本編
「こないだ、なんで剣道辞めたか聞いたよな」
「…あァ」
「あたしにとって、ゾロとサガと一緒に剣道をやることが一番大事だったんだよ。でも、だんだん同じようには出来なくなった。…女だから。
頑張れば女の限界ってやつも超えられるかもとは思った。でも、怖かった。それを目指したら不幸になると思ったからだ。」
「お前なんでそれ先に、」
「言えねえよ。なんでそう思ったか聞くだろお前」
「理由か?」
「うん。それこそ言えないって。ひどい話だから」
ゾロがゆっくり二つ瞬きをした。
こいつが鈍く見えて鋭い奴だということをあたしは知っている。
「…くいなか」
「な?ひどいだろ?人の人生に勝手に理由つけて」
「…。オレは…」
「…?」
「あいつをずるい奴だと思った。勝手に居なくなって卑怯な奴だって」
「…」
「変わんねえんじゃねえのか、お互いに」
ギラっとゾロの目があたしを見る。
「それより、…なんで逃げた」
「…」
「…いや、…俺らが頼りなかったか?言ってもどうしようもねえと思ったか」
「、ちげえよ」
「オレは、別にお前が剣道を辞めたことに怒ったんじゃねえんだぞ」
「…え?」
「なんであの時、俺らから離れた?」
…そうだった。
剣道を辞める話をしたときにすぐに怒りを顕わにしたのはサガだった。
初め、ゾロは不機嫌になりながらも話を聞いてくれてた。
<もう、お前らと会うこともなくなるかもな。>
あたしがそう言った瞬間、ゾロの怒りのスイッチが入ったんだ。
「…え、じゃあ」
「お前が走れねぇって言うなら、背負って走るぐらい大したことねえ。なのに、なんで剣道辞めたぐらいで会わなくなるんだよ!?」
誤解していた。
ゾロは「あたしが剣道を捨てたこと」に怒ってると思ってた。
「…剣道が、なくても…」
「あ?」
「剣道ができなくても、一緒にいることって出来んのかな」
一緒に強くなろうって約束したから、2人と一緒じゃないなら意味がないと思った。弱いまま許されるなんて絶対に嫌だった。同じペースで強くなりたかった。ひとつでもムリなら全部投げ出してしまえ。そう思った。
「当たり前だろ」
ぶわ、と涙がこみ上げる。
そう言えばしばらく泣いてなかったな。それこそ剣道の最後の試合で負けた時以来だ。
「っおい、」
「ワリ、ちょっと…キャパオーバー」
一瞬うろたえたゾロが、頭に手を置いてあたしを引き寄せた。
固い胸板に頭を寄せる。
しばらくそのまま、頭を撫でられていた。
「…あァ」
「あたしにとって、ゾロとサガと一緒に剣道をやることが一番大事だったんだよ。でも、だんだん同じようには出来なくなった。…女だから。
頑張れば女の限界ってやつも超えられるかもとは思った。でも、怖かった。それを目指したら不幸になると思ったからだ。」
「お前なんでそれ先に、」
「言えねえよ。なんでそう思ったか聞くだろお前」
「理由か?」
「うん。それこそ言えないって。ひどい話だから」
ゾロがゆっくり二つ瞬きをした。
こいつが鈍く見えて鋭い奴だということをあたしは知っている。
「…くいなか」
「な?ひどいだろ?人の人生に勝手に理由つけて」
「…。オレは…」
「…?」
「あいつをずるい奴だと思った。勝手に居なくなって卑怯な奴だって」
「…」
「変わんねえんじゃねえのか、お互いに」
ギラっとゾロの目があたしを見る。
「それより、…なんで逃げた」
「…」
「…いや、…俺らが頼りなかったか?言ってもどうしようもねえと思ったか」
「、ちげえよ」
「オレは、別にお前が剣道を辞めたことに怒ったんじゃねえんだぞ」
「…え?」
「なんであの時、俺らから離れた?」
…そうだった。
剣道を辞める話をしたときにすぐに怒りを顕わにしたのはサガだった。
初め、ゾロは不機嫌になりながらも話を聞いてくれてた。
<もう、お前らと会うこともなくなるかもな。>
あたしがそう言った瞬間、ゾロの怒りのスイッチが入ったんだ。
「…え、じゃあ」
「お前が走れねぇって言うなら、背負って走るぐらい大したことねえ。なのに、なんで剣道辞めたぐらいで会わなくなるんだよ!?」
誤解していた。
ゾロは「あたしが剣道を捨てたこと」に怒ってると思ってた。
「…剣道が、なくても…」
「あ?」
「剣道ができなくても、一緒にいることって出来んのかな」
一緒に強くなろうって約束したから、2人と一緒じゃないなら意味がないと思った。弱いまま許されるなんて絶対に嫌だった。同じペースで強くなりたかった。ひとつでもムリなら全部投げ出してしまえ。そう思った。
「当たり前だろ」
ぶわ、と涙がこみ上げる。
そう言えばしばらく泣いてなかったな。それこそ剣道の最後の試合で負けた時以来だ。
「っおい、」
「ワリ、ちょっと…キャパオーバー」
一瞬うろたえたゾロが、頭に手を置いてあたしを引き寄せた。
固い胸板に頭を寄せる。
しばらくそのまま、頭を撫でられていた。