第二章
夢小説設定
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何かに叩きつけられた衝撃で目を覚ます。
冷たい、息ができない。
かろうじて目を開けて、光のある方に進む。
水面に顔を出して大きく咳込んだ。
塩辛い水が喉の奥を痛めつける。
視界を遮る髪の毛を避けようとして、髪が、すごく長いことに気づいた。
肩に着くくらいのボブにしていたはずなのに、その3倍の長さ。
そして、それを避けようとした手が、
「うそ、でしょ」
ガサガサだった手の甲が水を弾いている。
なにより、全体の肉付きが、全然違う。
「子供の、手…?」
手で体をなぞる。胸があったはずのところでは、肋骨が手に触れた。
「大丈夫か!?」
後ろから掛けられた声に振り向く。
視界に映ったのは、金髪と渦巻きのような眉をした、
「ああ、怪しいもんじゃねえ」
―ワンピースの、サンジ…?
そうか、これは夢だ。
車とぶつかって、意識を失った頭で夢を見てるんだ。
「君を助けに来た」
その言葉になんとか頷いて、彼の手を取る。
夢にも体温があるんだなあ、と他人事のように思っていた。
*
不思議な夢だ、というのが正直な感想だ。
ワンピースは最新刊まで全部読んだはずなのに、知っているはずのことが思い出せない。
自分のことについては、どうせ夢なら整合性がなくてもいいのだけれど、なんとなく上手く誤魔化して、次の島まで乗せてもらうことになった。
仲間に勧誘する船長を見て、この人は音楽が好きだったと思い出す。
歌なら、得意分野だ。
「わたし、歌うたいなの」
<あなたの物語がずっと続きますように
涙を笑顔で隠すことも誰かと笑顔を向け合うことも
全部があなたを、明日を作っていく>
自分なりに祝福の歌と解釈している一曲を紡ぐ。
海水に焼けた喉は十分には鳴らないけれど、出来る限りの演奏を。
この歌詞は、この人に。歌いだすとそんなアイデアがどんどん湧きあがる。
夢中で歌い終わると、興奮するルフィとは対照的に、
それ以外の全員が沈黙しているのがわかった。