番外編
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<中秋の名月>
「あ、上弦の月」
「あ?」
細い指の先には半月が浮かんでいる。
「ジョウゲン?」
「これから満月になる半月のことだよ。いま右半分の月でしょ」
「…へえ」
「小学校で習ったじゃない」
「昔のことは忘れたな」
「もー…あれ、9月ってことはもしかして…」
歩きながらスマホを見ていたイチカが不意に顔を上げた。
「来週の金曜日、中秋の名月だ!」
宝物でも見つけたみてぇに目を輝かせて俺に言う。
「あー、月見の日か」
「そう、さすがにそれは知ってるよね」
「あと団子食ったり月見酒飲むんだろ」
「…だいたい合ってる」
「来週の金曜か」
「そう。…予定あいてる?」
「…部活の後は何もねェ」
「じゃあ、うちで月見酒しようよ!」
「いいぜ。旨い酒用意しとけよ」
「それはよくわかんないからゾロ買ってきて」
「チッ…わかったよ」
こいつは酒を飲むと上機嫌になる。
踊るように道を進むイチカが、急に満面の笑みで振り返った。
「晴れるといいね!」
心臓の音がやけに大きく聞こえて、無意識に息を呑む。
「…そうだな…けど…」
「え?なに?」
「…いや、何でもねェ」
月が出てなくてもお前の顔を見てれば酒は旨い、と頭に浮かんですぐ打ち消した。
なんだ今の。アホコックじゃあるまいし。
イチカに目をやると、ゆるりとした笑顔のまま鼻歌まで歌っている。
こいつも相当飲んでたが、おれも久しぶりに飲み過ぎたらしかった。
「あ、上弦の月」
「あ?」
細い指の先には半月が浮かんでいる。
「ジョウゲン?」
「これから満月になる半月のことだよ。いま右半分の月でしょ」
「…へえ」
「小学校で習ったじゃない」
「昔のことは忘れたな」
「もー…あれ、9月ってことはもしかして…」
歩きながらスマホを見ていたイチカが不意に顔を上げた。
「来週の金曜日、中秋の名月だ!」
宝物でも見つけたみてぇに目を輝かせて俺に言う。
「あー、月見の日か」
「そう、さすがにそれは知ってるよね」
「あと団子食ったり月見酒飲むんだろ」
「…だいたい合ってる」
「来週の金曜か」
「そう。…予定あいてる?」
「…部活の後は何もねェ」
「じゃあ、うちで月見酒しようよ!」
「いいぜ。旨い酒用意しとけよ」
「それはよくわかんないからゾロ買ってきて」
「チッ…わかったよ」
こいつは酒を飲むと上機嫌になる。
踊るように道を進むイチカが、急に満面の笑みで振り返った。
「晴れるといいね!」
心臓の音がやけに大きく聞こえて、無意識に息を呑む。
「…そうだな…けど…」
「え?なに?」
「…いや、何でもねェ」
月が出てなくてもお前の顔を見てれば酒は旨い、と頭に浮かんですぐ打ち消した。
なんだ今の。アホコックじゃあるまいし。
イチカに目をやると、ゆるりとした笑顔のまま鼻歌まで歌っている。
こいつも相当飲んでたが、おれも久しぶりに飲み過ぎたらしかった。
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