「ロビン…」

高くかすれた声に聞き覚えがあった。
振り返ると、昨日別れた彼女が、赤いドレスと仮面を身に着けて立っていた。

「あなた…どうして」
「ロビンわたしね、」

なぜあなたが泣きそうな顔をしているの？

「靴を贈るもうひとつの意味知ってるよ」
「え？」
「私の元から去りなさい、でしょ？」
「…そうよ」
「でもね、みんな去りたくないみたい」
「…」
「船に来てって伝言預かったけど、意味なさそうね」
「…ええ」
「これ、もらった服の代金」

近づいた瞬間、ささやき声が聞こえた。

「だいじょうぶだからね」

服を翻す彼女の後姿が目に焼き付く。