いくつかの出会いがあった。
人魚のケイミーとヒトデのパッパグ。
タコ魚人のハチとデュバル率いるトビウオライダーズ。

そして私はいま、かなり最悪の出会いをしていた。

「ほほーう、まあまだ幼いがこれぐらいの年頃が好きな方もいるだろう」
「…」

下衆が。と心の中で悪態をつく。

「よくわかってないだろうし教えてやろうか」
「…」
「この後お前は職業安定所で雇い主とマッチングされてその方の所へ行く。
…というのは表向きの説明で、実際はな、」

ディスコと呼ばれた男が下卑た表情を浮かべた。

「お前は奴隷になるんだよ。一生な！」

奴隷。

「お前はまだガキだが女だからな。
昼は召使いや踊り子、夜は男の慰み者としてせいぜい働いてくれ！」

男の高笑いが牢屋に響き、後を追うように奴隷候補さんたちのすすり泣く声が聞こえた。
目を地面に伏せたままでいると、高笑いが止まった。

「…なんだ、泣かないのか」
「…」
「気味悪いな」

その瞬間、男のつま先が鳩尾にめり込んだ。
反射的に顔を背けてむせる。

「そーうそう、吐瀉物は相手にかけないこと。お前分かってるじゃねえか。高く売れるな」

キャッチフレーズは、まだ世界を知らない従順な少女、貴方好みに育てられる、で決まりだな、とブツブツ言いながら男が帰っていく。
檻の中に入れられた。

「…お嬢さん、怖くないのか」

隣の男の人が話しかけてくる。
目線をそちらに向けながら返事をする。

「…なんだか現実感がなくて、！？」

目が合った瞬間、心臓を鷲摑みにされたような感覚があった。
人のいい微笑と眼光の鋭さがまるで合ってない。

「…あなたは、」
「おや、私のことを知っているのか？」
「いえ、知りません、ですが…タダ者でないことが分かります」
「ハッハッハ、褒めても何も出ないぞ」