番外編
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ちょうどサムソンが1歳になった頃。
当時、ウソップが村に戻る希望を表したこと、ロビンの2人目の妊娠が発覚し、サムソンの育児を陸でしたいと言ったこと、サンジが自分の店を持ちたい、ナミと結婚したいと切り出したことで、一味は岐路に立たされていた。
希望者の下船を受け入れ、このまま麦わらの一味としての航海を続けるのか。
それとも、
「麦わらの一味を解散しようと思う」
誰も明言はしなかったが、考えてはいた。グランドラインの2周目を終えて、ひとつの区切りを感じていたのだ。
ただ、ここで一つ困った事態が生じた。サムソンが予想以上に私に懐いてしまっていたことだ。姿が見えなくなると喉が千切れるんじゃないかという位に号泣して、私を探して海に落ちたことも1度や2度ではなかった。
「…この状態で引き離すの…可哀そうよねえ…」
傍からナミが呟く。
「私もそう思う」
「ロビンとフランキーは?何か言ってるの?」
「うーん…私の行動を縛りたくはないっていうのは共通見解みたい」
「まあ、私は当事者じゃないから何とも言えないけど…何を優先するかよね」
「優先?」
「リオの自由か、サムソンの心の安定か」
「…ロビンとフランキーの育児負担軽減か」
「それとも夫婦水入らずの時間か」
「水入らずの時間って言うなら私が子供を見てて、2人で出かけてもらうことになるけど」
「…結局あんたがあの二人の側にいる理由の方が多いのよねえ」
「…そうなんだよねえ…」
結局、私は二人の家のすぐ近くに家を借り、ひと月の大半を二人の家で過ごす生活を選んだのだった。
*
「ま、でも正直あたし達も、リオ姉がいるから安心して仕事出来てるとこあんだわ」
「そう?頼りになるお姉ちゃんがいて良かったでしょ?」
姉と呼ばせているものの、サムソンとフローラは私の甥と姪のような存在だ。
「さ、フランキーに顔見せてあげてね」
「リオ姉は?」
「久しぶりに自分の家に戻って、掃除とかしようかなって」
「わかった」
「夕飯冷蔵庫に入ってるから」
じゃあまた明日ね、と踵を返したところでフローラの声がかかった。
「なァ…リオ姉はさ…」
「なに?」
「もし、母さんがいなかったら…父さんと一緒になりたかったか?」
不意に、船旅の記憶が蘇る。
雪に凍てつく科学の島で、フランキーの武器製造を見守った日々。戦いの記憶。守られたことも無数にある。彼の器の大きさと優しさに、何度救われたか数えきれない。
でも、それと同じくらいに、ロビンと過ごした日々も、宝物なのだ。紅茶を飲んで本を読む、花の手入れをする、私とお喋りをする時の穏やかなほほえみ。戦闘時の凛とした横顔。遺跡に手を伸ばすときの真摯な視線。母親になってからの、人間味が増した彼女。
「…そんなこと、ないかな」
「…」
「二人が一緒にいるのを見るのが好きだったの」
だったの、と過去形を取ったことに、自分で少しショックを受ける。
「それにあの船に乗っていた全員が、私の家族だから」
「…そっか」
「あとね、これはフランキーには内緒にしてほしいんだけど」
フローラの耳に唇を寄せる。
「わたし、ロビンの方がタイプだわ」
目尻に溜まった涙に気づかれる前に、スカートを翻す。
当時、ウソップが村に戻る希望を表したこと、ロビンの2人目の妊娠が発覚し、サムソンの育児を陸でしたいと言ったこと、サンジが自分の店を持ちたい、ナミと結婚したいと切り出したことで、一味は岐路に立たされていた。
希望者の下船を受け入れ、このまま麦わらの一味としての航海を続けるのか。
それとも、
「麦わらの一味を解散しようと思う」
誰も明言はしなかったが、考えてはいた。グランドラインの2周目を終えて、ひとつの区切りを感じていたのだ。
ただ、ここで一つ困った事態が生じた。サムソンが予想以上に私に懐いてしまっていたことだ。姿が見えなくなると喉が千切れるんじゃないかという位に号泣して、私を探して海に落ちたことも1度や2度ではなかった。
「…この状態で引き離すの…可哀そうよねえ…」
傍からナミが呟く。
「私もそう思う」
「ロビンとフランキーは?何か言ってるの?」
「うーん…私の行動を縛りたくはないっていうのは共通見解みたい」
「まあ、私は当事者じゃないから何とも言えないけど…何を優先するかよね」
「優先?」
「リオの自由か、サムソンの心の安定か」
「…ロビンとフランキーの育児負担軽減か」
「それとも夫婦水入らずの時間か」
「水入らずの時間って言うなら私が子供を見てて、2人で出かけてもらうことになるけど」
「…結局あんたがあの二人の側にいる理由の方が多いのよねえ」
「…そうなんだよねえ…」
結局、私は二人の家のすぐ近くに家を借り、ひと月の大半を二人の家で過ごす生活を選んだのだった。
*
「ま、でも正直あたし達も、リオ姉がいるから安心して仕事出来てるとこあんだわ」
「そう?頼りになるお姉ちゃんがいて良かったでしょ?」
姉と呼ばせているものの、サムソンとフローラは私の甥と姪のような存在だ。
「さ、フランキーに顔見せてあげてね」
「リオ姉は?」
「久しぶりに自分の家に戻って、掃除とかしようかなって」
「わかった」
「夕飯冷蔵庫に入ってるから」
じゃあまた明日ね、と踵を返したところでフローラの声がかかった。
「なァ…リオ姉はさ…」
「なに?」
「もし、母さんがいなかったら…父さんと一緒になりたかったか?」
不意に、船旅の記憶が蘇る。
雪に凍てつく科学の島で、フランキーの武器製造を見守った日々。戦いの記憶。守られたことも無数にある。彼の器の大きさと優しさに、何度救われたか数えきれない。
でも、それと同じくらいに、ロビンと過ごした日々も、宝物なのだ。紅茶を飲んで本を読む、花の手入れをする、私とお喋りをする時の穏やかなほほえみ。戦闘時の凛とした横顔。遺跡に手を伸ばすときの真摯な視線。母親になってからの、人間味が増した彼女。
「…そんなこと、ないかな」
「…」
「二人が一緒にいるのを見るのが好きだったの」
だったの、と過去形を取ったことに、自分で少しショックを受ける。
「それにあの船に乗っていた全員が、私の家族だから」
「…そっか」
「あとね、これはフランキーには内緒にしてほしいんだけど」
フローラの耳に唇を寄せる。
「わたし、ロビンの方がタイプだわ」
目尻に溜まった涙に気づかれる前に、スカートを翻す。
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