本編
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着信音が鳴ってビクッと体が跳ねる。画面を見るとサンジくんだった。
「…もしもし?」
「あァイチカちゃん、大丈夫かい?」
「うん、大丈夫」
「あと5分くらいで着くから」
「…ごめんね、こんな時間に」
「いいんだよ!むしろこんな時間にイチカちゃんに会えるなんて!」
いつものペースにサンジくんに、ガチガチだった体の力が少し抜ける。
「うちの前にまだ変な人が居るかもしれないから気を付けて」
「わかった。イチカちゃんもそのまま家の中にいて。絶対に外を覗いたりしねェようにな」
「うん」
その5分は思ったよりずっと長かった。玄関のチャイムが鳴った時、着信音の3倍くらい体がこわばったけど、その後に続いた優しい声に全身の力が急に抜けた。ドアを開けると渦の巻いた眉毛をハの字に下げたサンジくんが立っていた。
「イチカちゃん!」
「サンジくん…」
「大丈夫か?ケガはないな?」
「うん、大丈夫だよ」
サンジくんを家へ上げるのは初めてだな、と思いつつ、ローテーブルの前の座布団を勧める。きっと走ってきてくれただろうに、コンビニスイーツとお酒を持参する当たりさすがサンジくんだ。
「家の前には誰もいなかったし、周りを探してみたけど誰かが隠れてる気配もなかった」
「…そっか」
「って言っても、すぐに安心できるわけじゃねェだろうけど」
「…ううん、サンジくんが来てくれただけで、なんか一気に安心しちゃった」
あ、今のはちょっとあざとかったな。無意識に媚びが出た。気を付けよう。
「そーお!?じゃあ朝までご一緒しちゃおうかなア!??」
こういうのをスルーしてくれる人ではないけど、上手く冗談にしてくれるのはありがたい。思わず笑いが零れると、サンジくんが目を見開いて細めた。
「イチカちゃんの笑顔は可愛いなァ」
「…それ、皆に言ってるの知ってるよ」
「そんなことねェよ!本当にかわいいって思ってんだから」
「そう?初めていわれた気がするけど」
「いつもは…マリモがガードしてっからな」
そう言われてみれば、サンジくんとまともに喋ったことは数えるほどしかない。サンジくんは忙しいからあまりボックス席には来ないし、運よく一緒になったとしてもいつもゾロがお喋りの邪魔をする。
「…確かに」
1人納得していると、サンジくんが探るような目線を送って来たのが分かった。
「なァ、イチカちゃん」
「なに?」
「おれとしては、こうやってイチカちゃんと一緒に過ごせて嬉しいんだけどよ…なんで、マリモを呼ばなかったんだ?」
「…ゾロ、明日剣道の大会だから。前日にこんなことで騒がせたくなかったの」
ナミに言ったのと同じセリフを繰り返しても、サンジくんの顔に納得の表情は浮かばない。
「こんなことって…一大事だろ。おれがマリモだったらソッコー飛んでくるけど」
「ふふ、ありがとう。優しいね」
微笑みかければサンジくんはメロリンモードになった。そのまま、TVを見ながらお酒を飲んだり、スイーツにはしゃいだりしているうちに、気が付くとサンジくんは床で寝てしまった。揺り動かしても起きない。疲れてたんだな、それなのに来てくれたんだ。
「…ありがとね」
金色の髪が両方の目を覆い隠す。普段隠している方の目を見たい衝動にかられたけれど、我慢して毛布を掛けた。起きたら携帯に連絡をくれるよう書き置きをして寝室に向かう。
ゾロもよく家に来てはお酒を飲むだけ飲んで床で寝るから、ローテーブルの周りは柔らかいラグを敷いて体が痛くないようにしている。
ただ、そのラグを就寝用にしたのはゾロ以外では初めてだ。
一大事。わかってる。わかっている。きっと後から、何で言わなかったんだと怒られるだろうことも。
「…もしもし?」
「あァイチカちゃん、大丈夫かい?」
「うん、大丈夫」
「あと5分くらいで着くから」
「…ごめんね、こんな時間に」
「いいんだよ!むしろこんな時間にイチカちゃんに会えるなんて!」
いつものペースにサンジくんに、ガチガチだった体の力が少し抜ける。
「うちの前にまだ変な人が居るかもしれないから気を付けて」
「わかった。イチカちゃんもそのまま家の中にいて。絶対に外を覗いたりしねェようにな」
「うん」
その5分は思ったよりずっと長かった。玄関のチャイムが鳴った時、着信音の3倍くらい体がこわばったけど、その後に続いた優しい声に全身の力が急に抜けた。ドアを開けると渦の巻いた眉毛をハの字に下げたサンジくんが立っていた。
「イチカちゃん!」
「サンジくん…」
「大丈夫か?ケガはないな?」
「うん、大丈夫だよ」
サンジくんを家へ上げるのは初めてだな、と思いつつ、ローテーブルの前の座布団を勧める。きっと走ってきてくれただろうに、コンビニスイーツとお酒を持参する当たりさすがサンジくんだ。
「家の前には誰もいなかったし、周りを探してみたけど誰かが隠れてる気配もなかった」
「…そっか」
「って言っても、すぐに安心できるわけじゃねェだろうけど」
「…ううん、サンジくんが来てくれただけで、なんか一気に安心しちゃった」
あ、今のはちょっとあざとかったな。無意識に媚びが出た。気を付けよう。
「そーお!?じゃあ朝までご一緒しちゃおうかなア!??」
こういうのをスルーしてくれる人ではないけど、上手く冗談にしてくれるのはありがたい。思わず笑いが零れると、サンジくんが目を見開いて細めた。
「イチカちゃんの笑顔は可愛いなァ」
「…それ、皆に言ってるの知ってるよ」
「そんなことねェよ!本当にかわいいって思ってんだから」
「そう?初めていわれた気がするけど」
「いつもは…マリモがガードしてっからな」
そう言われてみれば、サンジくんとまともに喋ったことは数えるほどしかない。サンジくんは忙しいからあまりボックス席には来ないし、運よく一緒になったとしてもいつもゾロがお喋りの邪魔をする。
「…確かに」
1人納得していると、サンジくんが探るような目線を送って来たのが分かった。
「なァ、イチカちゃん」
「なに?」
「おれとしては、こうやってイチカちゃんと一緒に過ごせて嬉しいんだけどよ…なんで、マリモを呼ばなかったんだ?」
「…ゾロ、明日剣道の大会だから。前日にこんなことで騒がせたくなかったの」
ナミに言ったのと同じセリフを繰り返しても、サンジくんの顔に納得の表情は浮かばない。
「こんなことって…一大事だろ。おれがマリモだったらソッコー飛んでくるけど」
「ふふ、ありがとう。優しいね」
微笑みかければサンジくんはメロリンモードになった。そのまま、TVを見ながらお酒を飲んだり、スイーツにはしゃいだりしているうちに、気が付くとサンジくんは床で寝てしまった。揺り動かしても起きない。疲れてたんだな、それなのに来てくれたんだ。
「…ありがとね」
金色の髪が両方の目を覆い隠す。普段隠している方の目を見たい衝動にかられたけれど、我慢して毛布を掛けた。起きたら携帯に連絡をくれるよう書き置きをして寝室に向かう。
ゾロもよく家に来てはお酒を飲むだけ飲んで床で寝るから、ローテーブルの周りは柔らかいラグを敷いて体が痛くないようにしている。
ただ、そのラグを就寝用にしたのはゾロ以外では初めてだ。
一大事。わかってる。わかっている。きっと後から、何で言わなかったんだと怒られるだろうことも。