本編
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宴もたけなわ、存分にキャプテンの生誕を祝って、解散となった時、ひとつ問題が持ち上がった。
「そういやニナ、泊まるとこどうすんだ?」
「…あ、考えてなかった」
「お前がノープランで来るの珍しいな」
「言ってやるなよ、忙しかったんだよ」
「…?うちで良いじゃねぇか」
キャプテンが言い出して、他の全員が凍りつく。
「いやいやいやキャプテン!」
「そりゃあ前はそうでしたけどね!」
「うん!たまにホテルとか泊まってみたいなーって思ってたし!」
現在キャプテンには半同棲の彼女がいる。
年は3つ年下で、女子アナ志望だが芸能界からもお声がかかるような美人だ。
今日はキャプテンの誕生日。おそらく彼女は家で待っているだろう。
「ロー、わたし、駅前のカプセルホテルに泊まるから、」
「じゃあオレも着いていく」
ダメだ。こうなったキャプテンは折れない。
「…わかった。ひとまず全体は解散でいいよね?」
*
「なにが問題なんだ」
「…問題っていうか…」
もし今彼女さんが家で待ってたら。
たぶんローは帰るように言う。で、彼女さんがキレる。そしてひとつの恋が終わりを告げる。
こういう状況でたくさんの恋が終わるのを見てきた。
それは中学生の時、なぜ彼女と帰らないのかと批難されたとき、
高校生の時、デートを1時間で切り上げ(て幼なじみを迎えに行っ)て相手がキレたとき、
大学生の時、彼女以外の女と一緒に住んでいるのを辞めるよう懇願されたとき、
ローはどんな相手であれ、テレビを消すみたいに呆気なく別れを選ぶ。
オレは面倒ごとはごめんだと言っただろ、と捨て台詞をのこして。
「まさかお前、男できたのか」
「これだけ忙しくてできるわけないでしょ」
「まだ忙しいとか言ってんのかよ。女医なんて売れ残り予備軍の典型じゃねえか。
さっさと男の一人や二人作ったらどうだ」
「えーそこまで言う…?」
私を女医にしたのはあなたでしょう、と心の中でつぶやく。
「それともこっちで男見繕って連れ込む算段か」
「…私が止まろうとしたところ、女性専用のカプセルホテルなんだけど」
「んなシケたとこ泊まってんじゃねえよ」
そういってローはケータイでどこかへ電話し始めた。
イヤな予感。
「今日、ツインルームひとつ。あァ。トラファルガーだ。080-…」
「ちょっとロー、待って、」
「…あァ、今から20分後に行く。よろしく頼む」
私と目を合わせながら、ローはニヤリと笑った。