの人、何もないところでころぶのか」
「うん。いつも」
「…ドジだな」
「…そうだね」
はは、っとそいつが笑った。
笑ったところ、はじめて見た。
「…なァ、オマエ」
「オマエじゃなくてニナ」
「なんで今日あいつに言いかえしたんだよ」
「…本よんでただけじゃん」
「え?」
「ロー、本よんでただけなのに、キモチわるいって言われるの、おかしいもん」
ゆかをにらむように見たあと、ふう、といきをはいて、また本をよみだした。
なまえ、はじめてよばれたな、と思った。
*
ローが来て一カ月、ようやくローとニナは同じ部屋で過ごすようになった。
と言っても二人で遊ぶわけじゃない。二人とも別の本を読みながら、同じ空間にいるだけ。
でも時々、ぽつぽつと会話しているのも聞こえてくるようになってきた。
そのうち、大親友みたいになるかもしれない。
締切前はオレも二人を構ってやれなくなるから、早くそんな距離になってほしいものだ。
今日も、本の部屋にお菓子を持っていくと、二人の会話が聞こえた。
「ローはいつもかいぼうの本とかよんでるけど、なんで?」
「オレは医者になるからな」
「へー!すごいね!おいしゃさん」
「オマエは?」
「わたしはしょうせつかになるの!」
「なれんのかオマエに」
「なるもん!」
「…まあ、あのコラソンになれたんだしな」
「ロー、どういう意味だ?」